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乾癬について

院長花房 乾癬は皮膚に炎症性角化症の一つに分類される疾患で、紅斑(赤い発疹)の上に、厚い鱗屑(ふけのようなもの)を伴っているのが特徴です。痒みを伴うことがしばしばあります。

乾癬の有病率は、本邦では0.02%~0.1%程度と推定されております。

なお、乾癬(かんせん)が「感染」と紛らわしいのですが、他の人にはうつりません

あまり認知されていない疾患ですが、皮膚科外来では一般的に見かける病気です。

乾癬は慢性皮膚疾患の代表であり、一般的に治療により完治することは稀とされています。

一生付き合っていかなければならないことが多いため、副作用の少ない治療で、無理なく治療を行うことが大切と考えております。

乾癬の種類

以下のように分類されます。
・尋常性乾癬
・乾癬性紅皮症
・関節症性乾癬
・敵状乾癬
・汎発性膿疱性乾癬
・限局性膿疱性乾癬

などに分類されます。そのうち、尋常性乾癬が90%を占めます。

尋常性乾癬

厚い鱗屑(ふけ状のもの)を伴った境界明瞭な赤い斑が体の中のいろいろなところに出来ます。爪の濁り、変形も伴うことが多いです。

乾癬の部位は、正常の30倍にも及ぶ表皮細胞の増殖亢進が見られています。

表皮のターンオーバーは1/7に短縮されますが、結果的に表皮細胞は4倍程度に増えることになります。

なぜそのようなことが起こるのかというと、何らかの理由により皮膚にリンパ球が浸潤してくることが重要であり、乾癬は炎症性疾患あるいは免疫性疾患と考えられるようになってきております。

慢性に経過しますが、生命予後は良好です。

乾癬性紅皮症

乾癬の皮疹が全身に及んだものを乾癬性紅皮症と呼びます。乾癬性紅皮症では大量のタンパク質が表皮形成のために消費され、低タンパク血症を伴いやすいので注意が必要です。また角質が不完全なため、脱水や電解質異常にも注意が必要です。

関節症性乾癬

乾癬患者様の1~2%に関節炎を合併することがあり、関節症性乾癬と呼ばれております。最も犯される頻度の高い関節は手足の指の第一関節(DIP)ですが、脊椎関節や仙腸関節などの大関節が犯されることもあります。専門的な治療が必要となることが多く、大病院に紹介させていただく場合があります。

滴状乾癬

滴状乾癬は小児と若年者に多く見られます。発疹が切る1~2週間前に咽頭炎や扁桃炎といった喉の痛みが先行することが多く、喉の溶連菌の乾癬に伴って発症するのではないかと考えられております。
1cmまでの小さな皮疹が、急速に全身に広がります。治療により1~3ヶ月で消退します。まれに再発を何度も繰り返したり、尋常性乾癬に移行することがあります。
乾癬は慢性皮膚疾患の代表であり、治療により完治することは稀とされていますが、滴状乾癬だけは、感染に伴って発症している場合が多く、抗生物質の内服により感染が終息すれば、多くの場合、数週間で治癒します。

膿疱性乾癬

「乾癬(かんせん)」という皮膚病の中で、発熱や皮膚の発赤などとともに「膿疱(のうほう~皮膚に膿がたまったもの)」がたくさん出現する病型を「膿疱性乾癬」と呼び、尋常性(じんじょうせい)乾癬(最も多いタイプの乾癬)と区別しています。膿疱は血液中の白血球が集まったものですが、細菌感染ではありません(無菌性膿疱と呼ばれます)。
膿疱性乾癬(汎発型)は、急激な発熟とともに全身の皮膚が潮紅し、無菌性膿疱(細菌に感染している訳でないが、皮膚が膿んだ状態)が多発する稀な疾患です。尋常性乾癬が先行する例としない例がありますが、再発を繰り返すことが本症の特徴です。経過中に全身性炎症反応に伴う臨床検査異常を示し、しばしば粘膜症状、関節炎を合併するほか、まれに眼症状、二次性アミロイドーシスを合併することがあります。

急激な発熱や重大な全身疾患を伴うことが多く、クリニックでフォローするのは危険性が高いと考えておりますので、大病院に紹介させていただきます。

発症の原因

乾癬は、その他の多くの疾患と同様に遺伝的要因と環境的要因の組み合わせで発症すると考えられております。

遺伝的要因

遺伝要因が関与していることは明らかですが、多因子疾患で、ある特定の単独遺伝子による影響は弱く、組み合わせによって発症しているようです。

例えば、移植抗原(臓器移植する際に、拒絶反応が起こらないか調べる際に使われる白血球の型で、白血球の血液型と行っても良いもの)のうち、HLA-Cw6という型を持つ方に発症しやすいと言われておりますが、その遺伝子を持っていれば必ず乾癬を発症するという類いのものではなく、いろいろな遺伝子の組み合わせであったり、後天的な要因によって発症することもあります。

一卵性双生児においても乾癬の発症一致率は70%であり、やはり遺伝要因だけでなく、環境要因も少なからず関与していることが示唆されております。

環境的要因

薬剤によって乾癬が誘発され、増悪することがまれにあります。

肝炎に対するインターフェロン、高血圧に対するβ遮断薬、Ca拮抗薬やアンギオテンシン変換酵素阻害薬、鎮痛剤のインドメタシン、強心剤であるジゴキシン、抗不整脈薬であるキニジン、抗マラリア薬、抗生剤であるテトラサイクリンなどによって乾癬が増悪したという報告があります。

溶連菌に感染したあとに乾癬、特に滴状乾癬が誘発・増悪することが知られております。

その他、風邪などのウイルス感染に伴って乾癬が増悪することは臨床的に良く知られております。

乾癬は生活習慣病との関連が指摘されております。

乾癬の患者様は、健常な方と比べて、肥満の合併率は1.8倍、糖尿病の合併は5倍、高血圧の合併は1.9倍、高脂血症などの脂質代謝異常の合併は1.4倍とされております。生活習慣病に伴うサイトカインの乱れが乾癬の発症・悪化を招くのではないかと考えられております。

ストレスが発症、増悪引き金になることもあるとさております。

乾癬の原因

遺伝要因が関与していることは明らかですが、多因子疾患で、ある特定の単独遺伝子による影響は弱く、組み合わせによって発症しているようです。
ただ、一卵性双生児の方でも、発症一致度は70%強に過ぎず、環境要因も影響を与えていることが分かっています。
溶連菌やウイルスの感染後に乾癬(特に滴状乾癬)発症することもあり、溶連菌やウイルスの感染は、重要な環境要因の一つと考えられております。
飲酒、喫煙、肥満なども原因の可能性があります。。
乾癬と生活習慣病の関係は以前から言われておりました。乾癬の患者様は、健常な方と比べて、肥満の合併率は1.8倍、糖尿病の合併は5倍、高血圧の合併は1.9倍、高脂血症などの脂質代謝異常の合併は1.4倍とされております

・ステロイド外用、活性型ビタミンD3製剤の外用
・エトレチナート(ビタミンA類似物質)の内服
・光線治療(当院では最新型のナローバンドUVBを導入しております)
・免疫抑制剤であるシクロスポロンの内服(副作用のチェックのために、毎月、採血、血圧測定などの検査が必要になります)
尋常性乾癬は難治性の皮膚疾患で、長く付き合っていかなければならない疾患です。そのため、安定した効果が得られ、副作用が少ない治療を選択していかなければなりません。

乾癬の治療は、旭医科大学の飯塚先生のピラミット計画が有名で広く受け入れられています
この治療アルゴリズムはビタミンD3外用薬、ステロイド外用薬から治療が始まり、それで効果不十分なら、上の治療に進んでいくということを意味しております。
もしビタミンD3外用薬、ステロイド外用薬による効果が不十分な場合、光線治療(近年であればナローバンドUVB)に進むのが一般的に受け入れられている考え方です。上図からは、シクロスポリンの内服に進んでもいいことになっていますが、薬が高価で、腎機能障害などの副作用に注意しなければならないため、特別な事情がない限り、光線治療に進むのが良いと思われます。

治療各論

ステロイド外用薬

治療の基本となる外用薬で、副作用が少なく、効果が高い薬剤です。1日2回、発疹部に塗ります。ただ、効果の高いものを長期連用するとニキビが出来たり、皮膚が薄くなるなどの副作用が時に問題になります。また、乾癬患者様に使い続けていると、皮疹が膿疱化(膿を持つようになること)することもあり注意が必要です。

活性型ビタミンD3誘導体外用薬

表皮の角化を抑制することで、乾癬を抑える作用があります。日本では、ドボネックス(カブシポトリオール)、オキサロール(カルシポトリオール)、ボンアルファ(タカルシトール)が用いられております。オキサロール、ボンアルファには、軟膏、クリーム、ローションの3剤型があり症状、部位を考慮し、選んでいきます。

活性型ビタミンD誘導体外用薬は副作用の少ない薬ですが、ビタミンD本来の作用のため、高カルシウム血症が問題となることがあります。

特に腎機能が低下されている患者様は注意が必要です。

そのため活性型ビタミンD誘導体外用薬には使用制限があり、ドボネックスは一週間に90gまで、オキサロールは一日10gまでとされています。

乾癬の患者様の治療の場合、ステロイド外用薬と混合して処方したり、同時に使うことも多い薬剤です。単剤で使ってもかなり強力な効果がありますので、治療の第一選択薬としても良い薬剤と考えております。

後述するナローバンドUVB治療と併用すると特に優れた効果を得ることが出来ます。

光線療法

PUVA療法とナローバンドUVB療法が行われていますが、PUVA療法は治療法が煩雑で、危険性も高かったのですが、ナローバンドUVB療法は、治療法が簡易で、安全性も高く、特にお勧めしたい治療法です。

ナローバンドUVB治療の寛解導入率(一時的に発疹が消えた率)は65%で、改善以上は82.6%と報告されています。発疹が消えるまでの平均照射回数は18.5回とも報告されています。

ナローバンドUVBについて詳しく知りたい方は

http://mitakahifu.com/treat_pt/ナローバンドuvb/
をご参照ください。

内服療法


ビタミンAの効き目を強めたものです。皮膚の角質をおさえ正常化させる作用があります。乾癬や魚鱗癬など皮膚の重い角化症状を改善するのに用います。
ビタミンA誘導体内服療法は、乾癬や魚鱗癬、掌蹠膿疱症、Darier病などの角化異常疾患やニキビの治療に使われております。

副作用・・・口唇炎、落屑、口内乾燥、皮膚菲薄化、肝障害など
また催奇形性があり妊婦中またはその可能性のある女性は絶対禁止です。近い将来に妊娠出産を希望されている人も原則禁止です。男性は6ヶ月、女性は2年の避妊が義務づけられております。
特に口唇炎、口内乾燥などの軽度の副作用は、頻発しますので注意が必要です。


免疫抑制剤であるシクロスポリンも乾癬に対して優れた効果を発揮します。ネオーラルは血液の細胞の一つである白血球に働いて、炎症を起こす物質の産生を少なくすることで免疫を調節して、乾癬患者の皮膚の状態を良くします。

シクロスポリンは重症アトピー性皮膚炎や乾癬に対して「切り札」の一つと言って良い薬剤です。乾癬の患者様にはごく少ない量で高い効果が得られますので、きちんと検査をしながら使うと安全に使用することが出来ます。

シクロスポリンの伴う注意事項
・高血圧の副作用があるため、血圧のモニターさせていただきます。

・飲み合わせの問題もあり、痛み止めの非ステロイド系抗炎症剤や、スタチン系と呼ばれる高コレステロール血症治療薬、Ca拮抗薬と呼ばれる高血圧の薬、その他、数多くの抗生物質と飲み合わせの問題があります。またグレープフルーツジュースと一緒に飲むことは出来ません。
腎機能、肝機能、感染症、低マグネシウム血症のモニターのため月一回の採血が必要となります。血圧をモニターさせていただきます(1ヶ月に一度程度の採血が必要となります)。


生物学的製剤とは、科学的な物質から合成された製剤ではなく、生物が産生した蛋白質を応用して作られた製剤で、乾癬の炎症や関節の腫れなどの原因となるサイトカインなどに働きかけ作用を弱めたり、サイトカインなどが産生される段階において阻害させる作用を持つことによる治療剤です。
2013年1月現在、レミケード、ヒュミラ、ステラーラの3剤が保険適応を有しておりますが、残念ながら当院では取り扱っていないため、生物学的製剤の適応の患者様は、大病院を紹介させていただきたいと存じます。

乾癬Q&A

Q乾癬は人にうつりますか?

乾癬(かんせん)は、感染と紛らわしいのですが、他の人にうつることはないのでご安心ください。

Q乾癬は治療すれば治りますか?

乾癬は慢性に経過する病気ですが、根気強く治療すれば皮疹が完全に消退することも良くあります(30~70%)。また加齢とともに軽快、治癒することが多いと言われております。

Q治療はどれくらいの頻度で通えば良いですか?

乾癬が落ち着いており、外用薬だけの治療で良い場合は1ヶ月に1回程度の通院を行っていただきます。急速に良くしたい場合や、皮疹が広範囲に及ぶ場合はナローバンドUVBを併用しますので、週1回程度の通院をお勧めします。

Q乾癬は放っておいてもいいですか?

乾癬は放っておいた場合も、それほど問題がない場合も多いのですが、外見上の問題から、社会生活に影響を与えることがありますので、治療を行った方が良いと考えております。また、関節症性乾癬を放置した場合は、関節の不可逆的な変形を伴いますし、乾癬が広がり、乾癬性紅皮症に至ってしまった場合、低タンパク血症などを招くこともあります。

Q食べ物で気をつけることは?

肥満や糖尿病、高血圧、高脂血症が乾癬の発症、増悪因子になることがあると指摘されておりますので、それらを予防する食事が望ましいと考えております。
高脂血症をお持ちの乾癬患者様は減脂肪食療法にて皮疹が軽快したと報告されております。また魚油療法(魚油を1日60~75g摂取する)にて皮疹が軽快したとの報告もあります。

Q日常生活で気をつけることはありませんか?

皮疹部は日光浴により軽快しますので、職場では日当りの良い席にすることや、薄着をすることが勧められております。また、外傷や、摩擦、かぶれ、ニキビなどに発疹が悪化することがありますので、それらをなるべく避けていただきたいと思います。
その他、風邪や咽頭炎、扁桃腺炎、副鼻腔炎、虫歯などによって発疹が悪化することもありますので、それらを予防する、もしくはすぐに治療することが大切と考えております。

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