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ガングリオン

ガングリオンは、ゼラチン状の粘液物質で満たされた、一般的に皮膚科、整形外科の臨床診療で診られる滑膜嚢胞です。
ガングリオンの発症の正確な病因は不明ですが、これらは、反復微視的損傷から生じる粘液結合組織の変性と考えられています。手と手首に見られる最も一般的な軟部組織体ですが、膝と足にも発症します。

ガングリオンの60~70パーセントは、手首の背面に見られます。すべてのガングリオンの7~11%が足と足首の領域で発生します。最も一般的な軟部組織腫瘍です。

大部分のガングリオンは無症状ですが、患者は痛み、ぶよぶよした感じ、その脆弱さ、外観に不満を示すことがあります。
非手術と外科的治療の両方が利用可能ですが、非外科的治療は再発率が高いのが長年の懸念点となっています。
外科的切除は、再発率は少ないのですが、基礎解剖学をしっかり理解していないと嚢胞に近接する血管構造の損傷を起こすことがあります。

原 因

過去にガングリオンの病因については数多くの理論が提唱されています。1746年にEllerによって紹介された理論は、ガングリオンは関節の滑膜組織が飛び出てできるヘルニアの結果であるということです。1926年に提唱されたカープとスタウトによる仮説は、より近代的なもので、ガングリオンが慢性的な損傷の副次的作用として、関節包や腱鞘の結合組織の変性からもたらされることを示唆しています。すなわちガングリオンは連続的な小傷害の結果であり、間接包や腱鞘の滑膜被膜接合部置いて間葉系細胞から生じるという説が現在多くの支持を得ています。支持被膜と靱帯構造への繰り返しの傷害は、蓄積ヒアルロン酸を生成する線維芽細胞を刺激しているように見える。そして一般的にガングリオンの中に見られるムチンの “ゼリー状” 物質を生成を促します。

疫 学

ガングリオンは、手と手首で見つかった軟部腫瘍のうち60%~70% を占めています。
ガングリオンはどんな年齢も形成しうるが、20~50歳の女性に最もよく見られます。
女性は男性よりもガングリオンを発症する可能性が3倍以上あります。ガングリオンは特に体操選手に頻繁に見られます。
手首関節の反復的な外傷や物理的ストレスが原因です。

臨床像

大多数のガングリオンは無症状だが、患者は美容的外観の改善の為に治療を求めることが多いです。
ガングリオンの臨床像は、その大きさと部位に依存します。ガングリオンの患者様は手首の動きによって悪化する痛み、ゴロゴロした感じ、又は同部位の脆弱性を訴えることがあります。ガングリオンは通常、おおよそ1cm~3cmの大きさで、堅く、境界が明らかで、可動性が良好です。ガングリオン嚢胞は皮膚ではなく深層組織に固定されています。

手のひら、手首にガングリオンを持つ患者様においては、正中神経の圧縮または屈筋腱鞘への侵入の副作用として、手根管症候群又は、ばね指を症状として示すことは頻度はそれ程多くは無いと報告されています。同部位のガングリオンはまた、尺骨神経 neuropraxia と橈骨動脈の圧迫、それに伴う虚血を引き起こす可能性があります。

病 理

ガングリオンの典型的な病理組織学的外観は、ムチンに満ちた滑膜細胞です。ガングリオン嚢胞は、単一または多房性です。ガングリオンの大部分を占める粘液物質のヒアルロン酸とムコ多糖類を高濃度に含む粘性の高い物質です。

画像評価

レントゲン写真では、ガングリオンははっきり映りません。MRIは、ガングリオンに対してはあまり撮影される事は無いのですが、診断的価値は大いにあります。MRI ではT2 重視の画像上に、均等で境界が明らかな塊を映し出します。超音波検査では、血管奇形と嚢胞を区別し、ガングリオンを穿刺する際に誤まって橈骨動脈をさしてしまうのを防ぐために使用されます。

治療法・管理

非外科的治療

  • ■圧迫療法
    指などでガングリオンを押し込める方法です。効果が長続きしないのと、安定しない為現代ではあまり勧められない治療です。

  • ■穿刺吸引療法
    ガングリオンの治療は、元々保守的なものです。最も普及した保守的な治療は注射針による穿刺吸引です。ただし何度もガングリオンを穿刺しても治る可能性はせいぜい30~50%程しかありません。吸引は、一般的に嚢胞から流体を除去し、瘢痕形成を促進する為に行われます。

    上記通り再発率は高いが、局所皮膚感染症や痛みの増加のようなリスクは低いです。吸引は通常、画像検査無しで行われます。超音波検査による誘導は副作用を抑えるために行っても良いです。

    ガングリオンの炎症を増加させ、瘢痕化させ、ガングリオンをしぼませて治してしまう治療法も検討されています。例えば硬化療法です。しかし、この方法は関節や腱を損傷するリスクがあるため推奨されていません。

外科的治療

保守的な治療がうまくいかなかった場合は、外科的切除がしばしば推奨されます。外科的切除は、通常外来で行われます。手首足背のガングリオンは、病変のすぐ上に横切開を行います。ガングリオンを破裂させないことが肝心です。ガングリオンの被膜および被膜の付着物、靭帯の完全性を損なうことなく、可能な限り scapholunate 靱帯(じんたい)の近くで完璧に切除する必要があります。ガングリオンの一部を取り残すことで再発率の高くなることが分かっています。オープン外科的切除は、吸引と比較して有意により再発率が低いこがわかっています。但し、それでも7~43%の再発率は文献で引用されており、欠点がある切除および不完全な切除に起因する可能性が高いです。嚢胞、アーチ、および隣接する関節包のカフを含む完全なガングリオンの除去は、解剖の理解と徹底的な切除手順を必要とします。外科医の経験もまた再発率に影響を与えるようです。

外科的切除は依然として、ガングリオンの治療のための標準治療です。しかし、吸引と比較して、感染症、神経損傷、肥厚性瘢痕、神経異常、血管損傷、痛みの増加などの大きなリスクを伴います。

鍼治療

鍼によるガングリオンの治療は、革新的なアプローチです。2006年に、TekeogluとDoganは、背側手首にあるガングリオンの治療のための鍼の使用を研究しました。この症例の報告では、2針の鍼が使用されました。1つの鍼は、ガングリオンを通じて手首の関節に向かって挿入され、2番目の鍼は、肘の外顆に挿入されました。その後、5Hzの周波数で電気刺激は針に適用され、強度は患者の最大の耐容性までに増加しました。この治療は2週間で4回繰り返され、治療後嚢胞は急速に消失し、1年間の経過観察の間に再発やトラブルはありませんでした。
ガングリオンの急速な消失は、自然消失、流体漏れ、または鍼治療の特定の局所効果に起因する可能性が示唆されましたがはっきりしたことは分かっていません。現在、日本で行うことは不可能でしょう。

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