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化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)

化膿性汗腺炎 Hidradenitis suppurativa(HS)の病態を考える上で最も重要な病変部位は、folliculopilosebaceousユニット(FPSUs)です。
folliculopilosebaceousユニット(FPSUs)は、毛包、その関連皮脂腺、および立毛筋を含む概念です化膿性汗腺炎(HS)は、folliculopilosebaceousユニット(FPSUs)の慢性再発性の障害です。生活の質への悪影響は重大であり、化膿性汗腺炎の増悪は主に早期認識、正確な診断、適切な管理の欠如によります。一般的にFPSUの支持構造はそれほど強固ではありません。生殖ホルモン、 外因性ホルモン、乳製品のアンドロゲンとその前駆体、およびその他の栄養因子の影響下で、毛孔が詰まり、膨張します。摩擦、ずれる力、および圧力により、弱体化したFPSUから管の内容物の破裂や漏出を引き起こします。これが原因で自然免疫系を惹起することで、炎症反応を引き起こします。
治療は、患者様の理解と協力、相談、ホルモンと食事の積極的な変更、破裂につながる外傷の回避、複数の抗炎症療法、抗生物質の内服、免疫抑制剤、生物学的製剤と早期の外科的切開による創部開放を必要とします。

化膿性汗腺炎の治療法ついて
化膿性汗腺炎には、様々な治療法があります。それらを確認して、自分にあった治療法を選びましょう。また、手術や実験的治療についても確認することができます。
治療法を見る
実験的治療を見る

歴史

パリの外科医Velpeauは、1833年から1839年まで、腋窩、乳腺周囲そして肛門周囲の膿瘍の形状と異常な炎症プロセスを説明しました。Velpeauは、約15年後に、hidrosadénite phlegmoneuseという用語を作りました。ここから化膿性汗腺炎の概念が作られていきました。
1922年に、Schiefferdeckerは、acne inversa(現在では化膿性汗腺炎と同じ意味)とアポクリン汗腺の関連を疑いました。
1956年に、ピルスベリーは、にきびの原因が毛孔閉塞である、という仮説を立てました。そしてacne conglobate(集簇性ニキビ)とPerifolliculitis Capitis Abscedens et Suffodiens、化膿性汗腺炎を類似疾患として「にきびトライアド」としてグループ化しました。PlewigそしてKligmanはにきびトライアドに新しく毛巣洞をグループに追加しました。
1989年にPlewigとスティーガーは、ニキビの異形という意味を現す「acne inversa」という用語を紹介し、「ヴェルヌイユ病」などの古い用語と置き換えました。

背景

化膿性汗腺炎(HS) は、慢性、炎症、主に腋窩、鼠径部、乳房、生殖器、および体の会陰領域の皮膚に見られる慢性的な炎症、それに伴う瘢痕状態です。acne inversa(AI)とも呼ばれています。HS/AIはアポクリン汗腺に誤って関連付けられてきましたが、本当は、folliculopilosebaceousユニット(FPSU)から疾患がスタートします。HS/AIは、再発傾向の炎症の強いニキビに似た結節によって特徴付けられます。これは生活に支障を来す障害、外観の損害および瘢痕化につながります。慢性的に膿を排出していることしている瘻孔形成と膿瘍に進行していきます。病変は、典型的にはFPSUsを有する皮膚の領域で発生します。化膿性汗腺炎は、頻繁に「オデキ」「ニキビ」として誤診され、診断が遅れ体系化した治療が行われず、増悪し治療困難な状態に陥ります。

化膿性汗腺炎の原因ついて
化膿性汗腺炎には、様々な原因があります。それらを知って、あらかじめ対処していきましょう。また、化膿性汗腺炎に関連した疾患や、合併症が多数あります。それらを確認して、正しい治療をしていきましょう。
原因について
病因と臨床経過

有病率と疫学

化膿性汗腺炎は決して「珍しい」ものではありません。世界的な有病率は1%〜4%と推定され、徐々に増加してきているとの報告も多いです。また日本では食の欧米化、衣類の変化に伴い急速に増えてきています。女性と男性の比率は3.3:1です。(筆者の見解としては日本人においては男女同数くらいに思われます。)
女性は 胸部(22%)と鼠径部(93%)に多く、男性は臀部(お尻)(40%)と肛門周囲(51%)に病変ができやすいです。
発症の平均年齢は23歳と比較的に若いうちに発症することが多いです。また、女性では閉経後の発症は珍しく、女性ホルモンとの関係が疑われています。
男性では、化膿性汗腺炎が老後にまで続くこともあります。多くの場合より男性の方が重症化しやすいです。
化膿性汗腺炎から稀に扁平上皮癌が発生することがありますが、それは主に男性で起こります。

診断基準

様々なガイドラインがありますが、今回はヨーロッパのガイドラインを紹介いたします。

主症状

経過     : 痛みの伴う結節と排膿を半年に2回以上繰り返す。
典型的な症状 : 腋窩、鼠径部(そけいぶ)、性器、会陰と肛門、臀部(でんぶ)、および乳房間に炎症性/非炎症性結節、
炎症性/非炎症性瘻孔、膿瘍、瘢痕(萎縮性瘢痕、メッシュ状瘢痕、赤み、肥厚性瘢痕、線状瘢痕を含む)

副症状

    • ・家族歴
    • ・病変から検出される菌がネガティブもしくは常在菌のみ(解説:HSでは特殊な病原菌より常在菌が検出されることが多いで
    •  す)。
化膿性汗腺炎は、細菌によって引き起こされる”オデキ=せつ”のような標準的の抗生物質に対応していません。HSの病変は水平方向に広がりにくいという性質があり、せつやニキビと比べて破裂して膿を出しにくく、表面から見ると化膿性汗腺炎の病変が丸みを帯び、破裂しない傾向があります。代わりに、これらは皮膚の下へ水平方向に破裂し、皮下に広がり、すなわち横方向に広がる傾向があります。化膿性汗腺炎は慢性であり、ある研究では患者の90%では、平均すると19年病気を患っていました。非常に長期にわたる疾患であることがわかります。

化膿性汗腺炎の同義語
(注意:これらの用語は殆ど使われず、欧米ではHidradenitis suppurativaという用語に統一されつつあります)
  • ・Acne conglobata
  • ・Acne inversa
  • ・アポクリンニキビ
  • ・Velpeau疾患
  • ・ヴェルヌイユ疾患
  • ・apocrinitis
  • ・フォックスデン病
  • ・汗腺炎アキシラリス
  • ・pyodermia sinifica fistulans

鑑別診断

化膿性汗腺炎Hidradenitis suppurativaには、様々な鑑別診断があります。見た目、発症年齢、典型的な場所、抗生物質への反応が悪いこと、敗血症の兆候の欠如などが診断の助けになります。これらの兆候より化膿性汗腺炎を他の疾患と区別することができるので、診断はかなり簡単です。肛門クローン病と化膿性汗腺炎は、互いに関連付けられ、混同をする方も多いかもしれません。

鑑別診断:
  • ・細菌感染症、炎症性粉瘤、ニキビ
  • ・そのほかの感染症
  • ・せつ、膿瘍、坐骨直腸窩膿瘍/肛門周囲膿瘍、バルトリン腺膿瘍
  • ・結核性膿瘍
  • ・性感染症(鼠径リンパ肉芽腫)、リンパ腫、結節性潰瘍性梅毒
  • ・ディープ菌類ブラストミセス症、ノカルジア症
  • ・有棘細胞癌
  • ・多発脂腺嚢腫症
  • ・膿疱性乾癬
  • ・結節性膿皮症
  • ・肛門クローン病または外陰膣フィステル
最も一般的な鑑別診断は毛嚢炎、せつ、および炎症性粉瘤です。
疾患部位が様々な点と(なれない医師にとっては)比較的非特異的な病変により、多くの患者が専門医に受診しに行きます。救急部門で見られる患者は、しばしば簡単な切開排膿と抗生物質の「短いコース」で治療終了とされます。これは一般的に、一時的に症状を落ち着かせるだけで、病気を改善させることにならず、患者さまを落胆させることになります。化膿性汗腺炎という病名が一般的でない為か、診断が遅れることが一般的です。

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