ほくろは一般的には後天性色素性母斑のことを指します。後天性色素性母斑とは、生まれたときには存在せず、出生後に出現する色素細胞に似た母斑細胞が皮膚で増殖した状態ということができます。
一般的に、色素性母斑は、Unna母斑、Miescher母斑、Spitz母斑、Clark母斑に分類されます。
Unna母斑:思春期以降、20~30歳代で主に体幹を中心に出現します。1㎝前後の病変で、表面は顆粒状で、’桑の実’に類似します。
Miescher母斑:顔と頭髪部を中心に出現します。乳児期にはほとんどなく、小児期に平坦な病変として出現します。徐々に隆起してきます。病変の多くは1cm未満での半球状に隆起する丘疹で、中心部は黒色で辺縁に行くに従って、黒色から茶色に、徐々に正常皮膚色に近づきます。表面は平滑で光沢があることが多く、毛が生えていることもよくあります。
Spitz母斑:小児を含む若年者に好発します。紅色、茶色、黒色の1cm未満の病変で、周囲との境界が明瞭で、表面がカサカサしていることがあります。急速に増大することがおあるが、一定の大きさになると成長が停止します。悪性腫瘍との区別が問題になることがあり、基本的には切除の対象となります。
Clark母斑:手足、体幹に多発します。足の裏や手のひらにも好発します。平坦で辺縁な淡褐色から黒色の色素斑で、中心部が隆起していることもあります。もっともよく見られる’ほくろ’と言われています。
そのほか特殊なものに青色母斑、獣皮様母斑があげられます。
青色母斑:比較的発症頻度は高く、人口の約3%に見られます。やや固く触れる10mm以下の半球状の青色結節(実際には非常に濃い青色で黒色に見えることが多いかもしれません)です。
獣皮様母斑
生まれつき見られるほくろで、10cm以上にもなることがあります。ほくろから剛毛が生えているため、獣皮様母斑と呼ばれています。
悪性黒色腫が発生しやすいため手術的に完全に切除を行います。