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MRSAなどの耐性菌について

 本日は日本小児皮膚科学会雑誌からです。尾内一信先生による「難治化する皮膚感染症とその対策」を参考にさせていただきました。
 当院にご来院していただいた患者様で、とびひや、皮下膿瘍、化膿性爪囲炎などの皮膚感染症の患者様は、初診時に綿棒のようなもので、傷口を擦ってその綿棒を検査に提出された、という経験がある方が多いのではないでしょうか?
 それは傷口についている菌の種類と、どのような抗生剤が効き易いのかを調べているのです。検査結果が返ってくるまでに1週間程度かかり、その間にすでに病気が治っていることがほとんどなので、「その検査は本当に必要なのか?」と思われる方も多いかもしれません。しかしわたしは、皮膚感染症の患者様は基本的には細菌検査は必要と考えております。というのも最近は細菌が抗生剤が効きにくくなっていることが多く、細菌検査を行っていない場合には、最初に投与した抗生剤が効かなかった場合、次にどの抗生剤を使えばいいか分からなくなってしまうからです。
 最近は特に黄色ブドウ球菌のうち、様々な抗生剤が効きにくいMRSAという菌が大きな問題となっております。MRSAで毒性の強いものが増えているという報告もあります。とびひの原因菌のうち、MRSAが占める割合は日本の平均で、26.9%とされており、東京都では26.3%と書かれています。
 私自身きちんと統計を取ったわけではないので、はっきりしたことは申し上げられませんが、三鷹では26.3%よりは低い印象がありますが、やはりそれなりの確率でMRSAが検出されるのは間違いありません。MRSAが原因菌の場合は抗生剤が効きにくいことが多く、細菌検査の結果を見て、抗生剤を選んでいく他ないということになります。
 なぜこれほどまでにMRSAが増えたかというと、やはり抗生剤の使いすぎのせいだ、と指摘されています。ある抗生剤をたくさん使いすぎると、その抗生剤に抵抗性をもつ細菌が増える傾向にあります。今後、画期的な抗生剤が開発される見込みは低く、今ある抗生剤を大事に使っていこうという風潮になっており、私も不必要な抗生剤の投与は大いに慎もうと考えております。

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