中年に多いとされています.男女差はありません。
掌蹠膿疱症の患者さまは、手のひら、足の裏に小さな水疱が出来、徐々に膿疱化(膿を持つこと)していきます.膿疱は徐々に乾いていき、かさぶた化していきます.患者さまの手のひら、足の裏には新しい皮疹と古い皮疹が混じりあいます.手のひら、足の裏の皮膚が分厚くなりガサガサし、赤みを帯びてくる事もあります.
手足の爪が変形し、分厚くもろくなる事も良くあります.
膝や肘にも赤み、ガサガサが見られる事もあります.
約10%の患者さまに骨・関節の症状が見られます.。特に前胸部痛(胸肋鎖骨間骨化症)を認めることが多いのが掌蹠膿疱症の特徴ですが、その他、椎骨、仙腸関節、末梢関節にも症状があらわれることがあります。すなわち、腰痛や手足、指の関節が痛くなる場合もあるという事になります.
・慢性病巣感染
掌蹠膿疱症の患者さまのうち、約30%の患者様に慢性病巣感染が見られるとも言われています.例えば、重度の虫歯、歯周病、扁桃腺線、中耳炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、胆嚢炎などの慢性病巣感染が原因となることがあります.注意しなければいけないのが掌蹠膿疱症そのものは無菌性の病気ですが、離れた位置の細菌性の疾患が原因となることがある、という点です.
・金属アレルギー
掌蹠膿疱症の原因として、金属アレルギーとくに歯の詰め物としての金属が原因となりうることが良く知られています。
・喫煙
掌蹠膿疱症の患者さまのうち多くが喫煙者(特にヘビースモー課である事が多い)であることから、喫煙が何らかの原因、もしくは増悪因子になっているのではないかと言われています.喫煙が病巣感染を悪化させるという説、ニコチンそのものが症状を悪化させるという説、など様々な説があります.
・ビオチン不足
掌蹠膿疱症の患者さまにおいて体内のビオチン値が低下しているという説があります.
・遺伝的要因
ヒト白血球抗原(HLA)のうちHLA-B27というタイプの方に発症しやすいのかもしれないと言われています。
・真菌検査(水虫と区別するために真菌検査は必須です)。
・採血(白血球数、CRPなど炎症所見をはかります)。
・金属アレルギーパッチテスト
・(骨・関節症がある場合)レントゲン検査
・異汗性湿疹(汗疱)
・白癬(水虫)
・湿疹
・乾癬(膿疱性乾癬)・・・掌蹠膿疱症と膿疱性乾癬は似た特徴があり、掌蹠膿疱症を膿疱性乾癬の一亜型と考えることもあります。
・SAPHO症候群・・・炎症性の骨炎に、掌蹠膿疱症が合併したもの。掌蹠膿疱症よりも骨炎の方がメインに置かれた症候群です。
発疹部にはステロイド外用薬はビタミンD3含有軟膏の塗布を行います。
ステロイド外用薬は皮膚の縁賞を抑える効果があります。
ビタミンDは、食物より摂取されるほか、紫外線を浴びることでも皮膚で作られ、、肝臓、腎臓などに送られて活性型ビタミンD3となり、骨を丈夫にするカルシウムを強化する働きをするのですが、軟膏にして皮膚につけた場合、皮膚の過剰な細胞増殖や炎症などを抑える作用があり、乾癬や掌蹠膿疱症によく使われます。
紫外線療法を行います.当院では、最新のエキシマシステムを全院に配置しております。エキシマシステムは、掌蹠膿疱症には理想的な紫外線治療器です。
喫煙者には禁煙をお勧めします。
虫歯、歯周病、蓄膿症を放置している方には、治療を勧めさせていただきます。
近年、掌蹠膿疱症に対する、ビオチン療法が脚光を浴びています。ビオチンの補充も行います。同時にミヤなどの整腸剤も処方する事があります(ビオチン療法).
掌蹠膿疱症はビオチンの不足により増悪している可能性がありますので、それを補う治療法です。
ビオチンは食事にも含まれており、さらに腸内でも産生されていますので、不足することは少ないのですが、腸内細菌叢が乱れているとビオチンが不足しやすいことがわかっています。ですので、ビオチンに加え、整腸剤(ミヤBM)などを同時に処方することが多いです。
それでも改善が乏しい場合は、エトレチナート(ビタミンA誘導体)やシクロスポリンの内服も検討します。
テトラサイクリン系やマクロライド系の抗生物質を内服する場合もあります。
掌蹠膿疱症のうち、上記のような金属アレルギーや病巣感染が関与している場合は、それらを取り除くことで治癒が見込めます。
喫煙者の方は禁煙だけですぐに良くなるというわけではないのですが、数ヶ月で改善してくることもあります。
原因がわからない場合も、きちんと治療すれば3−7年で治ってくることがわかっています。
人にはうつらないのでご安心ください。
ある種の体質が発症に関係していることはわかっていますが、はっきりと遺伝することを示す根拠はありませんので、それほど心配しなくてもいいいかと思います。
その可能性はあるのですが、まず金属アレルギーがあること、歯の詰め物から金属が溶け出していることなどは十分確認してから、歯の金属を取り除いたほうがいいでしょうか。
すぐには治らないことが多いですが、タバコが掌蹠膿疱症の原因、増悪因子になっていることがよく知られていますので、禁煙、減煙をお勧めしております。
ビオチン療法だけで十分な効果を得られることはそれほど多くないのですが、その他のつけ薬の治療や光線療法と組み合わせることで高い効果を得られる場合があります。ビオチン自体は副作用がほとんどなく、安価な治療法ですので試してみてもいいでしょう。
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