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紫外線による反応とDNA損傷の関係について

 かなり気が早い話で恐縮なのですが、紫外線による皮膚障害について少し述べていたと思います。
 紫外線が急速に増えてくるのが3月下旬からで、7月、8月にピークとなるのですが、紫外線による皮膚障害は春にも意外に多い印象を持っております。紫外線の増量に皮膚が対応できていないためだ、とよく言われていますが、あまり皮膚が紫外線に慣れていない状況で、少し強い紫外線を浴びるとサンバーン(紫外線により皮膚が赤くなり、むくむ現象)が生じてしまうのは経験的にも納得のいく現象であります。
 では、比較的弱い紫外線でサンバーンが生じた場合と、強い紫外線で同程度のサンバーンが生じた場合のどちらが皮膚にダメージが大きいのかという疑問が生じます。そもそも、なぜ紫外線の何が皮膚に良くないかというと、紫外線が直接的、間接的にDNAを傷つけ、時にその修復が不十分となるからです。感覚的には当然強い紫外線を浴びた場合のほうがDNAの損傷が大きくなると考えたくなりますが、実は同程度にダメージが大きいようです。
その根拠として
 ①DNA損傷部位を修復する機能が遺伝的に低下しているXPの患者様は少量の紫外線で強いサンバーンが生じる。
 ②同じ紫外線を浴びて色白で赤くなりやすい方は、そうでない方と比べて多くのDNAの損傷が生じる。
 ③DNAの損傷を効率よく処理するとサンバーンが生じにくい。
ということが分かっているからです。つまりサンバーンの程度が、DNAの損傷の程度と相関するようなのです。
 春先の紫外線は、量は少なくとも、皮膚が慣れていないためサンバーンを起こすことがあります。ぜひ気を付けていただきたいと思います。

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