トレチノインは小じわ、しみの治療薬として、当院でも最もよく使っていただいている外用剤の一つですが、学術的にはどのような効果が分かっているかを述べたいと思います。
まず、トレチノインは細胞内の核内受容体に作用し、表皮角化細胞の増殖を促し、表皮は厚くする作用があります。年齢とともに表皮が薄くなってきますので、表皮を厚くする作用はアンチエイジングに最適ということで、トレチノインが広く使われるようになりました。さらに表皮のターンオーバーを促進し、古くなった表皮角化細胞を新しく生まれ変わらせる作用もあります。角質をはがれやすくし、角質を薄くする作用もあります。その結果、透明感と張りのある肌を作ります。ただし、トレチノイン自体がメラニンの産生を抑制するというデータは乏しく、しみを強力に治療したい場合は、ハイドロキノンや、ルミキシルと組み合わせたほうが良いと思われます。また、トレチノインは、表皮におけるヒアルロン酸の合成を促し、真皮におけるコラーゲンの合成を促します。
以上は非常に有名な効果なのですが、よく調べてみると、そのほかにも様々な効果があることが分かります。以下羅列しておきます。
抗酸化作用(フリーラジカルという老化と関係している物質を捕まえる作用)
抗菌作用(表皮のブドウ球菌、ニキビ菌の増殖を押さえる作用)
紫外線吸収作用(ただし紫外線を吸収した場合に薬剤の安定性の問題もあり、当院では夜につけていただくようにお願いしております)
特に抗酸化作用はもう少し調べてみる価値があるように思います。
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