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寒冷蕁麻疹とは

 夕方、寒冷蕁麻疹についての問い合わせがあったので、お答えしておきます。
 電話ではなかなか伝えることが難しく、自分の口下手さが嫌になることがあります。
 寒冷蕁麻疹とは冷水、寒風などの寒冷刺激により誘発される蕁麻疹で、いわゆる物理性蕁麻疹の一つです。寒いところに行くと膨疹(蕁麻疹で特徴的な、蚊に刺された時のようの発疹)が出現します。そのエピソードだけでも診断が可能ですが、さらに氷などを皮膚に10分間当てておけば、そこに蕁麻疹膨疹が現れることで確定診断に至ります。(なかには全身を冷却しないと膨疹が出現しない全身性寒冷蕁麻疹という病気もあります。原因となっている物質が異なるのでしょう)
 では、なぜそのようなことが起こるでしょうか?実は明確な理由は分かっておらず、様々な仮説が提唱されているだけなのです。
 例えば、皮膚を冷やすことで、何らかの抗原が産生され、それにIgEが反応し、そのIgEを介して、肥満細胞がヒスタミンの放出するに至るという説。つまりアレルギーが関与しているという説。(クリオグロブリン血症に関連した寒冷蕁麻疹も、凝縮したクリオグロブリンを抗原として認識することにより、感作が成立し発症するという説があります)。
  また何かの理由により寒冷刺激でIgEが肥満細胞上で凝縮することにより、ヒスタミンが放出されるという、抗原非依存的な機序を提唱している研究者もいます。
 そのほか、寒冷刺激により機能するIgG、IgMがあり、それらが抗IgE抗体として働き、マスト細胞上のIgEを凝縮させることでヒスタミンが放出されるという説を唱える者もいます。
 つまり①寒さにより何らかのアレルギーの原因物質が産生される(アレルギー説)。②寒さ刺激によるなぜかIgEが凝縮してしまう(アレルギーではないとする説)。③寒くなると機能するIgG、IgMなどがあり、それらがIgEと反応しIgEを凝縮させる(自己免疫説)。
 という3つの仮説があります。
 寒冷蕁麻疹は数年にわたって続くことが多く、治療は抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服で、なるべく寒冷刺激をさけていただくことになります。
 やはり機序をすっきり分かりやすく説明できないのが情けないです。

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