肌が乾燥すると皮脂腺が頑張りすぎてニキビが出来やすい、という説がありニキビが出来るといつも以上に頑張って保湿クリームやファンデーションをつける方がおられます。
その説は面白味があり、一見すると論理的なので、多くの方に知られているようです。さらに言えばコマーシャリズムに合いやすい説だったのかもしれません。
しかし現実的には乾燥肌のためにニキビになっている方はそれほど多くなく、過度な油分の塗布はニキビを増悪させてしまいます。過度な油分の塗布は、それ自体が毛穴を閉塞させてしまいますし、洗いすぎで毛穴を痛め、ニキビになることもあります。
ニキビのできている部位には、化粧水、乳液などの軽めに保湿にとどめておいたほうがいい結果になることのほうが多いと思います。
特に思春期のニキビにはほとんど保湿は必要ないと考えています。
ニキビについてもっと知りたい方はこちらをご参照ください。
突然ですが、酒さという病気を聞いたことはおありでしょうか?
顔面の中心部に、赤みが目立ち、アルコールを飲んだり、入浴したりといった少しの刺激でほてりや発赤が増悪します。よく見ると鼻から頬、眉間まで血管拡張が見られます。徐々に吹き出物のような紅色丘疹や膿疱が出てくる場合があります。
30~40歳以降の女性に多い病気ですが、よく話を聞くと、10代の時から顔が赤くなりやすかった、ほてりやすかったというエピソードをお持ちの方が多く見られます。
化粧品かぶれやニキビを疑われ、いろいろ検査が行われますが、結局なかなか治らないので、いろいろなクリニックを転々とされる方が多いようです。「いろいろ化粧品を変えてみたが、どれも合わない」とおっしゃる方が多いです。
一見、かぶれやニキビと似ていますが、全く別の原因不明の疾患で、治療法も全く異なります。
もし、どの化粧品を使ってもかぶれる、やたらとほてりやすい、長い間、赤ら顔が治らなくてあきらめかけているという症状の方がいらっしゃいましたら、一度来院していただくといいかもしれません。
今日は少し傷の手当の仕方について述べたいと思います。
傷の手当の仕方については一冊の本ができるほどの内容なのですが、役に立つことをごく簡単にまとめますと
1.傷を清潔に保つ。
2.湿潤環境を保つ。
3.基本的には消毒はしない。
ということになろうかと思います。
以下に少し解説を述べさせていただきます。
1.傷は石鹸で洗い、清潔に保ったほうが治りがいいのです。(ただし洗いすぎは、傷を治す栄養分まで流してしまうのでよくないとされています。)少し膿んでいるような傷は1日2回程度、普通の傷は1日1回程度、浅く非常にきれいな傷は2、3日に1回洗浄する程度が目安と考えております。迷った場合は多めに洗ってもらってもいいと思います。
2.傷は乾かして治したほうがいいと思われている方もいらっしゃいますが、湿潤環境のほうが早く治ることがわかっています。こまめに軟膏をつける、浅く非常にきれいな場合は閉鎖療法を行うなどの方法があります。
3.消毒は普通の傷には必要ありません。消毒薬には細胞毒があり、傷を治そうとしている組織をいじめ、傷の治りを悪くしてしまうことがあるからです。明らかに感染を起こしているときは、消毒することがありますが、すぐに消毒薬を洗い流すようにしています。
基礎化粧品の分析の仕方を教えてほしいというご希望が非常に多いので、それについて徐々に述べていくつもりですが、今回はプラセボ効果(偽薬効果)について少し述べたいと思います。
これまでにプラセボ効果という言葉を聞いたことがおありでしょうか?
プラセボ効果というのは、ある薬を、非常に効果のある薬を思い込んで使用していると、たとえその薬が偽薬(有効成分の入っていない薬)であったとしてもある程度効果を示す現象のことです。暗示効果の一つと言い換えられると思います。
この効果は非常に強力で、かゆみ止めの付け薬はもちろんのこと、血圧を下げる薬、コレステロールを下げる薬でも起こります。
例えば素晴らしい血圧を下げる薬と思い込んで飲んでいると、たとえ有効成分が入っていない薬でもある程度、血圧が下がってくるという現象がおこります。
そのため、薬の効き目を調べる試験では必ずダブルブラインド(二重盲検)試験といわれる試験が行われます。例えばAという降圧薬の効果を調べるとします。100人の患者さまを集め、50人にA、50人に偽薬(形はそっくりですが、有効成分の入っていない薬)が渡されて、本当にAが効果のある薬なのかが調べられます。
その際は医者も、自分の処方している薬がAなのか偽薬なの分からないようになっています。なぜそうするのかというと、医者が自分の処方している薬がAだと分かれば、医者は自身満々に、「この薬は新薬で素晴らしい効果がある。」と思い処方するでしょう。患者さまにもその自信が伝わります。逆に、医者が偽薬を処方していると分かっていれば、「効かない薬を処方して申し訳ない」、という気持ちになり、患者さまにもその気持ちが伝わってしまいます。
このような状況になれば、すでに勝負ありで、Aは圧倒的に優位に立つことになるのです。
それを避けるためにダブルブラインド(つまり、医者も患者さまもAか偽薬のどちらを飲んでいるか分からない)試験が行われるわけです。その試験には膨大な費用と手間がかかりますがそうしなければいかないほど、プラセボ効果は強力なのです。
これは基礎化粧品にも当てはまります。例えば、高価で、容器、香りも高級感があり、しかも自分の信頼しているブランドのものであれば、実は安価なものとあまり成分が変わらなくても、優れた効果を発揮するでしょう。自分の肌はきれいになると信じて、またそのイメージを持ちながらスキンケアすることで、プラセボ効果を引き出すことが出来るのです。しかし、逆に考えると、ある基礎化粧品を10人の方に試し、優れた効果があったからと言って、その化粧品が優れているとは必ずしも言えません。プラセボ効果を引き出しただけかもしれないからです。
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