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酒さの原因

酒さのはっきりした病因は未だにわかっていません。いくつかの病因が考えられており、例えば、遺伝的素因、血管反応異常、血管調整機能の変化、ヘリコバクターピロリ菌という細菌の感染及びdemodex folliculorum(毛包虫)という寄生虫の増殖が病気の誘因、発症に影響するものと推定されています。

脂漏(皮脂の過剰な状態)、日光、高血圧、及び心因性の要素も病因として考えられていますが、果たして本当にトリガーとなりうるのかどうかは判明されていません。

遺伝的な病因

酒さは北部ヨーロッパ人あるいはケルト人、青い目を持つ人、及び色白の方によく見られる為、遺伝的な病因は明白です。酒さ患者様は、一般人口と比較すると、酒さを持つ血縁者がいる確率は4倍以上となっています。しかし関与している遺伝子はまだ同定されていません。
現在、酒さは、皮膚表面の細菌そうの乱れ、血管及び神経学的の異常信号、免疫系の調節機能障害の組み合わせによって、皮膚の敏感さや炎症が引き起こされた結果、発症すると考えられています。

血管系の病因

血管系の異常は、顔の紅斑、紅潮を理解するための主要な要因の一つです。

ほとんどの酒さの患者さまは紅潮のエピソードをお持ちです。紫外線などの刺激に対する血管の反応亢進、血流増大傾向にある方が酒さになりやすいという説があります。
この仮定を支持する根拠として、酒さの患者さまでは実際に病変部の血流が増えていることが検証されています。

紅潮を引き起こす要因、例えば感情的なストレス、辛い食べ物、温かい飲み物、高い環境温度や閉経は、酒さを悪化させます. また、α1アドレナリン受容体刺激薬(すなわち血管収縮薬)を酒さの患者さまの皮膚を塗った後に紅斑及び紅潮が消失したという実証研究により血管反応性亢進が酒さの主要な原因であることが示されました。血管反応性亢進は、主に酒さ患者様の皮膚における以下の三つの因子の発現の上昇によって示されています。それは血管内皮増殖因子(VEGF)、CD31、及びリンパ内皮マーカーD2-40です。

血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管の形成を刺激する細胞によって産生されるシグナルタンパク質です。VEGFは、血管内皮細胞を増殖させ、血管の透過性の増加させます。後述するように、紫外線照射は、皮膚においてVEGFを誘導します。そして、それは紫外線を浴びた後に、酒さが増悪することの機序に関与しています。

CD31は、血小板、単球、好中球、及びT細胞のいくつかのタイプの表面上に現出され、内皮細胞間結合の大きな割合を占めています。CD31は、白血球の移動、血管新生、インテグリン活性化に関与しています。
D2-40はリンパ管内皮に現れるタンパク質で、それが増えているということはリンパ管がたくさん作られていることを表します。

酒さの患者様の病変部の肌ではVEGF、CD31、D2-40が増えていることがわかっており、それはすなわち、血管やリンパ管がたくさん作られている状況であることが示唆されます。

先天性免疫系

自然免疫系が活性化すると、通常は皮膚中のサイトカインおよび抗菌分子の増加につながります。しかし、酒さ患者において先天性免疫系は正常に働かず、異常な炎症性サイトカインの放出及び抗菌ペプチド(AMP)の応答に繋がります。カテリシジン(白血球及び上皮細胞に発現する抗菌ペプチド)は、重要な細菌防御分子であり、酒さの血管系病因の引き金になるものであると考えられます。カテリシジンを注射した動物の研究は、ウサギにおいて血管新生、ならびにマウスでは血管拡張を示しました。

カテリシジンの中のいくつかは、酒さの患者様において、血管系異常、及び過剰な炎症反応のいずれの引き金にもなり得ることが知られています。
重要なのは、酒さで見つかったカテリシジンペプチドの型は、正常な皮膚より種類が豊富なばかりではなく正常な皮膚の型とは異なっているということです。これらのカテリシジンペプチド型は、白血球遊走、血管新生、及び細胞外マトリックス成分の発現を促進します。カテリシジンは、セリンプロテアーゼカリクレイン5(KLK5)によって、その活性型、LL-37に変更されます。

酒さ患者における、両方のLL-37及びKLK5も、正常な皮膚とは異なっていることがわかっています。
これらの分子が酒さの患者さまの皮膚の過剰な炎症、血管新生に関与していると考えられています。

活性酸素 (ROS)

最近の研究では、酒さが好中球などの炎症性細胞によって放出される活性酸素に関連していることを示唆しています。活性酸素の過剰な産生、もしくは抗酸化物質が十分に作られない状態は、酸化ストレスとして知られている状態を作ります。酸化ストレスは皮膚ガン、皮膚の老化などとも関係し、酒さを含む多くの炎症性皮膚疾患において重要な役割を果たしていると考えられています。
酒さの患者様の皮膚では、健康な皮膚と比べて活性酸素のレベルが高いことがわかっています。テトラサイクリン系抗生物質、アゼライン酸、メトロニダゾール、レチノイド、エリスロマイシン、アジスロマイシンといった薬剤が酒さに効果があるのは好中球から活性酸素が放出されるのを抑制するためだと考えられています。

また紫外線を浴びることで皮膚の活性酸素が発生し、炎症反応を引き起こし、コラーゲンなどの組織を変性させることがわかっています。酒さの患者さまは紫外線を浴びると症状が悪化しやすいことが有名で、それはすなわち上記のような活性酸素を介したメカニズムが想定されています。

プロテアーゼ

プロテアーゼは、タンパク質を分解する酵素であります。プロテアーゼの活性が酒さの原因の一因となっている可能性があります。例えばセリンプロテアーゼカリクレイン5(KLK5)はカテリシジン(LL-37)を活性化する酵素として同定されたます。LL-37は、上記のように酒さの血管系の病因を引き起こす因子としてしれています。またKLK5は皮膚の炎症にも関与している可能性があります。
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)はコラーゲン、エラスチンなどの組織を分解するプロテアーゼですが、そのバランスの崩れが、酒さの発症と関係している可能性があります。酒さでよく使われるテトラサイクリン系の抗生物質はMMPsの働きを抑制することで酒さを改善させていることが示唆されています。

細菌

多くの研究で、何らかの細菌が、酒さの原因として重要な役割を果たしていることを示唆しています。毛包、皮脂腺やまぶたのマイボーム腺に寄生存在しているデモデックスという微小なダニが酒さの発症と関係しているのではないかと考えられています。デモデックスは、ほとんどの人では、病気を引き起こさずに人と共生することと考えられています。しかしデモデックスが増えすぎると、毛包の機械的閉塞によって、またはその他の微生物のためのベクターとして作用することにより、炎症やアレルギー反応を引き起こすことで酒さの発症に関与しているのかもしれません。
デモデックスの細胞膜成分は、前述のKLK5発現および活性を増加させるいわゆるトール様受容体2(TLR2)を、活性化すると想定されています。TLR2は、Toll様受容体の一つであり、免疫系における重要な役割を果たしています。TLR2は、膜タンパク質、特定の細胞の表面に発現され、異物を認識し、免疫系の細胞に適切な信号を送る受容体です。すなわちデモデックスが増えすぎると皮膚の免疫系を過活性化させる可能性があるわけです。

デモデックス以外にも、胃炎や胃がんの原因となるヘリコバクター・ピロリ(HPI)と酒さとの関係を示した研究は多く、酒さの患者さま、健常人と比べてHPIに感染している可能性が高いとされています。

どうしてHPIが酒さの発症に関与しているのかは不明ですが、一説には活性酸素との関連が報告されています。HPIに感染している方は、活性酸素のレベルが高まっていることがわかっています。上記のように活性酸素の上昇は酒さの発症と密接な関係があるようです。
しかし、これらの細菌は、酒さの後の段階において役割を果たしていますが、酒さの初期段階で発症を引き起こすという証拠はありません。酒さは単に細菌によって発生するのではなく、複数の要因、複雑に相互作用してる皮膚のシステムの調節不全による先天性免疫応答の亢進によって発症する炎症性疾患であるからです。

環境病因

酒さの患者さまは、多くの色んな環境要因は、たとえば辛い食べ物、運動やストレス、紫外光、風、熱(熱い風呂)、および寒冷への暴露によって悪化することが知られています。

特に紫外線は重要で

  • ・紫外線はカテリシジンを過剰に誘導し、炎症を引き起こす。
  • ・紫外線はFGF2やVEGF2を誘導することで血管、リンパ管の増殖を促す。
  • ・紫外線は皮膚の活性酸素を増やす。

という3つの理由で酒さを悪化させます。

食べ物との関係は、それほどはわかってはいないのですが、

  • ・熱い飲み物、特に熱いコーヒー、お茶
  • ・アルコール飲料
  • ・辛子
  • ・シナモン

が増悪因子として知られています。
これらを避けることで、酒さが改善する例が報告されています。

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