女性に起こりうる薄毛としては、円形脱毛症、女性型脱毛症、休止期脱毛(急性、慢性)、牽引性脱毛症、真菌による脱毛症、瘢痕性脱毛症などあらゆる脱毛症がありますが、一般的に女性の薄毛といった場合は
・女性型脱毛症
・慢性休止期脱毛症
を指すことが多いです。
厳密には慢性休止期脱毛は男性にも起こりうるのですが、女性の方に圧倒的に多く見られます。特に原因不明の慢性休止期脱毛に関しては女性の薄毛に含まれることが多いです。
以前は女性の男性型脱毛症と呼ぼれていることもありました。男性型脱毛症(AGA)とよく似た特徴があります。
30代以降に、頭頂部、前頭部に軟毛化(髪の毛のコシがなくなり、髪のが細くなること)が見られ、徐々に髪の毛が抜け落ちていきます。
髪の生えげぎわが広がってくるように感じられることが多いです。
男性型脱毛症と同様に、側頭部や後頭部には症状はあまり目立ちません。
額の生え際の後退は目立ちません。
AGAよりも広範囲に症状が現れることが多いです。
初期より比較的広範囲に軟毛化が見られるのが女性型脱毛症の特徴です。
またAGAは男性ホルモンの影響であることがはっきりと分かっていますが、女性型脱毛症に関しては原因ははっきりしません。少なくとも男性ホルモンの影響だけではないことは明らかで、それゆえ、男性型脱毛症で高い効果が見られるフィナステリド、デュタステリドといった薬剤は無効です。
進行度Ludwig分類がよく使われます。
TypeⅠ
TypeⅡ
TypeⅢ
遺伝的な原因が考えられています。女性型脱毛症の患者のうち40-54%ほどは家族歴があるとされており、若くて発症した人には家族歴が多く見られる傾向にあります。
ホルモンの変化、男性ホルモンの影響、甲状腺異常、鉄欠乏性貧血などとの関連が考えられていますが、現時点では不明です。
休止期脱毛症は成長期毛が何らかのきっかけで、通常よりも多くの毛包が休止期に入ることで脱毛が起こる疾患です。
急性に起こるものを急性休止期脱毛症、6ヶ月以上続くものを慢性休止期脱毛症と呼びます。
急性休止期脱毛症は急速に髪の毛が抜け始めます。特に頭頂部、前頭部などの区別はなく、頭部全体に影響を及ぼすのが特徴です。
急性休止期脱毛症には以下のような原因が知られていますが、原因が不明な場合もあります。
・薬剤性
・膠原病(SLEなど)
・感染症(梅毒、HIV)
・甲状腺異常
・栄養失調(急速なダイエット)
・出産
・鉄欠乏性貧血
慢性休止期脱毛症は急性休止期脱毛症から続くものもあれば、なんとなく髪が薄くなってきて、気がつけば慢性休止期脱毛症であったという場合もあります。後者の原因不明の特発性慢性休止期脱毛症が大部分をしめます。
女性型脱毛症は根本的な原因がわからず、決定的な治療法はありません。ミノキシジル外用薬やHARG療法(https://tokyo-agaclinic.com/harg/)にて治療を行います。
急性休止期脱毛症は病歴の問診、及び採血検査などにより原因を検索します。
原因が見つかれば、その治療を行うことで改善が見られる場合多いです。ただしその改善には長時間かかる場合が多いです。原病の治療と並行してミノキシジル外用薬、パントガールによる治療が行われます。
慢性休止期脱毛症も同様に原因の検索を行いますが、原因がはっきりしないことが多いです。
原因不明の慢性休止期脱毛症は決定的な治療はなく、女性型脱毛症と同様にミノキシジル外用薬やHARG療法(https://tokyo-agaclinic.com/harg/)にて治療を行います。補助的にパントガールも使用されることもあります。
女性型脱毛症、慢性休止期脱毛症も低容量ミノキシジル内服療法を行うことがあります。
毛包の血流改善、及び毛包に成長因子を誘導することで毛包を成長期に導きます。
女性型脱毛症、慢性休止期脱毛症に対して高いエビデンス(医学的根拠)があります。
一般的にはミノキシジル外用薬の1%、2%、5%が販売されていますが、女性の場合は2%が選択されることが多いです。
ミノキシジル外用薬5%を使用するとややかぶれのリスクが増えますが、ミノキシジル外用薬2%で効果が十分でない方は5%をトライしてもいいでしょう。
急性休止期脱毛症の治療に用いられることが多い内服薬です。
・チアミン(ビタミンB1)60mg
・パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)60mg
・活性酵母100mg
・シスチン(アミノ酸の一種でケラチンにたくさん含まれており、頭髪の重要な要素です)20mg
・ケラチン(毛髪の大部分を占めるタンパク質です)20mg
・p-アミノ安息香酸(ビタミンB複合体の一つ)20mg
が含まれています。
特に分娩後脱毛症(出産後脱毛症)の治療には高いエビデンスが報告されています。
女性型脱毛症、慢性休止期脱毛症の治療にも補助的に使われます。
副作用:腹痛、下痢、めまい、頭痛、動悸、胸やけ
HARG療法(https://tokyo-agaclinic.com/harg/)
ヒト脂肪幹細胞を培養し、その幹細胞より放出されたサイトカイン、成長因子などのタンパク質を製剤化したものです。
それらのタンパク質を直接薄毛の気になる部分に注射します。
※院によって注入方法が異なりますので各院にお問い合わせください。
料金:1回88,000円(税込)
薄毛外用薬として有名なミノキシジルですが、元々は高血圧の治療の内服薬として開発された薬です。内服により髪の毛が生えてくるという効果は高いのですが、その他、ムダ毛も濃くなってしまうという副作用があります。
その他、むくみや立ちくらみといった副作用があり、慎重に処方されています。近年、海外から低容量ミノキシジル内服療法の効果と安全を示すエビデンスが見られるようになってきました。他の治療で反応が乏しい場合はこの治療を検討してもいいと思われます。
HARG療法10回終了後の70代の患者様です。
施術の説明:HARG療法(ハーグ療法)とは、AAPEパウダーを溶解したものを頭皮に直接注入する治療法です。
料金:1回88,000円(税込)
主な副作用:頭皮の内出血、一時的な痛み、麻酔薬に対するアレルギー
HARG治療6回終了後の30代女性の患者様です。
施術の説明:HARG療法(ハーグ療法)とは、AAPEパウダーを溶解したものを頭皮に直接注入する治療法です。
料金:1回88,000円(税込)
主な副作用:頭皮の内出血、一時的な痛み、麻酔薬に対するアレルギー
【未承認機器・医薬品等】
この治療で使用されるのは医薬品医療機器等法上の承認を得ていない未承認医薬品です。
日本では、未承認医薬品・医療機器を医師の責任において使用することができます。
【入手経路】
メトラス株式会社より個人輸入しております。
【国内の承認医薬品の有無】
国内においては承認されている医薬品はありません。
【諸外国における安全性に係る情報】
リスクとしては熱感、発赤、かゆみなどが報告されています。
A.以前は女性型脱毛症はAGAの女性版と考えられており、女性のAGAなどと呼ばれていることもありました。AGAは男性ホルモンが毛包に作用し、その成長期を短縮させることで発症しますが、女性型脱毛症も同様の機序であると考えられていたわけです。
しかし近年ではそれだけで説明できない現象が多く、AGAとは異なる疾患であることがわかっています。
A.女性型脱毛症、慢性休止期脱毛症どちらも、生活習慣の改善やご自身で改善させる方法はわかっていません。鉄欠乏性貧血がベースにある場合は、その治療を行うことで薄毛を改善させられる可能性があります。
A. 女性型脱毛症、慢性休止期脱毛症どちらもご家族で同様の症状が頻繁に見られることがよく知られています。そういった意味では遺伝しやすいとも言えますが、おそらく多数の遺伝子が複雑に関与しており、単純な遺伝形式ではないと考えられています。
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