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尋常性白斑

院長花房 尋常性白斑は後天的にメラノサイトが減弱、もしくは消失することによって、白斑(色が抜けた斑点)が形成される病気です。徐々に白斑が広がることも多く、手のひら、足の裏をのぞき、全身どこにでも発症しえます。

皮膚科外来ではしばしば見かける疾患です。外来患者様の1〜2%をしめる一般的な疾患です。

発症のピークは10〜30代ですが、すべての年齢で発症します。

「尋常性」というのは、よく見られる、一般的な、という意味です。

尋常性白斑はかつて「白なまず」と呼ばれていました。

尋常性白斑は人にうつる病気でもありませんし、また白斑があるからと行って健康を害する病気ではありませんが、美容上、社会生活上のストレスの原因や悩み、自己イメージの低下の原因となることがあります。

尋常性白斑は露出部位に発生しやすいこともあり、治療を希望される患者様が後を絶ちません。

当院ではそのような患者様のために、最善の治療を提供していきたいと考えております。

尋常性白斑の分類

汎発型(A型)

体の右左両方に広く見られるタイプで、尋常性白斑の半数以上を占めます。白斑は拡大傾向を示すことが多いです。

分節型(B型)
体の右か左のどちらか一方の皮膚分節と呼ばれる、ある特定の神経の支配領域にのみ発症します。通常、活動性がなくなると白斑の拡大は見られなくなるとされています。

限局型
皮膚の一部に限局する白斑で、大部分がA型かB型に移行します。

尋常性白班の診断

視診により比較的容易に診断することが可能です。ただ後述する通り、老人性色素斑、脱色素性母斑との鑑別が問題となることがあります。

尋常性白斑と似た病気

老人性白斑

ご高齢の方の手足を中心に、米粒大〜小豆代の白斑が出現します。数個から数十個まで、白斑の数には個人差があります。比較的小さなものが多く、個々の白斑は拡大したり融合したりしない点が尋常性白斑と異なります。
色素細胞の活力低下によるもので、白斑(尋常性白斑)とは異なる皮膚病です。

脱色素性母斑

生まれつき皮膚の一部で色素を作る機能が低下した状態です。生まれたとき、または生後間もなくから症状が見られることが尋常性白斑と異なります。大きくなっていくことはありません。外見上は尋常性白斑と似ていますが、「生まれつきあること」、「拡大傾向が見られないこと」などが尋常性白斑と異なります。

炎症後白斑

湿疹が治った痕が一時的に白っぽくなる現象です。炎症によりメラノサイト(メラニンを作っている細胞)がダメージを受け、働きを一時的に休止してしまうからと言われています。時間とともに軽快することがほとんどです。

海水浴後白斑

強い日焼けをした部位に皮膚がまだらに白っぽくなる現象です。強い紫外線によりメラノサイト(メラニンを作っている細胞)がダメージを受け、働きを一時的に休止してしまうからと言われています。学童期のお子さんの顔、腕などによく見られます。時間とともに軽快することがほとんどです。
炎症後白斑の一種と考えることもあります。

尋常性白斑と同時に患いやすい疾患

尋常性白斑は甲状腺疾患、悪性貧血、糖尿病、萎縮性胃炎などと同時に患うことがあるといわれています。なかでも甲状腺疾患と同時に患うことが比較的多く、甲状腺機能に関する血液検査はなるべく行うようにしております。

尋常性白班の原因

なぜ尋常性白斑が発症するのか、についてはたくさんの説が提唱されています。

①自己免疫説

抗体、もしくはT細胞が色素細胞を攻撃してしまうという説。

②色素細胞自己破壊説

色素を産生するときに作られる中間代謝物に毒性があり、それをうまく処理できなくなったために色素細胞が破壊されてしまうという説。

③神経説

尋常性白斑が神経節に沿って発現することがあるため、神経線維が発症になんらかの関与をしているのではないか?との説。

④活性酸素説

皮膚における代謝障害により活性酵素が増加し、色素細胞を傷つけることにより発症しているのではないか、という説。
どれが正解なのかはなかなか難しく、これらの原因が複合的に発症に関与しているのではないかと考えられています。

治療法

①ステロイド外用薬(保険適応)

比較的弱めのステロイド薬を、1日2回患部に塗布します。
限局型や、B型の病初期には有効なことが多いようです。非常に簡単な治療なのですが、長期で使用した場合副作用が問題になることがあります。
発症して長い時間が経った病変にはあまり効果がありません。

②活性型ビタミンD3外用薬(保険適応外)

活性型ビタミンD3外用薬による尋常性白斑に対する効果が報告されつつあります。なぜ効くのかははっきりとは分かっていません。ステロイド外用薬と比べて副作用が少なく比較的使いやすい薬剤です。

③紫外線治療(週に1回程度の通院が必要になります)

尋常性白斑に対して紫外線治療が有効です。光線治療にも様々なものがありますが、最も効果が高いのが、ナローバンドUVBという紫外線照射器を使った治療で、その治療を行った場合、尋常性白斑の63%で有効であったと報告されています。
さらに当院では三鷹院、新座院、国分寺院、久我山院、志木院に、光線治療機器であるエキシマシステムを配置しています。一般的に、広範囲の白斑に対してはナローバンドUVBが、狭い範囲の白斑や難治性の白斑に対してはエキシマシステムがより有効と考えられています。2021年3月現在ナローバンドUVBは当法人では取り扱っておりません。

 

治療についてのコメント

難治性の皮膚疾患の代表でなかなかよくならないとされておりますが、光線治療と外用治療を併用することで高い効果が得られます。

日本皮膚科学会のガイドラインでは、16歳以上の患者様では最初から紫外線治療と外用療法(ステロイドやビタミンD3製剤)を組み合わせるように推奨されています。

ガイドラインでは「成人の尋常性白斑の患者に対する治療としてナローバンドUVBはPUVAよりも治療効果に優れ、保険適応もあり、紫外線治療の中で第一選択としてよい」と、ナローバンドUVBによる紫外線治療を勧めています。

当院は開業医では珍しくナローバンドUVBとエキシマシステムの両方を有していますので、尋常性白斑の患者様にお役にたてることも多いのではないかと考えております。

エキシマシステムについて、ガイドラインではナローバンドUVBとの比較について言及しており

ナローバンド UVB との比較試験においては,ナローバンド UVB 群で 75% 以上の色素新生が 6% であったのに対して, 308nm エキシマレーザーライト治療器群では 37.5% に認めた.また,ナローバンド UVB 治療に反応しな かった頸部顔面の白斑においてその 16.6% が 308nm エキシマレーザーライト治療により 75% 以上の色素 新生を認めたとする報告がある.

と記載されており、 現時点ではエキシマシステムが最も効果の高い光線治療である可能性があります

通常の治療で反応しない場合、ビタミンD3製剤外用薬、タクロリムス軟膏などの治療が試みられています。

当院では、「難治性皮膚疾患だからなかなか良くならなくても仕方ない」といった言い訳はせず、真剣に結果を追求します。

もし、これまでステロイドの外用治療などを試しても良くならなかったという方は、一度、はなふさ皮膚科にご相談ください。

ステロイド外用と光線治療を組み合わせた治療例です。

光線治療開始後、6か月目の写真です。良好な色素の増生がみられ、白斑が顕著に縮小しております。

治療の流れ

①まず医師の診断により診断を行います。

②患者様のご希望、ライフスタイルにあわせて治療計画をたてます。

ステロイド外用薬、ビタミンD3外用薬にて治療を行う場合

③1ヶ月に1回程度の通院にて、経過を観察します。

光線療法を併用する場合

③週1回程度の通院を行います。

④月一回程度の診察を行い、改善を確認していきます。

光線治療料金表

3割負担の患者様

光線治療1回あたり約1200円程度となります。

1割負担の患者様

光線治療1回あたり約400円程度となります。

尋常性白斑Q&A

白斑が内蔵疾患から来ているということはないですか?

そういうことはないのですが、甲状腺疾患と同時に患いやすいことが分かっておりますので、採血などで検査しておくことをお勧めしたいと思います。

白斑の治療は痛いですか?

外用療法も光線治療は全く痛くないですのでご安心ください。

白斑の治療はどれくらい時間がかかりますか?

範囲にもよりますが、1回の治療あたり10分程度となります。かなり広範囲に発疹が及んでいる場合、20分ほどかかる場合もあります。

週何回くらい通えば良いですか?

最初の頃は週1〜2回ご通院をお願いしたいと存じます。

何回くらい通えば良くなりますか?

効果は患者様によって異なりますので、週1回通っていただければ、1
〜3ヶ月で効果を実感できることが多いと思います。

白斑の光線治療はどれくらい料金がかかりますか?

3割負担の患者様
光線治療1回あたり約1200円程度となります。

1割負担の患者様

光線治療1回あたり約400円程度となります。

予約は必要ですか?

特に必要ありません。直接ご来院いただき、光線治療を受けにきたことをお伝えください。

日常何か気をつけることはありますか?

病変部に過度に日焼けをすると、正常部が日焼けで黒くなり、病変部が白いままのためコントラストが大きくなり、病変がかえって目立つ結果になるため、
注意が必要です。

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