日光角化症とは、いわゆる「赤シミ」と呼ばれ、高齢の男女の露出部(顔、手背など)によく見られます。 表皮の下半分に角化細胞(表皮を作っている細胞)の異型性が見られます。細胞の異型性(Atypia) とは、もともとの細胞とは異なる形になっている、すなわち癌化の過程を見ているものです。 近年、注目度がアップしている疾患です。 決してまれな疾患ではなく、欧米ではcommon disease(ありふれた疾患)とされています。 もちろん日本人にも(欧米ほどではないにしろ)多く見られます。 一部教科書に「日本人にはまれである」と書かれていますが、それは誤りで、日光角化症についてあまり知られていなかった時代の話です。 ■日光角化症の臨床像 前癌病変だが、どのくらいの確率で癌化するかは、はっきりしません。 |
日光角化症と湿疹との比較は以下のようになります。
日光角化症 | 湿 疹 | |
患部 | 露出部にできやすい | どこでもできる |
かゆみ | 少ない | かゆい |
経過 | 長い | 様々 |
ステロイド | 少し反応 | 著効 |
病変より1mm~4mm離して切除します。
日本では伝統的に外科的切除を優先する傾向にあります。
それは病変全体の病理的検索が可能なことが挙げられています。
■米国でも
・その他の治療に抵抗性の場合
・急速に大きくなっている場合
・病変が分厚くなっている場合
・病変から出血が見られる場合
・病変が角化している場合
は切除が望ましいとさています。
■外科的切除のメリット
・病理的な検索(すなわち癌化していないか?)を最も確実に診断することができる、というメリットがあります。
・最も確実に治療できます。
■外科的切除のディメリット
・どうしても傷が残ってしまう。
・病変が多発している場合は現実的には全て外科的に取り切ることは困難。
・きちんと切除しても再発することがある(報告に盛りますが1年後4%程度との報告もあります。
どうしてきちんと切除しているのに再発するかというと、病変ができた部位というのはすでに紫外線のダメージが蓄積しており、日光角化症ができやすいコンディションができてしまっている、と言っていいでしょう。
液体窒素をスプレーする、液体窒素を綿棒につけて病変に押し当てるなどの治療が行われます。病変が完全に消える可能性は、39%~82%程度です。
■液体窒素による凍結療法のメリット
・非常に簡単(1病変あたり20秒程度で治療が終了する)
・病変が多数あっても治療が可能
■液体窒素による凍結療法のディメリット
・病理的検討ができない、それゆえ治療後の敵的な経過観察が必要
・やや治癒率が低い
光感受性物質(aminolevulinic acid [ALA] or methyl aminolevulinate [MAL])を摂取してから特定の波長の光をあてることで、光を当てた範囲の細胞を死滅させる治療です。
広範囲の日光角化症には使いやすい治療で、70~90%近くに治癒が見られ、見た目的にも満足な結果が得やすいとされています。
ただし、日本では日光角化症に対してはフォトダイナミック療法はあまり行われていません。
イミキモドクリーム(ベセルナ)を病変に塗布します。日本では保険適応となっています。
なぜイミキモドクリームが効くのかははっきりしていませんが、おそらく、局所の免疫を活性化させるからではなないかと言われています。
イミキモドクリームを週3 回、16 週間外用で完全消失率は45~57%と報告されています。
(面倒な割に)あまり効果が高くないことから、適応は何らかの理由により手術ができない患者さまに限るという考え方もあります。
ただ、イミキモドクリームには他の治療法にはないメリットもあり、 治癒後再発率が低い、整容的に仕上がりが良いというメリットがあります。
5=FUは抗がん剤として用いられている薬で、胃癌、肝癌、結腸・直腸癌、乳癌、膵臓癌、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌などに適応があります。細胞のDNAの合成阻害により抗がん作用を発揮します。
軟膏にしたものが本剤で、様々な皮膚ガン
5%か5%濃度で1 日2 回、4 週外用での完全消失率は43~96%と報告されている。
原則として閉鎖密封療法(ODT)が望ましいとされています。
なかなかいい治療法ですが、厳密には日光角化症の保険適応はないので使えないのが実情です。
生命予後は幸い良好です。
どの程度で有棘細胞癌に進展するかは不明な点が多いのですが、SCCに進展するケースがあるのは確実です。
早めに(日光角化症のうちに)治療をしておけば、問題ないでしょう。
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