当院がおすすめする新しいアトピー治療とは、アトピー性皮膚炎に対してだらだらとステロイド外用薬を使う治療を止めたいという方のための治療法です。
ステロイド外用薬をだらだらと使用する方法は、先進国では既に時代遅れとなり、タクロリムス軟膏を使用した治療、プロアクティブ療法がメインとなりつつあります。 詳しく知りたい方は こちらのリンク もご参照ください。 |
これらの治療は以下のような方にオススメの治療です
・アトピーが何度も繰り返し困っている方
・これまでのステロイドをだらだらと使用する治療法をもう止めたい
・アトピーを完全に制御したい方
・アトピー性皮膚炎でお困りの方で、あまりステロイドを使いたくないという方
・ステロイドの副作用が出て困っている方
アトピー性皮膚炎はステロイド外用薬と保湿剤で治療する方法が普通でした。
しかし何度も繰り返してしまうアトピー性皮膚炎に対してだらだらと戦略も無くステロイドを使用するという治療が蔓延した結果、必要以上にステロイドを怖がる患者を増やし、怪しげなアトピービジネスを広げる結果になってしまったのは周知の通りです。
アトピーに対して、ステロイドをダラダラ使用する、というのはある程度やむを得ないとの考え方もありましたが、今日では、ヨーロッパを中心にステロイドの使用量を減らし、なるべくタクロリムス軟膏等に切り替えていく方法が主になりつつあります。
また 後述するプロアクティブ療法が出てきてからアトピー治療は決定的に変わり、ステロイドをだらだらと使用する方法は必要なくなりました。
①アトピー治療に対してステロイド外用薬と保湿剤で治療を行う
②ある程度良くなれば、ステロイド外用薬は中止し、保湿剤を中心とした治療を行う
③悪化したらまたステロイド外用薬を使う
とのいう繰り返しでした。
その結果、湿疹を何度も繰り返してしまう、いくら治療しても良くならない、ステロイドの副作用が出てしまったという不満につながっていました。
ステロイド外用薬は決して危ない薬ではなく適切に使用した場合、安定した結果の得られる薬なのですが、アトピー性皮膚炎などの慢性疾患の患者様に長期で使用した場合、やはりある程度の副作用は避けられません。
例えばステロイド外用薬を使用した場合、皮膚の免疫を低下させる事でニキビができやすくなる、皮膚の感染症になりやすくなる、皮膚が萎縮し薄くなる、皮膚からの水分の蒸発量が増えてしまうといった問題点があります。皮膚が薄くなり、水分の蒸発量が増えれば、皮膚はデリケートになりステロイドを急に中止した場合、アトピー性皮膚炎が再燃してしまう原因ともなっていました。
これまでのような治療を行っていた場合、徐々に皮膚に負担がかかり、かえってアトピーを治りにくくしていた側面がある事も否定できません。
ただ、ステロイドを使わないとすぐに症状が再燃してしまうアトピー性皮膚炎の患者様も多く、止めたくても止められない、という方が多くおられたのも事実です。
これらの副作用もあってステロイド外用薬は怖い薬、というイメージが定着してしまったようです。
ステロイドを長期使用したくないと、長期で使用する事で副作用が出てしまったという方のために作られた薬がタクロリムス軟膏です。
こちらはステロイド外用薬を含まないため、皮膚が萎縮したり、皮膚からの水分量が増したりといった副作用がなく、比較的、長期で使用するには向いている薬です.そのため、アトピーがある程度落ち着けばステロイド外用薬からタクロリムス軟膏に切り替えるのは一つの方法で、すでにヨーロッパ、アメリカなどの先進国ではステロイド外用薬にてある程度、湿疹を制御できたらタクロリムス軟膏に変更するように推奨されています.
しかしこのタクロリムス軟膏も副作用が無い訳でなく、ぴりぴりする、灼熱感がある、ニキビなどの皮膚細菌感染症の原因になりうる等の問題点がありました。
それらの問題を解決するために出てきたのが、プロアクティブ療法です。
プロアクティブ療法というのは湿疹病変が良くなっても、すぐにステロイド外用薬やタクロリムス外用薬をすぐに止めずに、週に1,2回、それらの外用薬を再燃しやすい部位につける治療法です。
そうする事で湿疹の無い、良い状態を長期間維持する事も可能となります。
この治療法の特に優れているのは、ステロイド外用薬やタクロリムス軟膏を週1、2回使うだけなのでそれらの副作用を無視できるレベルにまで減らす事ができる点です。
これからはタクロリムス軟膏への切り替えおよびプロアクティブ療法にてアトピー性皮膚炎に対してステロイド外用薬の使用を減らし、アトピーを完全にコントロールする時代となります。
(注意)当院ではステロイド外用薬を使わない訳ではありません。むしろ使うべきときには強力にステロイド外用薬を使います。ステロイド外用薬はアトピー治療の初期(寛解導入期)には必須の薬剤ですし、皮膚が分厚くなったアトピーや痒疹という塊になったアトピーに対しては必須の治療薬です.
ただしだらだらと何の戦略もなく使用する事はありません。後にタクロリムス軟膏やプロアクティブ療法が控えている事を前提に使用します。
アトピーの治療にステロイド外用薬は時に必要です。中等度以上のアトピーの場合、ある程度良くするまでの間(寛解導入期)にはステロイド外用薬が必要ですし、皮膚が分厚くなったアトピー(苔癬化)や塊になったアトピー(痒疹)にはステロイド外用薬はやはり必要です.まったくステロイドを使わない、という治療法ではありませんので、あらかじめご了承ください。
使用初期にはぴりぴり感、火照り感、灼熱感がかなりの確率で発生します。しかしそれらは数日?1週間程度で速やかになくなりますのでご安心ください。その他ニキビ等の皮膚細菌感染症にかかりやすくなる事が報告されています。
タクロリムス軟膏は使用初期にはそのような副作用が高頻度に出現します。それは神経末端からサブスタンスPというかゆみ物質が大量に放出されるためのようです。その後、サブスタンスPが枯渇し、それがなくなればかゆみやぴりぴり感は速やかには落ち着きますのでご安心ください。
もしぴりぴり感がつらければ痛み止めを飲む、抗アレルギー薬を飲む、冷やすと言った対処法があります
湿疹病変が十分良くなってからです.医師が判断しますので、ご自身では判断しないようにお願いします。
プロアクティブ療法への切り替えがうまく行かない場合は、ステロイドあるいはタクロリム軟膏の使用を段階的に減らしていく方法が効果的です。例えば1日2回の使用を1日1回にする、それから隔日にする、というように徐々に減らしていく方法です.いずれにしろ経験豊富な医師がアドバイスさせていただきますので、ご安心くださいませ。
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