耳垂裂とは、耳たぶが裂けてしまった状態のことです。
耳垂裂は生まれつきのもの(先天性耳垂裂)と、ピアスを引っ張られるなどの外傷により発症するもの(外傷性耳垂裂)に分類されます。
先天性耳垂裂は稀で、外傷性耳垂裂は頻繁によく見られます。
先天性耳垂裂も外傷性耳垂裂もどちらも治療法は手術を行います。
手術は大きく二つに別れ
・直線型縫合
・非直線型縫合
の2つががあります。
前者は簡単な方法ですが、縫合した傷の下の方が窪みやすく
それを避けるために後者の非直線型縫合が考案されるに至りました。
非直線型縫合は
・Z形成術
・ダブルトライアングル法
・W形成術
などが代表的です。
耳垂裂のZ形成術だけでも数通りあり、どの方法がいいかは、耳の形、
耳垂裂の入り方により異なります。日本の形成外科では最も好まれる術式の一つです。
図のように面と裏に小さな三角形の皮弁を作ることで皮膚の長さを確保し、かつ傷をジグザグにすることで傷を目立たなくさせる効果があります。欧米では一般的に好まれる治療法です。
傷がWの字に似た形に仕上がりますのでW形成術と呼ばれています。耳の変形が高度な場合は良い適応となります。
(副作用:感染、発赤、痛み、傷跡、瘢痕、ケロイド)
June Kyu ParkらArch Craniofac Surg. 2017 Dec; 18(4): 277–281.
これは直線型縫合に近いのですが、垂直マットレス縫合を縫合下部に施すことで、陥凹になりにくく、十分満足いく仕上がりになることが多いです。それほど変形が強くない場合はこちらの方法をお勧めしたいと思います。
耳垂裂の手術方法は極めて様々な方法が考案されており、一概にどれが優れているとは言えないです。
耳の形、分厚さ、変形の具合によって最適な治療法は変わってくると考えています。
当院のドクターにご相談ください。
当院での治療の特徴
当院は非侵襲手術に力を入れているクリニックです。皮膚科専門医、形成外科専門医(およびそれに相当する経歴の医師)がなるべく傷が残りにくいように手術を行います。事前のデザイン、丁寧な縫合を心がけています。
また痛みにも配慮し、クーリングや特注の微小針を使った麻酔などを行なっています。
その後、症例によってはテーピングを数ヶ月行います。
手術創より細菌感染することにより起こります。傷跡の痛みが増し、腫れ、汁や膿が出てくると感染が疑われます。抗生剤を予防的に飲むことで可能性は限りなく低く抑えられます。
傷跡を縫合した糸が取れてしまうことです。糸が衣類やシーツなどと擦れることで糸が取れてしまうことがありうるでしょうが、発症頻度は稀です。
手術に伴う痛みを数日感じる場合があります。痛み止めの飲み薬を飲むことで十分に対応可能です。
手術後、傷の赤みが目立つことがあります。数ヶ月で目立たなくなっていきます。
傷跡の最も下のあたりに凹みが残ったり、引きつれが起こる場合があります。その場合、再手術で修正します。
耳垂裂がいくつもある場合や、耳垂裂は1箇所でもケロイドや肥厚性瘢痕が合併している場合は、完全に耳の形を正常化できず、変形が残る場合があります。
体質によっては縫合した傷跡からケロイドが発生することがあるのでしょうが、経験的にはほとんどありません。ケロイドが発生すればステロイドの注射などの治療を行います。
治療後抜糸まで7−10日間は手術した耳をガーゼで保護していただきます。入浴、シャンプーは手術翌日より可能です。また傷も翌日からシャンプーもしくは石鹸で洗っていただいて構いません。
手術翌日より傷を石鹸やシャンプーで洗っていただき、その後、軟膏をつけガーゼで覆っていただきます。抜糸までその処置を続けてください。抜糸後はテーピングをお願いします。
可能な限り耳の変形を修正できるように手術を行いますが、耳の変形が残ってしまう場合もあり得ます。なるべく修正できるように全力を尽くします。
麻酔の注射が多少痛いのですが、それ以外はほとんど痛みを感じないかと思います。麻酔が効きやすい部位であることと麻酔の持続時間が長い部位なので、手術中に痛みを感じることもほとんどないでしょう。
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