いわゆる茶アザで、健常人の10%にみられるものです。日本では扁平母斑というと均一な茶アザを指します。茶色の中に小さな濃い茶色の斑点があるものは日本では点状集簇性母斑の亜型と捉えることが多いです。
出生時、もしくは生後比較的早期に出現し乳幼児期に病変がはっきりしてきます。
性差はなく一般的に6歳を過ぎると新たに増加することはありません。
手のひら、足の裏を除いてどこにでも発症しえます。1つのことが多いのですが、3つ、4つと見られることもあります。
数mmー数cmのことが多いのですが、数十cmになることもあります。
大きな扁平母斑(小児であれば5mm以上、思春期以降であれば15mm以上)が6個以上あれば、神経線維腫症1型(NF1,レックリングハウゼン病)が疑われます。
NF1とは、皮膚に神経線維腫という腫瘍が多発してくる疾患です。扁平母斑が多発し、骨病変が見られることもあります。中枢神経にも神経線維腫が出てくる場合があり、注意が必要です。
そのほか、McCune-Albright症候群という疾患でも扁平母斑が片側性に見られることがあります。McCune-Albright症候群は10万人から100万人に一人に発症する稀な疾患で、皮膚カフェオレ斑、線維性骨異形成症、ゴナドトロピン非依存性思春期早発症の三主徴が有名です。
Qスイッチレーザーでの治療が第一選択肢になります。
(※当院では、2019年から扁平母斑は全例、自費治療で行っております。)
Qスイッチレーザーを繰り返しても再発する場合があります。
Qスイッチレーザーとは、10億分の1秒の単位でレーザーを照射する機械でシミ治療の切り札となる治療法です。
現在さらに照射時間の短いピコレーザーも登場しており、Qスイッチレーザーで十分効果を得られなかった場合はピコレーザーをトライしてもいいかもしれません。
扁平母斑に関しては、Qスイッチレーザー、ピコレーザーその他のレーザーは全て自費治療です。
レーザー治療の専門家の間でよく言われていることは、扁平母斑の辺縁がギザギザして、いびつな形をしている場合はレーザーの反応が良く、逆に辺縁が整で綺麗な円形、もしくは楕円形の場合はレーザーの反応が良くないことが知られています。
幼少期より治療をスタートした方が、あざが消えやすいとの報告もあります。
◇Qスイッチレーザー
◆主な副作用:痂皮化、炎症後色素沈着、赤み、シミがとりきれないこと
Wang HWらによると4回のQスイッチアレキサンドライトレーザーの治療で、カフェオレスポット(扁平母斑と病態はほぼ同じ)の反応率は50%、治癒率は21.43%、扁平母斑に対しては、反応率は50%、治癒率は25%と述べている。そういった意味では、治療は困難というほどでもなく、トライしてみる価値は十分あると言えるでしょう。
Moreno-Arias GAらは広範囲の扁平母斑に対してQスイッチアレキサンドライトレーザーに治療を16回行うことで、顔面の病変は50%取り除けたとし、Qスイッチアレキサンドライトレーザーは扁平母斑の治療に適していると結論付けました。
Qスイッチルビーレーザに関してですが、赤坂らによると、
・類円形のものより地図状の扁平母斑の方がレーザーは効きやすい
・四肢、躯幹よりも頭頸部の方がレーザーは効きやすい
・有意差は無いものの3歳未満の方が3歳以上の方が、レーザーが効きやすい
・有意差は無いものの、3cm未満のものの方が、3cm以上のものより効きやすい。
と述べています。
当院では2019年から扁平母斑は全例、保険適応ではなく、自費治療で行なっております。
保険治療には様々な制限があり、扁平母斑の治療は現実的には困難と判断したためです。
扁平母斑の治療を保険で行なった場合
・使用できるレーザーが限られている。
・治療が2回しか行うことができない。
・治療間隔を3ヶ月以上開けなければいけない
・(レーザー治療回数は2回という縛りがあるため)テスト照射ができない。
という難点があります。
上記の縛りのため、扁平母斑の治療は困難を極め、保険治療で取ることは非常に困難です。
実際は2回レーザーを行なったところで扁平母斑は取れることは少なく、一部だけ取れてまだらになってしまい、かえって外見上良くないことになり得ます。
保険治療では、3回以上のレーザーの追加も色素沈着を抑える薬も認めていないため、外見上良くない結果になってしまってもそれ以上どうすることもできません(自費治療を追加すると混合診療となり、医師法違反になります)。
これらの理由から、扁平母斑に対して保険治療でレーザー治療を行うことは限界と感じ、2019年5月からは全て自費治療にて対応させていただきます。
逆に自費治療にてレーザーを行なった場合は、多くのメリットがあります。
メリット
・テスト照射が可能になりますので、まず小範囲レーザー治療を行い、レーザーが効くかどうか確認することができます。
・何度もレーザーを行うことができる。
・ピコレーザーなど、最新式のレーザーを使うことができる。
・色素沈着を抑えるハイドロキノンや、トレチノインなどと併用が可能となる。
などです。
これまで扁平母斑の治療は困難と考えられてきましたが、’保険治療の範囲では困難’という意味であって、いろいろな治療を組み合わせた場合は、治療可能とのなる例が飛躍的に増えるでしょう。
扁平母斑が悪性化することはなく、NF1やMcCune-Albright症候群を合併しない限り生命予後に影響はありません。
上記を何度か繰り返します。
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