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化膿性汗腺炎の原因

化膿性汗腺炎はかつて膿皮症と呼ばれた疾患です。化膿性汗腺炎病因は完全には理解できていません。最近の研究は、病気に関与するメカニズムが少しづつわかりつつあります。HSの病態の主な原因部位は、毛包ユニットです。毛孔閉塞、毛包の破裂と異物型免疫応答は、化膿性汗腺炎の発症の必要条件です。遺伝的要因と喫煙、微生物のコロニー形成、肥満など環境的要因は、すべてに化膿性汗腺炎の発症に貢献しています。この病気に対して新しい治療法の選択肢を開発するために、化膿性汗腺炎に関与する炎症メカニズムに焦点を当てた人種を越えた研究が必要です。

遺伝的要因

化膿性汗腺炎は遺伝的傾向が強く、常染色体優性遺伝パターンが指摘されていますが、特に原因遺伝子は発見されていません。おそらくいくつかの遺伝子が関与しているのでしょう。

毛包閉塞

HS病因における(ニキビ同様に)毛包漏斗部(毛穴の出口付近)の閉塞は確実です。病気の期間に関係なく、毛包漏斗部の閉塞は、化膿性汗腺炎の初期においてよく見られます。Von Laffertらは、化膿性汗腺炎の標本の大半毛包の出口周辺のの過剰角化と過形成が見られ、その結果毛包が閉塞していると記載している。毛包周囲炎と破裂した毛包も頻繁に観察されました。毛包の閉塞は、毛包の拡張につながると、いずれ毛包が破裂し、細菌や角質を含む内容物が皮内、皮下にばら撒かれます。この過程では、好中球、リンパ球の遊走を含む積極的な炎症反応を誘発します。

ここで化膿性汗腺炎においてどうして毛包閉塞が発生するのか?ということについては種々なメカニズムが提唱されています。毛包漏斗部(毛孔出口あたり)には多様な細菌そうが生息しているため、毛包・皮膚免疫システムの欠如は、微生物の増殖につながり、その結果、免疫反応が誘導され毛孔の閉塞に繋がるというのが一つの説です。一方で別の説では、化膿性汗腺炎の方では毛孔の微生物が増えすぎるのではなく、無害な微生物に炎症反応をもたらす、すなわち過剰に免疫が誘導された結果、毛穴が閉塞してしまうという説です。2018年現在、過剰な免疫反応を抑制する生物学的製剤の化膿性汗腺炎に対する有効性が確認されており、その結果、後者の説の方が正しいのではないかという風に考えられています。

感 染

HSの病因として細菌が何らかの役割を果たしているということは長い間、考えられていることです。一般的に細菌は、HSの病因に直接的に大きな役割を持っていないことが合意されているが、慢性的な再発病変において二次的な細菌感染により破壊的なプロセスを引き起こしうることはよく知られています。ただしこの疾患において二次的な細菌感染に夜、敗血症と全身性疾患は例外的に稀です。

ホルモン因子

性ホルモンと化膿性汗腺炎の間に強い関係が存在します。化膿性汗腺炎は女性に多いことは、アンドロゲン(男性ホルモン)に対し女性がより感受性が高いことが示唆されます。大半の化膿性汗腺炎患者の血清アンドロゲン値はそうでない人に比べてには上昇はありません。これはすなわちアンドロゲンに対する末端器官の感受性が化膿性汗腺炎の発症において重要であるこということを示しています。これは、アンドロゲン受容体の抑制において Fox01の役割は大きい。
アンドロゲン受容体へのアクセスの増加は、インスリンとインスリン様成長因子-1 (IGF-1) によって媒介されますが、いうまでもなくそれらは両方の慢性的な食事の要因によって増加されます。インスリン、IGF-1の分泌を分泌を促す食事、すなわち欧米化され食事は化膿性汗腺炎を発症、悪化させうるということになります。女性では、化膿性汗腺炎は初潮前後に発生し、月経前に悪化し、妊娠とともに改善し、閉経後の消失していきます。抗アンドロゲン療法は、男女両方のHS患者に役立つ。フィナステロイド(AGAの治療で使われる5α-還元酵素タイプ Ⅱ選択的阻害剤)は、5α-DHTのレベルを低減させることで、化膿性汗腺炎を改善させることが知られています。

免疫因子

化膿性汗腺炎は通常、熱が出たりショックになったりという全身の炎症反応が出ないことが普通です。敗血症(全身に菌が回った状態)もなく、リンパ管炎は稀で蜂巣炎(ほうそうえん)になる程度です。化膿性汗腺炎の原因が明らかである場合、その問題物質が除去すると、化膿性汗腺炎は抗生物質なしで自然治癒します。これは、化膿性汗腺炎の病変部で起こっていることは、自然免疫システムによって局所レベルで発生する炎症であることを強く示唆しています。免疫システムの過剰な反応が化膿性汗腺炎の症状を悪化させます。早期病変の病理学的検査では、T-リンパ球とサイトカインを中心とした先天的および後天性の免疫応答が多種多様に起こっていることを示しています。残念ながら、炎症を一次的に押さえたところで病気を治すことはできません。

肥満と物理的な外力

毛包ユニットの支持構造の弱さのため外的な力により毛包が破裂してしまうという潜在的な可能性はかなり高いです。患者は病変をつまんだりつねったりすることで病変を悪化させてしまいます。肥満は皮膚にかかる圧力および擦れる力を増加させ、症状を悪化させます。血中ブドウ糖およびインシュリンのレベルを上げる食事の習慣と肥満との関係はより重要です。これは、アンドロゲン受容体を過敏にし感受性を高めさせます。毛穴のつまりを悪化させる、インスリン抵抗性を引き起こし更なる肥満を高めるといった困った効果があります。化膿性汗腺炎は細身の人よりも太り気味の患者に発症しやすく、悪化しやすいのはこのためです。

肥満は皮膚同士そして皮膚と衣類の摩擦の増加によりHSを悪化する可能性があります。これらの機械的ストレスは、毛包閉塞と毛包破裂を増加させることにより、化膿性汗腺炎を発症、悪化させうると考えられます。機械的圧縮、摩擦、左右にねじれる力は、皮膚のいくつかの“mechanotransducer“により感受されます。そこから様々な経路を経由して線維芽細胞、角化細胞のDNAを活性化し、毛穴出口付近の表皮角質を分厚くさせます。その結果毛穴が閉塞しやすくなります。また、肥満している患者は一般的に全身的に炎症レベルが高くなっており、化膿性汗腺炎の病変部皮膚における炎症サイトカインと合わさり病状を悪化させているとも考えられます。

喫 煙

化膿性汗腺炎は、疫学的に喫煙に関係していることは非常に有名であり、臨床家にとっては明らかであります。タバコの煙は、何千もので成分で構成されていますが、ニコチン、芳香炭化水素、およびダイオキシンのような化合物が最もよく知られている化学物質です。これらの成分は、ケラチノサイト、線維芽細胞と免疫細胞を少なくとも2種類の受容体(ニコチン性アセチルコリン受容体とアリール炭化水素受容体)を介して活性化しています。

毛孔のケラチノサイト(角化細胞)では表皮・角質肥厚、毛包漏斗部上皮過形成、過度の角化に繋がります。この結果、毛孔が閉塞しやすくなるというのはいうまでもありません。それだけではく、ニコチンは細胞接着を増強し、バイオフィルム形成を誘導することにより黄色ブドウ球菌の病原性を増加させ、同時に、人間のような抗菌ペプチドの合成を阻害することより細菌の侵入を受けやすい毛包の免疫をさらに弱めます。

食 事

成長を制御するアンドロゲン受容体は、通常、体内を循環するアンドロゲンに対して必要以上にアクセスできないように閉ざされています。上述した通り上昇したインスリンと IGF-1は、これらの受容体を開き、循環しているアンドロゲンを結合させます。インスリンと IGF-1が上昇することでアンドロゲンは、以前にアクセスできな買ったアンドロゲン受容体を利用することができます。毛包のアンドロゲン受容体を刺激すると、毛孔のケラチノサイトの過剰産生と過角化の保持に至ります。その結果、毛孔が閉塞しやすくなり、化膿性汗腺炎を発症し悪化させます。アンドロゲンは、副腎、卵巣、精巣で作られるほか、乳製品の一部、経口避妊薬、レボノルゲストレル含有子宮内デバイス (IUD)、筋肉内MPA注射(不妊治療で使われる)、および避妊薬インプラントなどがあります。

リチウムによって発症、または増悪することがあります。

まとめ

結論としては、化膿性汗腺炎の患者では、上記したような様々な原因がきっかけで、毛包の常在細菌叢への異常なケラチノサイト応答で始まる無症状の炎症状態があります。その後、異常なサイトカインとAMPの生産が引き起こされます。毛包に集まった免疫細胞は、炎症サイトカインとケモカインを分泌し始めます。毛孔上皮が反応し、角化細胞が過形成になり、毛包漏斗部閉塞、嚢胞形成を促します。

喫煙と欠陥のあるノッチシグナリング(遺伝子伝達経路)は、表皮過形成、嚢胞形成、および炎症性環境を促進することにより、このプロセスを増悪させます。嚢胞は、破裂し真皮に細菌や角質を追放し、免疫応答を引き起こします。膿瘍の形成は、毛嚢脂腺のユニットと最終的に周囲の皮膚付属器構造の破壊し尽くします。組織学的には、慢性疾患は、高密度の炎症性細胞浸潤、巨大な細胞、瘻孔、皮下膿瘍、およびそれ以降の段階で広範に線維化広がります。瘻孔は、化膿性汗腺炎において最も治療困難な状態です。

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