幼少期、通常の1歳までに発症する母斑で一般的に言うホクロ(母斑細胞母斑)とは区別しています。
表皮母斑は厳密には表皮細胞の過誤腫で普通のホクロ(メラノサイト由来と考えられています)とは先祖も異なります。
代表的なものに
・疣状(ユウジョウ)母斑
・列序性母斑
・炎症性線状疣贅状表皮母斑
があります。
最も一般的な表皮母斑で、名前の通りイボに非常によく似ています。
イボ状の褐色隆起性の病変が蛇行するように並ぶことが多いです。
出生時、もしくは生後2~3か月で目立ってきて特徴的な所見となります。
そのまま形はゆっくりとしか変化しないところから通常のイボと区別できます。
疣状母斑は一般的に悪性化せず、放置してもそれほど問題はありませんが、整容的な面から切除がすすめられます。
外科的に切除縫合するか、炭酸ガスレーザーにより治療します。
その他、液体窒素による冷凍凝固術、ビタミンD3軟膏、5-FU軟膏による治療法もありますが、厳密には保険適応でなく、効果も乏しいので、それらの治療を選択するメリットがありません。
実際のところは外科的に切除縫合するか、炭酸ガスレーザーにより治療するか、ということになりますが、これは病変の大きさ、配列、術者の経験によって異なってきますので、どちらがいいというのはありません。
■外科的な切除縫合法
メスにて疣状母斑を含む皮膚を全層切除し、縫合します。
疣状母斑が線状に配列されてい場合にはこの方法を選択してもいいでしょう。
線状の傷がどうしても残ってしまいます。
■炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザーにより疣状母斑を焼き切ります。
表皮母斑の場合、病変が浅く傷跡が残りにくいため、炭酸ガスレーザーの良い適応です。
詳しくはコチラを御覧ください。
※いずれも保険適応となります。
列序性母斑は疣状母斑よりも広範囲で、名前の通り一定の規則を持って、病変が並びます。
表面は厚い鱗屑(フケ状のもの)が付いており、やや隆起する褐色のイボ状の病変が線状、帯状、渦巻き状、さざ波状に分布します。
神経病変、内臓病変、骨病変を伴う場合は、表皮母斑症候群を考え、精査します。
範囲が広いので、簡単に切除縫合するというわけにはいきません。皮膚剥削法、炭酸ガスレーザーなどにより治療を行います。
■皮膚剥削法
日本では一般的に皮膚剥削法は、カミソリ状のメスで皮膚表面を削り取ります。ある程度熟練が必要な治療で、治療できる医師
は限られています(当院では施術可能です)。
■炭酸ガスレーザー
炭酸ガスレーザーにより病変を削ります。病変が大きい時は少しずつ治療を行い、傷の治りを確認しながら治療を進めるとよい
と思われます。
炭酸ガスレーザーがあれば炭酸ガスレーザーが第一選択、なければ皮膚剥削法がよいと思われます。
幼少期に発症する炎症と痒みを伴う母斑です。
女児に多く、足によくできます。
線状苔癬、線状扁平苔癬などと似ていますが、症性線状疣贅状表皮母斑はステロイドに反応しないという特徴があります。
範囲が広いので、簡単に切除縫合するというわけにはいきません。皮膚剥削法、炭酸ガスレーザーなどにより治療を行います。
■かゆみに対して
・ステロイド外用、
・ステロイド局所注射
■炎症性線状疣贅状表皮母斑そのものに対して
・皮膚剥削法
・炭酸ガスレーザー
が行われます。
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