ストレスがホルモンや白血球の機能に影響を与え、皮膚に影響を与えるということは以前ブログでも紹介しました。しかし臨床的に最も問題になるのはストレスに伴う擦過行動かも知れません。
ストレス下に置かれていると些細な痒みが気になったりします。私も勤務医時代に当直時に蚊に刺されただけでまともに眠れなくなった経験があります。当直時というストレス下において蚊に刺された程度の痒みでもすごく気になってしまいます。また暇な時間に少しでも眠らなければいけないというプレッシャーのもとでは、睡眠を妨げる痒みがイライラの原因になってしまい、激しく掻いてしまいます。掻いてしまえば表皮細胞からたくさんのサイトカイン(炎症細胞を呼び寄せるなどの機能を持つ伝達物質)が放出され、また神経からサブスタンスP(肥満細胞などに作用し、ヒスタミンなどの痒み物質の遊離を促す)が放出されることにより、痒みが一層ひどくなってしまいます。また掻くことで、角質が痛み、さらに外からの刺激を受けやすくなってしまいます。結果、痒みが増し、イライラの原因になって、さらに掻いてしまうしまうという悪循環に至ってしまいます。そして、ゆっくり寝ることができなければ、翌日さらにストレスが増してしまいます。私もその当直の翌日薬を付けられるまでの間に何度も掻いてしました。
このような状況はそれほど特殊なものでもなく、かなり多くの患者様が同様のストレスと痒みの伴う皮膚疾患(慢性湿疹、アトピー性皮膚炎、結節性痒疹、慢性単純性苔癬)の悪循環に悩まれているようです。その場合は、すこしでもゆっくりとお休みできるように、軽い睡眠導入剤などを短期間処方されていただくと、症状が著効することがあります。
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