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稗粒腫の治療

 稗粒腫は非常に一般的な皮膚疾患でお困りの方も多いと思います。
 目の周りによくできる、小さなくりっとした白い皮膚腫瘍です。
 稗粒腫(=milia)で検索しするとたくさんの画像が出てきますので、参考にしていただければと存じます。
http://www.google.co.jp/search?q=milia&rls=com.microsoft:ja:IE-SearchBox&oe=UTF-8&rlz=1I7ADFA_ja&redir_esc=&um=1&ie=UTF-8&hl=ja&tbm=isch&source=og&sa=N&tab=wi&ei=PBDWTs6aDMLtmAXVwfVR&biw=1024&bih=496&sei=QxDWTqnQFuLumAWfupz7Dg
 自然に発生することもありますが、欧米の教科書には目の周りを習慣的に擦ることが原因で発症することもあると記載されていますので注意されたほうがいいかもしれません。
 治療法ですが、注射針の先で刺して内容物を取り出す治療が一般的ですが、それだけだとすぐに再発しまいますので、当院では内容物を取り出した後に炭酸ガスレーザーで照射を加える方法をとっています。
 非常に簡単な治療ですので、もしお困りの方がいらっしゃればご相談いただければと存じます。

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尋常性魚鱗癬

 尋常性魚鱗癬(じんじょうせいぎょりんせん)という皮膚がカサカサする疾患があります。有病率は250人に1人とそれほど珍しい疾患ではないのですが、ご存知の方が非常に少ない疾患のようですのでご紹介しておきます。
 尋常性魚鱗癬は常染色体優性遺伝形式をとり、ご両親のうち、どちらかがこの疾患をお持ちなら、男女問わず50%の確率でお子様に遺伝します。
 1~4歳ころから四肢や背側の皮膚がカサカサしだし、少し厚くなった鱗屑(ふけ)が魚のうろこのように見えなくもないため、魚鱗癬という病名がついています。ただの乾燥肌とどう違うのか?と思われる方もおられると思いますが、確かに区別が難しく、見落とされていることが多いと思われます。例えば1日100人の患者様が来られる皮膚科クリニックでは単純計算でも3日にお1人は尋常性魚鱗癬の患者様が来られるはずであります。さらに皮膚科に来られる集団は、そうでない方の集団よりも尋常性魚鱗癬の患者様が多く含まれているはずであり、2日に1人、もしくは1日に1人、尋常性魚鱗癬の方を診察してもおかしくないはずです。
 しかし現実的には尋常性魚鱗癬と診断される方がかなり少ないのは、やはり診断の難しさにあるのではないかと考えております。
 診断のポイントは遺伝形式と、膝窩や肘窩などの関節屈側部には病変がみられない点です。そういうと非常に診断が簡単そうに見えますが、現実にはそれほど簡単ではなく、尋常性魚鱗癬の患者様が乾燥性の湿疹やアトピー性皮膚炎を合併した場合は、関節屈側部にも病変がみられるようになり、そうなれば通常の小児乾燥性湿疹や、アトピー性皮膚炎との鑑別は困難を極めるようになります。
 尋常性魚鱗癬の患者様のうち約半数の方はアトピー性皮膚を合併すると報告されていますが、逆にアトピー性皮膚炎の患者様のうち尋常性魚鱗癬の合併率は3~30%と報告されているようです。3~30%というのは非常に幅のある数字であり、すこし言葉が悪いのですが、まともな数値とは言い難いように感じます。
 このことが間接的にどれほど尋常性魚鱗癬の診断が難しいかを物語っています。つまりアトピー性皮膚炎の患者様を拝診した場合、皮膚がカサカサしていることが多いのですが、それが魚鱗癬によるものなのか、皮脂腺が未熟なためなのか、軽度の湿疹に伴って二次的に乾燥が目立つのか、区別することは容易ではないということを示しています。
 しかし鑑別のポイントはいくつかあり、例えば、軽度の湿疹に伴って二次的に乾燥が目立つ方の場合は、湿疹を治せば、乾燥もなくなるという点などがあげられます。

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尋常性白斑について

 尋常性白斑はシミとは逆に、皮膚の色が白く抜けてしまう後天性の疾患で、皮膚科外来ではしばしば見かける疾患です。皮膚の色が白く抜けている部位を白斑と呼びます。
 整容的な問題により、患者様にとってしばしば精神的なストレスとなります。
 徐々に白斑が広がることもあります。手のひら、足の裏をのぞき、全身どこにでも発症しえます。
 なぜ尋常性白斑が発症するのか、についてはこれでもかというほどたくさんの説が提唱されています。
 ①自己免疫説・・・抗体、もしくはT細胞が色素細胞を攻撃してしまうという説。
 ②色素細胞自己破壊説・・・色素を産生するときに作られる中間代謝物に毒性があり、それをうまく処理できなくなったために色素細胞が破壊されてしまうという説。
 ③神経説・・・尋常性白斑が神経節に沿って発現することがあるため、神経線維が発症になんらかの関与をしているのではないか?との説。
 ④活性酸素説・・・皮膚における代謝障害により活性酵素が増加し、色素細胞を傷つけることにより発症しているのではないか、という説。
 どれが正解なのかはなかなか難しく、これ以上の考察は今回は割愛したいと思います。
  難治性皮膚疾患の代表とされ、「治らない」と思っていらっしゃる方も多いと思います。
 現状ではステロイド外用のみで経過を見られていることが多いのですが、確かにそれだけだと治療成績は高いとは言えません。やはり光線治療も併用するほうが良く、それを併用した場合、かなりの確率で良好な色素再生が見られるという実感を持っております。
 論文的にも半数以上の方で良好な色素再生が見られたとの報告が多数あり、決してあきらめてしまう疾患ではないと思っております。

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シミの治療の整理

 シミの治療方法がいろいろあり過ぎて困ってしまうというご意見をいただいたので、標準となる治療をご提示したいと思います。(もちろん治療方法には常に例外がありますし、コストを考えて別の治療を選択することも可能ですので、絶対にこうでないといけないというわけではありません)。
 比較的濃い日光性黒子・・・Qスイッチアレックスレーザー(Qスイッチ以外はあまり効きません)
 比較的薄い日光性黒子・・・ルミキシル、(かぶれなければ)ハイドロキノン、ケミカルピーリング、トレチノインなど
 脂漏性角化症・・・炭酸ガスレーザー
 太田母斑・・・Qスイッチアレックスレーザー(Qスイッチ以外はあまり効きません)
 後天性真皮メラノサイトーシス・・・Qスイッチアレックスレーザー(Qスイッチ以外はあまり効きません)
 肝斑・・・トラネキサム酸(トランサミン)内服、早く治したいときはルミキシル、ピーリング併用
 炎症後色素沈着・・・経過観察(様子見)、早く治したいときはルミキシル、トレチノインなどの併用
 雀卵斑・・・Qスイッチアレックスレーザー
 
こうしてみるとある程度治療は決まっていて、治療に幅があるのは比較的薄い日光性黒子くらいということになります。
 ただし、多くの場合、1人の患者様にシミが1種類しかないとうことはあまりなく、上記のシミが複数合併している場合がほとんどですので、治療も少し幅が出てしまうことになります。

シミについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。

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単純ヘルペス感染症に伴う多形紅斑

 単純ヘルペスとは、主に口唇ヘルペスの原因となるウイルスのことで、今までに罹ったことのある人は多いと思われます。口唇ヘルペスに伴って全身に多形紅斑と呼ばれる蕁麻疹様紅斑、あるいは小水疱、標的状紅斑(target lesion)が出現することがあります。
 なぜ、口唇ヘルペスなどの単純ヘルペスに伴ってそのような病変が出現するのか?とよく聞かれますので、ある仮説を紹介しておきます。
 単純ヘルペスにかかると、それを治すために、マクロファージと呼ばれる体内に侵入した外敵を食べる細胞が、単純ヘルペスウイルスを食べてばらばらにしてしまいます。そのバラバラになった単純ヘルペスのDNAの破片が、なぜか遠く離れた皮膚の表皮細胞に堆積します。
 そして単純ヘルペスの感染によって活性化されたT細胞(免疫における司令塔)が、その表皮細胞を標的として攻撃を加えてしまう、という説です。
 この説には、なぜばらばらになった単純ヘルペスのDNAが表皮細胞に堆積するのか?という疑問が生じます。表皮細胞に単純ヘルペスのDNA情報を伝え、ある程度、周囲に活性型T細胞を呼び寄せせることで、単純ヘルペスの拡大を確実に食い止める為でしょうか?そして活性型T細胞が、過剰に表皮を攻撃してしまったときのみ多形紅斑としての症状が出現するのでしょうか?
 そのあたりははっきりとはわかりません。
 そのほか、サイトメガロウイルス、マイコプラズマ、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの感染に伴って多形紅斑が現れることがあります。

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