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単純ヘルペス感染症に伴う多形紅斑

 単純ヘルペスとは、主に口唇ヘルペスの原因となるウイルスのことで、今までに罹ったことのある人は多いと思われます。口唇ヘルペスに伴って全身に多形紅斑と呼ばれる蕁麻疹様紅斑、あるいは小水疱、標的状紅斑(target lesion)が出現することがあります。
 なぜ、口唇ヘルペスなどの単純ヘルペスに伴ってそのような病変が出現するのか?とよく聞かれますので、ある仮説を紹介しておきます。
 単純ヘルペスにかかると、それを治すために、マクロファージと呼ばれる体内に侵入した外敵を食べる細胞が、単純ヘルペスウイルスを食べてばらばらにしてしまいます。そのバラバラになった単純ヘルペスのDNAの破片が、なぜか遠く離れた皮膚の表皮細胞に堆積します。
 そして単純ヘルペスの感染によって活性化されたT細胞(免疫における司令塔)が、その表皮細胞を標的として攻撃を加えてしまう、という説です。
 この説には、なぜばらばらになった単純ヘルペスのDNAが表皮細胞に堆積するのか?という疑問が生じます。表皮細胞に単純ヘルペスのDNA情報を伝え、ある程度、周囲に活性型T細胞を呼び寄せせることで、単純ヘルペスの拡大を確実に食い止める為でしょうか?そして活性型T細胞が、過剰に表皮を攻撃してしまったときのみ多形紅斑としての症状が出現するのでしょうか?
 そのあたりははっきりとはわかりません。
 そのほか、サイトメガロウイルス、マイコプラズマ、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスの感染に伴って多形紅斑が現れることがあります。

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