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花粉症と口腔内アレルギー症候群の関係

 花粉が気になる季節になってきました。今年は花粉の飛散量が例年より少ないとの予報があり、一安心しておりますが、花粉症と口腔内アレルギー症候群との関係が有名なので、少し述べておきます。
 口腔内アレルギー症候群とは食物アレルギーの一種で、主に生の果物、野菜を摂取後、口の中がピリピリ、イガイガするなどの刺激があり、喉が塞がりそうな感じがすることもあります。口腔内における接触蕁麻疹なのですが、時に全身に症状が及び、全身の蕁麻疹、喘息、呼吸困難などの重篤な症状が出ることがあります。リンゴ、桃、メロン、ナシ、サクランボ、トマト、キウイなどが原因となりますが、花粉との交差感作が知られています。交差感作とは、ある物質Aに対してアレルギー反応が出るようになれば、同時に物質Bに対してもアレルギー反応を持つようになる、というもので、二つの物質に共通した構造、似た構造がある場合に起こる現象です。
 以下、その例です。
 シラカンバ(カバノキ科)……リンゴ、桃、サクランボ、洋梨、セロリ、人参、キウイなど。
 ブタクサ(キク科)……メロン、スイカ、キュウリなど。
 ヨモギ(キク科)……セロリ、人参、メロン、リンゴなど。
 カモガヤ(イネ科)……ジャガイモ、トマトなど。
 例えば、シラカンバに対する花粉症をお持ちの方は、比較的高い確率で、生のリンゴに対する口腔内アレルギー症候群をお持ちであるといわれています。
 では、花粉と食物、どちらから先にアレルギー反応が出るようになるのか、という疑問が湧いてきますが、それは花粉のほうが先だろうと言われています。新規にシラカンバなどに対してアレルギー反応を持つようになった方をフォローしていると、年々、口腔内アレルギー症候群を発症する方の割合が増えてくるとのデータがあるためです。

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食物アレルギーの簡単な分類

 食物アレルギーと一言に行っても少し分類を知っていないと混乱してしまうので少し紹介しておきます
 食物アレルギーは食べて数十分以内にアレルギー反応が起こる即時型アレルギーと、食べて数日でアレルギー反応が起こってくる遅発型アレルギーがあります。
 また、成長とともに減ってくる食材とそうでない食材があります。
成長とともに食物アレルギーが減ってくる食材・・・卵、牛乳、大豆
成長とともにあまり減ってこない食物アレルギーとは、ピーナッツ、ナッツ類、海老、カニ、魚

 さらに、食物アレルギーの原因物質は、完全食物アレルゲン不完全食物アレルゲンに分類されます。
 完全食物アレルゲンとは経口摂取した特殊な蛋白質によって感作が成立し、その後、同じ蛋白質を再度摂取した際にアレルギー反応の誘発に至るもので、卵や牛乳がそれに当たります。それらの食材の中には、熱や消化酵素に対して安定したたんぱく質をもち、とくに小児の未熟な消化管では完全に消化できず、腸管からアレルギーの原因物質となる吸収し感作が成立し、同じ食べ物を食べたときにアレルギー反応が起こるというものです。
 それに対して、非完全食物アレルギーとは、すでにある食材に対してほかの経路から感作が成立しており、たまたまその食材を食べたときにアレルギー反応がおこる食材を言います。
 非常に有名な例としてラクテックスというゴム製品に含まれる可溶性たんぱく質に対するアレルギーを持つ患者様が栗やバナナ、ソバ、アボガド、メロン、トマト、キウイを食べることでアレルギー反応が出やすいという事実があります。ラクテックスとそれらの食材とには似たたんぱく質の構造があり、ラクテックアレルギーを持つ患者様が、栗やアボガドなどを食べると体内の免疫細胞がそれらのたんぱく質を見つけ、アレルギー反応が出てしまうのです。

ω3系脂肪酸(EPAやDHA)の抗炎症作用

 本日は東京大学の有田誠先生の論文「ω3系脂肪酸の代謝と抗炎症作用」を見ていきたいと思います。
 ω3系脂肪酸は魚に多く含まれる脂肪酸で、EPAやDHAなどが含まれます。
 以前よりω3系脂肪酸は体にいいことがわかっていましたが、その機序についてははっきりしたことが分かっていませんでした。この論文では、ω3系脂肪酸は、体内で代謝されれレゾルビンやプロテクチンに代謝され、それらの物質が積極的に抗炎症作用を発揮するのではないかと書かれています。
 ウサギやマウスの動物実験では、歯周病、腹膜炎、喘息、網膜症、腸炎、エアポーチ(エアポーチをマウスに埋め込んだのでしょうか?詳細は分かりません。)網膜症、脳梗塞などの疾患に対して抗炎症作用を発揮したとのデータが乗せられています。
 以下、私の想像です。
 喘息とアトピー性皮膚炎は非常に近い疾患であり、アトピー性皮膚炎でも一定の効果を示した可能性はあります。
 プロテクチンによりT細胞のTNFα分泌抑制がみられたとあり、乾癬の治療に応用できる可能性があります。
 そのほか、慢性膿皮症などの治療にも応用できるかもしれません。
 残念ながら皮膚疾患での実験データがないので、全くの想像にすぎませんが、ω3系脂肪酸を多く含む新鮮な青魚は、炎症性皮膚疾患に良いというデータが出てくるかもしれません。
 

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