日本における皮膚腫瘍切除に関する功績を評価され、Next Era Leader’sとしてトロフィーをいただきました。
今月末に表彰式を予定されていましたが香港のデモに伴う影響で中止になってしまいました。
残念ですが仕方ありません。香港に平和が訪れることを心よりお祈りしております。
さて、私が初めてジャパンタイムズ紙より表彰されてから4年の歳月が流れました。たった4年しか経っていないのか、、、というのが率直な感想です。4年前はまだ皮膚科における低侵襲手術(傷を小さくすることを目指した治療)が珍しく、毎日のように全国より皮膚腫瘍でお困りの患者様が来られている、という状況でした。
当時は皮膚科での低侵襲手術はリスクが高すぎる、病理診断がおろそかになる、といった理由で色々とバッシングも受けたりしました。
それでも全国より切実な悩みを抱えた患者様がご来院されていたので、「皮膚科における低侵襲手術は必要なものだ」という信念は揺るぎませんでした。
その後、低侵襲手術を売りにするクリニックが瞬く間に増えていきました。
たった4年で低侵襲手術がメンストリームとなるとは想像すらしていなかったです。
しかしこの4年で低侵襲手術が主流になる一方で、やはり危惧していた問題が生じてきたのも事実です。診断があやふやになるという問題です。
中には切除した検体を検査せずに捨ててしまう、というクリニックもあると聞いております。
たとえ肉眼的には粉瘤であっても、病理検査の結果、癌であった、などという例も稀ではありますが存在します。
手軽さだけを売りとして、きちんと病理検査も行わないクリニックは言語道断と言っていいでしょう。
低侵襲手術をやるからには正確な術前診断、そして術後の病理検査が欠かせません。
今後、そのようなことがないようにきちんとした情報を伝えて広めていかないといけないという風に考えています。
まだまだやるべきことはたくさんあります。気を引き締めて頑張っていきたいと思います。
「粉瘤治療は痛い」と思っていませんか?
通常の粉瘤治療は、注射を使った局所麻酔下で治療を行いますので、麻酔を注入する際に痛みがあるだけで、手術中の痛みはほとんどありません。
熟練した医師が治療した場合、術後の痛みもあまりないことが多いです。
問題は炎症を伴った粉瘤の場合で、その場合は、局所麻酔が効きにくい場合があります。ですので当院では炎症性粉瘤の患者様には特に丁寧に麻酔をかけるように心がけております。
かつては麻酔をせずに炎症性粉瘤を切開していた時代があるようで今では高齢のドクターは炎症性粉瘤に対して、麻酔もせずに切開する場合があるようですその場合は強烈な痛みが発生します。
粉瘤を一度に取り除かないと、ずっと異物反応が起こり、膿がたまり続けますのでいつまでも痛みが続きます。毎日のように医院に通い、ガーゼを交換し(そのガーゼも排膿目的に傷に突っ込まれているので、ガーゼ交換のたびにその痛みが伴います)、傷の中を鋭匙(えいひ)という小さなスプーンのような道具で、傷口をゴリゴリ削ったりしていた時代がありました。それらが精神的なトラウマになっている患者様も多いようです。
当院では粉瘤の外科的治療は全て局所麻酔下に行っています。ですので術中の痛みはほとんどありません。さらに炎症性粉瘤もなるべく1回のくり抜き法で行うことをモットーとしています。1回の治療で粉瘤も全てくり抜いてしまいますので、術後の痛みは非常に少ないです。もし1回のくり抜き法で全摘できない場合も、麻酔もせずに切開を加える、ガーゼを傷口に突っ込む、麻酔もせずに鋭匙で傷口をゴシゴシ削るといった前時代的なことは基本的には行っておりません。それらは苦痛を伴うだけで、意味がない、むしろ有害であることがわかっています。当院では患者様が無駄に苦しむことがないよう十分な配慮を行っております。
これらの理由から、粉瘤治療は一時代前のイメージよりはるかに痛みが少なく、快適になっていると自負しております。それでも麻酔を注射する痛みだけは避けられませんので、無痛とまではいきませんが。
粉瘤でお困りの方はお気軽に当院にご相談くださいませ。
【脂肪腫】ご存知ですか?
粉瘤ほど当院での件数は多くないのですが、開院時より毎月途切れること無くご来院される皮膚腫瘍です。
2016年度、全院合わせて脂肪腫手術件数は92件、月に換算いたしますと1ヶ月あたり7〜8件ほど手術を行っていることになります。先日新座院でも10cmほどの肩部脂肪腫の手術をいたしました。
あまり聞き慣れない患者様も多いと思いますが、良性の皮膚腫瘍の1つです。
脂肪組織からなる腫瘍で、薄い膜におおわれていており、中のこぶには皮下脂肪と同じく黄色・やまぶき色をしています。
・皮下にできる比較的柔らかい腫瘍
・40代以降の男女、肥満者が比較的多い
・やや盛り上がり有り、柔らかいしこり
・1cmから20cm
・全身にでき、徐々に大きくなる
・手術にて切除
【当院における平均通院回数】
3〜4回(術前診断・手術日・抜糸日・フォロー日)
※当日の混雑状況によっては診断日と手術日が同日となる場合があります
自然になくなるものではないので、長年経過観察したとしても、結果的に手術となります。
肩にできた脂肪腫ですと、常時違和感があったり、肩をまわしたり荷物を肩にかける際に常に当たるようになります。
背中の場合は寝転んだり就寝時にあたったりした際に初めて気づいたり、露出部(半袖・半ズボンで隠せない部位)であるためご本人がフォッションを楽しめない・・・など、日常生活に差し支える場合があります。
脂肪腫は徐々に育っていきますので目に見えて大きくなることもあります。
そうなりますとやはり傷口も大きくなり、また、大きさがクリニックで手術できる範囲を超えるものと医師が判断した場合、患者様と相談の上、総合病院などの入院施設にご紹介することもあります。
「もっと早いうちにとれば良かった」
そう後悔される方も多いです。
小さいうちにとってしまうのも患者様のご選択のひとつかなと思います。
では当院で行った脂肪腫の手術をご紹介いたします。
右腕にできた脂肪腫の患者様です。
こちらは上記に述べましたように、半袖になる脂肪腫が気になるといった方です。
術後3ヶ月のご様子をお写真に撮らせていただきました。
周りの方々にもふくらみがなくなったね、と言われるそうです。
そういった患者様からの言葉をお聞きする度に、私たちも大変嬉しく感じます。
体にあるしこりが気になる方は是非いらしてください。
しっかり診断いたします。
前回は今までの粉瘤治療の問題点について書かせていただきました。
今回は新しい粉瘤治療についての書きたいと思います。
傷跡のリスクを軽減させる画期的な手術方法・・・
それは、臍(ほぞ)抜き法です。
またはくり抜き法と呼ばれる手術法です。小さな穴から粉瘤を抜き取るやり方です。
まず局所麻酔後、パンチという円形のメスを使い小さい丸い穴を空けます。
パンチの大きさで傷の円の大きさを変え、できるだけ傷跡の残りにくい大きさを選びます。
この方法では手術後の傷が格段に小さくなります。
が、執刀医の技術的にやや熟練・経験が必要とされ、さらに肝心の粉瘤の取り残しや再発の可能性が高くなると考えられており、あまり積極的に採用されてこなかった歴史がありました。
時代は移り変わり、患者様から目立たない手術跡の需要が高まり現在ではこちらの方法が標準的になりつつあります。
当院では粉瘤治療年間1883件のうち、大部分を臍抜き法にて治療を行っております。
再発などのリスクは通常の方法より格別に劣る、というものではありません。
傷跡のリスクに懸念がある方は是非ご相談ください。
※ただし、ご来院時の患部の状態によってはほぞ抜き法ではなく、切開や切除縫合の方が適応の場合がございますので予めご了承ください。術式については診察時のお伝えいたしますが、手術中に変更となる場合もございます。
さて、引き続き粉瘤(アテローム)のお話です。
粉瘤は皮膚腫瘍であるため、外科的に切除するしかありません。
なかには他の医療機関様にて、抗生剤の内服で経過観察にて終了されている方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、現在も粉瘤の根治療法は手術です。
粉瘤の手術では、これまでメスで木の葉状(猫の目のような、ひし形です)に切開し、中の粉瘤を取り除き、糸で縫い合わせるという方法が取られておりました。
以下の図をご覧下さい。
赤い線が実際の切開部位です。
点線の丸い部分が患部全体、中央の点は、へそと呼ばれる粉瘤の袋が内向きに形成されている入り口です。
例えば3cmの粉瘤を切除するのに、3cm以上(通常ですと6~9cm)大きくきり、そこを縫合するので1本の長い線状の傷跡が残ることになります。
この方法は粉瘤の取り残し少なく技術的に容易で誰でもでき再発率が低い反面、大きな傷が残ってしまうという弱点がありました。
患者様にとっては、粉瘤切除後の安堵のあと、傷跡が気になる・・・という新たなお悩みが生まれます。
粉瘤は顔や首などにもできますので、特に女性の患者様は手術自体に懸念をもってしまうことも少なくありません。
しかし、当院はその不安を取り除く画期的な術式を採用しております。
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