ほくろ除去についての補足ですが、
よく「目の近くのほくろは手術するのが危なそう」というご意見をいただくことが多いです。確かに目の周りのほくろの手術と聞くと少し怖い感じがするのですが、目の周り、特に目の際のほくろは比較的安全に簡単に取ることが出来ます。
メスとレーザーを組み合わせて手術をするのですが、特殊はコンタクトレンズを着用していただきレーザー治療を行いますので、レーザー光線で目を傷つけることもありません。目の際などは血流が非常に豊富で傷の再生能力が高いため、傷跡がほとんど目立たなくなります。
もしほくろが視野に入り、視界の邪魔をしている場合は保険も効きますので、目の周りのほくろでお困りの方は一度ご相談いただきたいと思います。
ほくろの除去を希望される方が急増しており、当院でも1日10個程度のほくろを除去させていただく日も珍しくなくなりましたが、少し補足しておきたいことがあるので述べさせていただきたいと思います。
ほくろの除去には大きく分けて、レーザー治療と手術療法があります。最近はレーザー治療を希望される方がとても多く、私もほとんどの場合、レーザー治療の方が優れていると考えておりますが、時に手術療法の方が優れている場合があります。
①首やお背中、胸、など顔以外のほくろで、盛り上がっている比較的大型のほくろの場合、手術療法の方が優れている場合が多いです。
レーザー治療を行った場合、傷の治りが若干悪く、ケロイド化する可能性も高いからです。
②シワの上に出来たほくろは、手術的に切りとって縫い目をシワにあわせてあげるとほとんど傷が分からないくらい奇麗に仕上がりますので手術療法の方が優れていると考えております。
(逆に一般的なお顔の1cm程度までのほくろであればレーザー治療の方が優れていると考えていいと思います。)
すべてにおいてレーザー治療の方が優れていると考えておられる方も多いのですが、そうでない場合もあるということは知っておいていただければと存じます。
前回からの酒さの続きですが、酒さは何らかの理由により、顔や首の末梢血管の拡張が起こりやすくなっている、もしくは拡張したままになっていることが原因です。健常な方でも末梢血管は暑いときや何らかの炎症があるときに拡張しやすくなりますが、それが特に理由がないのに持続すると、赤ら顔の原因となってしまうという訳です。
治療としましては、抗生剤(ミノマイシンなど)内服、イソトレチノイン内服、メトロニダゾール内服が行われますが、日本では保険の関係上、抗生剤(ミノマイシンなど)の内服以外、実施することが困難なのが現状です。
そのため、酒さの患者様は、何年も漫然と抗生剤の内服が続けられ、そこから離脱できなくなっている方もおられるようです。そういった場合はレーザー治療を試みても良いと考えております。
YAGレーザーは、拡張した血管を破壊したり、引き締めたりする効果がありますので、酒さの治療には最適と考えられています。強力にYAGレーザーを当てても良いと思いますが、少しマイルドなYAGレーザーフェイシャルでも十分な効果が期待でき、大きな副作用もないですので、治療に最適ではないかと考えております。
酒さという疾患については、以前から強い関心を持ち、何度かブログでも紹介させていただきました。酒さは、顔がほてったり、にきびのような赤い丘疹(ポチポチ)が顔や首に出来きたり、毛細血管拡張がみられる疾患です。
National Rosacea Societyから提唱されている酒さの診断基準は、主症状として以下の1症状以上の存在があげられています。
・一過性の顔面潮紅(顔面がぱっと赤くなること)
・持続性潮紅(ずっと長い間、顔が赤いこと)
・面皰を含まない丘疹と膿疱(面皰とは毛穴を皮脂が栓塞した状態のことでこれがあるとニキビが疑われます)
・毛細血管拡張
もちろん、顔がぱっと赤くなる病気は他にもたくさんありますし、ちょっとした毛細血管拡張は誰にでも起こることなので、上記の主症状を1つ以上満たしただけで、酒さと診断するのは無理があると考えています。副症状などもあわせて慎重に酒さを診断しないといけないと考えていますが、酒さの患者様の数は、以前考えられていた数よりも圧倒的に多いことが分かってきています。顔がずっと赤くてヒリヒリして、ステロイドを付けてもちっとも良くならない方は酒さの可能性が高いと思います。
欧米では罹患率は3〜10%程度程度とされておりますが、日本でも決してまれな疾患ではないと考えております。おそらく、医療者も酒さという疾患の認識が浅く、酒さの患者さまがご来院されても血圧を測定し、採血で肝機能などをチェックして異常がなければ「顔が赤くても病気ではないですよ」とか「顔が少し赤い方が健康的に見えていいですよ」といった対応がなされていたのではないかと推定されます。
酒さの治療は古典的にはミノマイシンなどの抗生剤の長期内服が行われておりますが、もし抗生剤を長く飲むのに抵抗がある方や、抗生剤で十分な効果が得られなかった方にはYAGレーザーフェイシャルをお勧めしたいと思います。少し長くなってしまいましたので、なぜYAGレーザーフェイシャルが効くのかは、次回述べさせていただきたいと思います。
病院に行っても湿疹やアトピー性皮膚炎が良くならない場合は、「薬があっていないかな」と考える方が多いのですが、以下の3つの問題点に注意すると意外に問題なく湿疹やアトピー性皮膚炎が治ってしまうことが多いです。
一つは、外用薬を付ける量が少なすぎるという問題です。人差し指の第一関節分の量を出して、手のひら2つ分の面積に薬をつけることが大切です(ティッシュが一枚張り付くような感じになります)。使う量が少なすぎる場合が多々あります。
もう一つは薬をつける期間が短すぎるという問題です。湿疹に薬をつけた場合、痒みがなくなれば薬をつけるのを辞めてしまう方が多いのですが、その場合、すぐに湿疹が再燃してしまいますので注意が必要です。痒みが治まり、触った感じがツルツル、すべすべになるまで外用薬の使用を続ける必要があります。
最後に、外用薬を皮膚に擦り込んでしまうという問題です。擦り込んだ方が良く効くような印象があるのでついそうしたくなるのですが、かえって摩擦により皮膚が痛んでしまい逆効果になりますので、優しく皮膚にのせるような感じで外用薬を付けていただきたいと思います。
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