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抗ヒスタミン薬の選択方法

 週末はある抗ヒスタミン薬の発売記念講演会に参加してまいりました。
 ヒスタミンは花粉症や蕁麻疹の発症、アトピー性皮膚炎などの痒みにおける最重要物質の一つであり、ヒスタミンの遊離を抑えることで症状を改善することができます。それを目的としたのが抗ヒスタミン薬と呼ばれる薬で、非常に多くの種類があります。
 その中で、どのような基準で薬を選んでいけばいいか、という点を簡単に述べておきたいと思います。
 まず第一選択としては、鎮静作用の少ない(眠くなりにくい)第二世代と呼ばれる薬剤の中から選びます。第二世代の中でも特に鎮静作用の少なく、効果が強いものが好まれる傾向にあります(鎮静作用が強い≠効果が強いということはすでに証明されています)。
 内服方法は毎食後3回飲むもの、朝夕食後2回飲むもの、夕食後、もしくは就寝前に1回飲むものがあり、大まかに言って効果が同じであれば、1回で済むものの方が優れていると言えると思います。
 さらに血中濃度が上がってくるまでに必要な時間があり、それが短いほど効果が素早く、一刻も早く症状を抑えたい場合は、より早く血中濃度が立ち上がってくる薬剤を選択する必要があります。
 そして、代謝経路が腎代謝がメインのもの、肝代謝がメインのものがあり、腎障害、肝障害のある方であれば、代謝経路を考えてご処方しなければなりません。
 さらに、第二世代抗ヒスタミン薬は、抗ヒスタミン作用以外にも、さまざまな抗アレルギー作用があり、それは薬剤によって若干異なってきますので、症状や抗ヒスタミン薬の内服歴を考慮し、薬を選択するようにしています。

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花粉症皮膚炎の患者様が増えています。

 花粉症皮膚炎について知りたい方は以前のブログをご参照ください。
https://mitakahifu.com/pollen-allergy-dermatitis/
 花粉が直接皮膚につくことにより皮膚炎が誘発される病気で、IgEが関与するいわゆる接触性蕁麻疹の場合(即時型アレルギー)と、感作されたT細胞が関与するアレルギー性接触皮膚炎の場合(遅延型アレルギー)の場合があります。
 花粉が付着しやすい顔面、頚胸部、手背などに湿疹性病変が現れるのが典型的で、ここ数日で患者様が増えているようです。アトピー性皮膚炎の患者様は特にその頻度が高いといわれております。
 もともと花粉症のある方は、花粉の季節には、体の中のアレルギー反応のレベルが上がるために皮膚炎が増悪しやすいのですが、その場合は全身で増悪がみられるのに対し、花粉症皮膚炎の場合は、露出部に限局し皮膚炎の増悪がみられます。
 血液検査では、通常の花粉症の方と区別がつかないので、パッチテストやプリックテストで確定診断に至りますが、現実的には発症時期や臨床像にて診断をつけることがほとんどです。
 花粉症皮膚炎の患者様は、出勤後や帰宅後に露出部を洗い流してから薬を付けるようにしていただきたいと存じます。原因物質が残ったままだと、症状がなかなかよくならないためです。

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紫外線による反応とDNA損傷の関係について

 かなり気が早い話で恐縮なのですが、紫外線による皮膚障害について少し述べていたと思います。
 紫外線が急速に増えてくるのが3月下旬からで、7月、8月にピークとなるのですが、紫外線による皮膚障害は春にも意外に多い印象を持っております。紫外線の増量に皮膚が対応できていないためだ、とよく言われていますが、あまり皮膚が紫外線に慣れていない状況で、少し強い紫外線を浴びるとサンバーン(紫外線により皮膚が赤くなり、むくむ現象)が生じてしまうのは経験的にも納得のいく現象であります。
 では、比較的弱い紫外線でサンバーンが生じた場合と、強い紫外線で同程度のサンバーンが生じた場合のどちらが皮膚にダメージが大きいのかという疑問が生じます。そもそも、なぜ紫外線の何が皮膚に良くないかというと、紫外線が直接的、間接的にDNAを傷つけ、時にその修復が不十分となるからです。感覚的には当然強い紫外線を浴びた場合のほうがDNAの損傷が大きくなると考えたくなりますが、実は同程度にダメージが大きいようです。
その根拠として
 ①DNA損傷部位を修復する機能が遺伝的に低下しているXPの患者様は少量の紫外線で強いサンバーンが生じる。
 ②同じ紫外線を浴びて色白で赤くなりやすい方は、そうでない方と比べて多くのDNAの損傷が生じる。
 ③DNAの損傷を効率よく処理するとサンバーンが生じにくい。
ということが分かっているからです。つまりサンバーンの程度が、DNAの損傷の程度と相関するようなのです。
 春先の紫外線は、量は少なくとも、皮膚が慣れていないためサンバーンを起こすことがあります。ぜひ気を付けていただきたいと思います。

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花粉症と口腔内アレルギー症候群の関係

 花粉が気になる季節になってきました。今年は花粉の飛散量が例年より少ないとの予報があり、一安心しておりますが、花粉症と口腔内アレルギー症候群との関係が有名なので、少し述べておきます。
 口腔内アレルギー症候群とは食物アレルギーの一種で、主に生の果物、野菜を摂取後、口の中がピリピリ、イガイガするなどの刺激があり、喉が塞がりそうな感じがすることもあります。口腔内における接触蕁麻疹なのですが、時に全身に症状が及び、全身の蕁麻疹、喘息、呼吸困難などの重篤な症状が出ることがあります。リンゴ、桃、メロン、ナシ、サクランボ、トマト、キウイなどが原因となりますが、花粉との交差感作が知られています。交差感作とは、ある物質Aに対してアレルギー反応が出るようになれば、同時に物質Bに対してもアレルギー反応を持つようになる、というもので、二つの物質に共通した構造、似た構造がある場合に起こる現象です。
 以下、その例です。
 シラカンバ(カバノキ科)……リンゴ、桃、サクランボ、洋梨、セロリ、人参、キウイなど。
 ブタクサ(キク科)……メロン、スイカ、キュウリなど。
 ヨモギ(キク科)……セロリ、人参、メロン、リンゴなど。
 カモガヤ(イネ科)……ジャガイモ、トマトなど。
 例えば、シラカンバに対する花粉症をお持ちの方は、比較的高い確率で、生のリンゴに対する口腔内アレルギー症候群をお持ちであるといわれています。
 では、花粉と食物、どちらから先にアレルギー反応が出るようになるのか、という疑問が湧いてきますが、それは花粉のほうが先だろうと言われています。新規にシラカンバなどに対してアレルギー反応を持つようになった方をフォローしていると、年々、口腔内アレルギー症候群を発症する方の割合が増えてくるとのデータがあるためです。

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皮膚疾患と歯科疾患との関係

 歯科疾患と皮膚疾患に密接な関係があることがあります。
 難治性皮膚疾患が、実は歯科疾患が原因であったということはしばしば経験することです。
 例えば、掌蹠膿疱症は、歯髄まで及ぶような深い虫歯(歯性病巣感染)や、歯科金属アレルギーが原因のことがあり、虫歯や歯科金属の除去ですっかり治ってしまうことも良く経験します。
 歯性病巣感染が発症の原因、増悪因子となりうる皮膚疾患に、掌蹠膿疱症、多形滲出性紅斑、結節性紅斑、慢性痒疹、ベーチェット病、環状紅斑、アナフィラクトイド紫斑などがあります。
 歯科金属アレルギーが発症の原因、増悪因子となりうる皮膚疾患に、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、異汗性湿疹、貨幣状湿疹などがあげられます。 
 私も、上記疾患を拝診した場合は、口腔内を必ずチェックするようにしております。深い虫歯があれば当然、治療をお勧めしますが、少し慎重にならなければ、歯科金属アレルギーのほうです。例えば、貨幣状湿疹の患者様も、頻度的には皮脂欠乏性湿疹を書き壊して発症していることが多く、歯に金属が入っているからといって、すなわち金属アレルギーによる貨幣状湿疹と診断することは到底できないからです。
 やはり歯に入っている金属の種類を調べたうえで、皮膚科できちんと金属パッチテストを行い(当院でももちろん金属パッチテストは試行しております)、その結果に基づき、さらに歯科で金属がどれだけ溶け出しているかを確認してから、金属の除去を行うべきです。安易な金属除去は金銭的負担になるだけということもあります。
 ただし、歯科金属アレルギー、歯性病巣感染が、難治性皮膚疾患の原因となっていることがあるのは事実であり、また見落とされがちなので、必ずそのことを頭の片隅のおいて診察させていただきたいと思います。

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