皮膚科外来にはたくさんのイボ(=尋常性疣贅=HPVの感染症の一種)の患者様がご来院されますが、これまで「これまで長い間、治療を行ったが治らないし、治療が痛いし嫌になった」というご意見を多数頂戴しております。
液体窒素による冷凍凝固術をひたすら続けていた、という方が多いのですが、冷凍凝固術はずっと続けると反応性に皮膚が硬くなりますし、ウイルスを注意にまき散らしてしまうこともあり、かえって治りを悪くすることもあると言われております。そのため冷凍凝固術のみをひたすら続けることはあまり良くないという考え方もあります。
当院では様々な治療を組み合わせて、なるべく痛くないように、なるべくスピーディーにイボの治療を行えるようにしておりますので、なかなか治らなくてお困りの方は一度ご来院いただきたいと思います。
こちらにイボについてまとめてありますので、もしご興味のある方はご参照いただきたいと存じます。
当院では活性型ビタミンD3製剤軟膏をよくご処方いたしますが、ビタミンなんか塗ってどんな効果があるのか?というご質問をいただきましたのでお答えしておきます。活性型ビタミンD3製剤の外用薬は、表皮の角化を抑制することで、乾癬、魚鱗癬、掌蹠膿疱症、掌蹠角化症などに優れた効果があります。
日本では、ドボネックス(カブシポトリオール)、オキサロール(カルシポトリオール)、ボンアルファ(タカルシトール)が用いられております。オキサロール、ボンアルファには、軟膏、クリーム、ローションの3剤型があり症状、部位を考慮し、選んでいきます。
活性型ビタミンD誘導体外用薬は副作用の少ない薬ですが、ビタミンD本来の作用のため、高カルシウム血症が問題となることがあります。特に腎機能が低下されている患者様には副作用が出やすいと言われております。ビタミンと聞くととても安全なのだろうという印象を持ちますが、使いすぎには注意が必要です。そのため活性型ビタミンD誘導体外用薬には使用制限があり、ドボネックスは一週間に90gまで、オキサロールは一日10gまでとされています。
ビタミンとはいえ、かなり強力な薬で、乾癬の患者様に使用した場合、かなり強力なステロイド剤(very strong)と同じくらいの効果を有していると言われております。
さらにステロイド外用薬と併用することで、たがいの副作用を軽減し、相乗効果が期待できることも多いので、よくステロイド剤と混合されて処方されることの多い薬剤です(欧米ではリンデロンDPとトボネックス、日本ではマイザーとオキサロールの混合薬がよく使われます)。ステロイドと混ぜたときにも比較的薬剤の安定性が高いとのデータもあります。
乾癬と生活習慣病の関係は以前から言われておりました。乾癬の患者様は、健常な方と比べて、肥満の合併率は1.8倍、糖尿病の合併は5倍、高血圧の合併は1.9倍、講師決勝などの脂質代謝異常の合併は1.4倍とされております。
今回、喫煙が乾癬を悪化させるのではないかとの記事を見つけましたので報告させていただきます。喫煙により、白血球中のTh17という細胞が増え、その結果、乾癬が増悪しているのではないか?という仮説が立てられております。
喫煙が増悪因子となる疾患として、掌蹠膿疱症や、慢性膿皮症、にきび、アトピー性皮膚炎などが考えられており、それらの疾患の患者様には禁煙をお勧めさせていただいていたのですが、これからは乾癬をおもちで喫煙をされている患者様には、禁煙をお勧めさせていただきたいと思います。
アトピー性皮膚炎の患者様に血液検査でTARCという値を1ヶ月に一度検査することが認められております。TARC値はアトピー性皮膚炎の病勢を反映し、先月よりTARC値が下がっていればアトピー性皮膚炎の病勢は低下していると言えますし、逆にTARC値が上がっていればアトピー性皮膚炎の病勢は上がっているということになります。
私も初めてこの検査のことを知ったときは、「アトピー性皮膚炎の病勢は痒みと、湿疹の範囲などを診れば分かるのに、どうして採血が必要なのか?」と思われるかもしれません。しかしよく調べてみると、TARC値が上がっている患者様は、一見症状が落ち着いているようでも、アトピー性皮膚炎を再燃してしまう可能性が高く、逆にTARC値が下がっている患者様は、一見症状が悪化しているようでも落ち着いてくる可能性が高いということが分かります。
アトピー性皮膚炎の症状は日々変化し、診察日のポイントで症状をとらえても本当の病勢をとらえているとは限りません。たまたま診察日は調子が良かった、などということは良くあることです。
TARCを測定することで、本当の病勢を評価出来る可能性が高いため、当院でもこの検査を取り入れ有効活用しております。「本当に良くなっているか分からなくて治療のモチベーションが上がらない」、というような患者様に特にお勧めしたい検査方法です。
冬になり痒疹の患者様が増えておられます。
痒疹は手足に虫さされに似た赤い丘疹が出来きますので、ダニかなにかに刺されたのではないかと考える方が多いのですが、虫退治を行ってもあまり効果がなく、数ヶ月以上の長い経過を辿るのが特徴です。そもそも冬場にダニに刺されることはそれほど多くありません。
ステロイド剤の外用、抗アレルギー薬の内服を行いますが、しばしば再発を繰り返し、難治性のことがあります。
「内臓疾患からきているのではないか?」としばしば効かれますが、内臓疾患としましては、腎障害、肝障害、胆道系疾患、糖尿病、痛風、リンパ腫、内蔵悪性腫瘍、胃腸障害、副鼻腔炎などの慢性化膿性病変、などが原因となることがあります。また、妊娠に伴い出現する妊娠性痒疹という病気があることから、ホルモンの変化が原因となることがあるとも推測されます。そのため、痒疹が広範囲に及ぶ場合や、治療に反応しない場合は採血などにて原因がないか調べることが推奨されております。
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