また日本皮膚科学会雑誌から円形脱毛症の病態update(伊藤泰介先生)の内容を簡単に紹介しておきます。
成長期毛の毛包は”immune privilege”と呼ばれる、免疫抑制状態が維持されており、その”privilege”(特権)が破綻することにより、円形脱毛症が起こってくるのかもしれないという話です。
円形脱毛症は、自己の免疫細胞が誤って毛包を攻撃してしまうことにより発症する可能性が高いのですが、そもそも成長期の毛包は免疫細胞の攻撃を受けないように保護しているメカニズムがあり、そのメカニズムが破綻することで円形脱毛症が発症しているのかもしれないということです。
免疫というメカニズムは炎症等の免疫反応を起こすこと(例えば、外敵に対する攻撃性)のみに注意が向いてしまいますが、同程度に炎症を起こさない、免疫反応が暴発しないよう抑制し、コントロールしている複雑な機能があり、その破綻によりさまざまな皮膚疾患が起こってきているとうことが改めて認識させられました。
よく患者様が円形脱毛症などを患われると、「疲れやストレスで免疫が弱ってしまったから、この病気になってしまった」と考える方がおられますが、正確には「疲れやストレスで免疫反応を抑制する機能が低下してしまったから、この病気になってしまった」といったほうが正確なのかもしれません。
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