一見、新型コロナウイルス(COVID-19)と薄毛、全く関係ないように見えるのですが、実は意外な関係が隠れています。
男性型脱毛症(AGA)が重症な人ほど新型コロナウイルスにかかりやすく、重症化しやすいのではないか、という報告が相次いでいます。
Gabrinサインといって、AGAのHNSと言う重症度スケールで3−7(7が最重症の薄毛)の患者様はCOVID-19で入院すると予後不良となりやすい、と言うサインまで作られています。ちなみにGabrinと言うのはCOVID-19の治療に尽力されたドクターで、ご本人も長年AGAで悩んておられ、かつCOVID-19のため亡くなったドクターの名前に由来します。
よく考えると、免疫が完成していない子どもがCOVID-19で重症化しずらく、屈強な成人男性のほうが重症化しやすい、と言うのは、何かファクターがあるのでは、と考えてもいいと思うのですが、どうやら男性ホルモン受容体(AR)と新型コロナウイルスに関係があるようです。
専門的な話なので詳細は割愛しますが、
COVID-19ウイルスはACE2と言う酵素に取り付くことで肺に侵入しますが、TMPRSS2と言うタンパク質を介してそれが行われます。
ARはACE2とTMPRSS2の調整に関わっています。
つまりARの発現の多い人はCOVID-19において重症化しやすいと言うことになります。
このことはCOVID-19は女性より男性のほうが重症化しやすく、子供の重症化が少ないことの説明にもなります。
またARの発現が高いアフリカ系アメリカ人の予後が良くないことの説明にもなります。
ちなみにAGAの治療を行ってもCOVID-19の予防にはなりませんので、ご注意くださいませ。
またCOVID-19に感染した後に、回復した後でも髪の毛が抜けやすくということもよく話題になっていますが、今の所、それは急性のびまん性休止期脱毛であるという認識で、あまり特別には捉えていません。インフルエンザ、そのほかの大きな感染症、交通事故などの怪我、手術などの後に髪の毛が抜けやすくなる、といったことと変わりありません。
半年くらいで自然に回復してくることが多いです。
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