慢性痒疹診療ガイドラインについての続きです。
今回は主に治療についてです。内科的な基礎疾患から慢性痒疹が発症している可能性が高い場合は、基礎疾患の治療が最優先されるのは言うまでもありませんが、まずはアトピー性皮膚炎などと同様にスキンケア、生活指導を行い、ステロイド外用を行うように推奨されています。
ステロイド外用は、推奨度B(行うように勧められる)となっておりおます。ただ慢性痒疹はなかなかスキンケアとステロイド外用だけでは良くならない症例が多いのが特徴で、その場合にどうすればいいか?というのが最大の問題であります。
その他の治療についての推奨度ですが、
推奨度C1(行うことを推奨してもいいが、十分な科学的根拠はない)
・ステロイド局所注射、ステロイド内服、亜鉛華軟膏重層
・抗ヒスタミン薬の内服
・液体窒素療法
・活性型ビタミンD3外用薬
・鎮痒性外用薬(オイラックスなど)
・紫外線療法
・免疫抑制薬外用(プロトピックなど)、内服(ネオーラルなど)
・カプサイシン軟膏外用
・保湿剤外用
・漢方薬内服
推奨度C2(科学的根拠がないので、勧められない)
・抗生剤内服、抗不安薬内服
推奨度C1~C2(適応を絞ればC1ということなのでしょうか?)
・サリドマイド内服
・ナリフラフィン塩酸塩(レミッチ)内服
となっております。つまりほとんどの治療は横並びに、十分な科学的根拠がないということになります。そうすれば、副作用少なく、保険適応のものから順番に試していくしかない、ということになり、ややガイドラインとしては味気ない印象をうけてしまいます。それだけ難しい疾患ということもできると思いますが。。。
推奨度C1~C2といったあいまいな推奨度を作るくらいでしたら、もう少し症例を詳しく分類し、例えば、70歳以上の方で、慢性痒疹を患って3年以上経過している方に対しては、○○治療は推奨度Bというようにしたほうが、臨床には役に立つようにも感じられます。
当院では、スキンケアの徹底(擦らない、掻かない、洗いすぎない、刺激の強い洋服を着ない、部屋を乾燥させない等)、ステロイド外用、保湿剤の塗布を原則とし、抗ヒスタミン薬も2週間ほど試していただき、効けば継続としていただいています。
それでもあまりよくならない方がいらっしゃるのも事実で、その場合は、紫外線治療や液体窒素療法などを行っております。紫外線療法の一つであるナローバンドUVBはクリニックに頻繁に通える方であれば、かなり効く印象を持っております。液体窒素療法は、結節性痒疹の数の少ない方であれば、有効なように感じます。逆に結節性痒疹の数の多い患者様には液体窒素療法は苦痛が大きいだけであまり効かない印象を持っております。もともと体力があり、恰幅のいい方には、漢方薬の黄連解毒湯が著効する場合もあります。掻きむしって眠れないという患者様には短期間、抗不安薬や睡眠導入薬をご処方することもあります。
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