いぼは、尋常性疣贅、脂漏性角化症に分類されますが、本日は尋常性疣贅(=HPVというウイルスの感染症)について述べたいと思います。
比較的、お子さんに多い病気で、足の裏や、手掌によくできます。
「足の裏にたこができた」と言って来院される方が多いです。しかし、表面がカリフラワーのようにざらざらになり、点状出血を伴っていれば、尋常性疣贅との診断に至ります。
治療に関しては、液体窒素で焼くことが最も一般的です。簡便で設備が必要ないため、おそらくどこのクリニック、病院でも治療の第一選択は液体窒素での冷凍凝固だと思います。
ただ、だからと言って、それが絶対的に優れた治療かといいますと、私はそうではないと考えています。
その理由は
1.液体窒素で焼くことで、周囲の組織を傷つけ、いぼウイルスの感染を広げてしまう可能性があること。(これは多くの研究者が指摘していることです。)
2.何度も液体窒素で焼くことで、角質が反応性に肥厚し、徐々に効きにくくなる場合があること。
3.患者さまに強い苦痛を与えること。
があげられます。
三鷹はなふさ皮膚科でも、液体窒素による冷凍凝固術を標準治療の一つとしていますが、その限界やディメリットを考え、治療がうまくいかない方には早めに他の治療に切り替えていく方針としています。
(難治性の)アトピー性皮膚炎の治療でプロアクティブ療法が標準になるつつあるので紹介させていただきます。
プロアクティブとは「問題が発生してから対応するのでなく、問題が起こる前に率先して行動する、先を見越した行動をとること。」とされています。
アトピー性皮膚炎の患者さまの湿疹病変を、ステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を用いて比較的短期間に抑え込むことは、以前から可能でした。ただ外用薬を止めるとすぐに再燃してしまうのが大きな問題でした。
湿疹病変が何度もすぐに再燃すると、「やはり良くならない」「治療しても意味がない」と思われてしまう患者さまもいらっしゃいました。そして治療を中断してしまう方もおられたようです。
そこで、再燃をできるだけ減らすように考えられた治療法がプロアクティブ療法です。具体的には、湿疹病変が良くなっても、すぐにステロイド外用薬やタクロリムス外用薬を止めずに、週に1,2回、それらの外用薬を再燃しやすい部位につけていただく方法です。
私は非常に優れた治療法と思います。というのも週に1,2回であれば、ステロイドやタクロリムス外用薬の副作用はほぼ無視できますし、患者さまのライフスタイルに合わせて外用を続けることができるからです。(たとえば比較的時間の取れる日曜日のみステロイドを付けるなど治療法が可能になります。)
以前より私は、何度も増悪を繰り返してしまうアトピー性皮膚炎の患者さまにはステロイド外用薬を急にやめないように御指導させていただいていましたが、これからはそれが標準治療となりそうです。
現時点ではプロアクティブ療法は小児アトピー性皮膚炎に対して行われていることが多いのですが、おそらく成人のアトピー性皮膚炎の方でも標準治療になっていくと思われます。
プロアクティブ療法の優位性について、いずれまた取り上げたいと思います。
長らく更新できませんでしたが、本日よりブログを開始したと思います。
遅くなりましたが、松崎先生を始め多くの方々の多大なご支援があり、継承開業することができました。本当にありがとうございました。
その感謝の気持ちを忘れずに、診療に全力を注いで行きたいと思いますので何とぞよろしくお願いいたします。
このブログでは診療中に伝えきれなかったことや、最新の皮膚科学の情報、ときには趣味のことなどを発信していきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
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