当院ではサリチル酸マクロゴールと、グリコール酸によるピーリングを行っていますが、その違いについて述べておきたいと思います。
サリチル酸マクロゴールは注目のピール剤で、グリコール酸と比べて、刺激が少なく、月1回のピーリングでいいというメリットがあります。ニキビ、小じわ、皮膚のくすみの治療に優れた効果を発揮します。
もともとサリチル酸のピーリングはあったものの、痛みがきわめて強く、なかなか実用に向かなかったものを、マクロゴールという基材に溶かし、刺激をほとんどなくしたものがサリチル酸マクロゴールです。
グリコール酸との比較
サリチル酸マクロゴール | グリコール酸 | |
通院 | 月1回 | 2週間に1度 |
副作用 | ほぼなし | 灼熱痛、紅斑、びらん、痂皮
落屑 |
術直後の化粧 | 可能 | 可能 |
ニキビ菌に対する効果 | はっきりしない | 殺菌作用 |
角質に対する作用 | 角質を均一に整える
(皮膚のざらつきに効果) |
角質の結合を弱める
(それゆえニキビに効果) |
費用 | 1回8000円 | 1回4000円 |
以上より、月1回しか通えない方、肌をすべすべにした方、副作用を絶対に起こしたくない方にはサリチル酸マクロゴールの方には向いていると考えております。一方、ニキビをとにかく早く良くしたい方はグリコール酸の方がいいと思います。
ニキビについてもっと知りたい方はこちらをご参照ください。
当院でグリコール酸(GA)によるケミカルピーリングを受けられる方が非常に増えておりますが、その作用機序をごく簡単にまとめておきたいと思います。
しわに対する作用・・・
GAが(直接的に、もしくは間接的に)線維芽細胞を刺激しコラーゲン産生を促進します。
シミに対する作用・・・
GAがチロシンキナーゼ活性を抑制し、その結果メラニンの産生を抑制します。
ニキビに対する作用・・・
角栓を溶かすことで毛穴のつまりを解除し、ニキビを治します。また近年アクネ菌(ニキビ菌)に対する静菌作用も報告されています。
GAによるケミカルピーリング自体は古くからある非常に簡単な治療ですが、ただ単に角質や表皮をはがして新陳代謝を促している、というわけではなく、背後に複雑な作用機序があります。
シミについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
ニキビについてもっと知りたい方はこちらをご参照ください。
美容皮膚科の治療はクリームでもレーザーでも保険がきかないため高額になりがちですが、あまりお金をかけなくて済む場合もあります。
ちょっとした皮膚のくすみ、ちりめんじわと呼ばれるような浅い小しわの場合は、禁煙と保湿(1日2回)、紫外線予防をきちんとするだけでかなりよくなることが多いのです。これだけのことか、と思われる方も多いと思われますが、欧米の美容皮膚科の教科書を読むとこれらのことが意外など強調されていることがあります。
逆に高価な美容皮膚科の治療メニューを受けても、こららのことがきちんとされていない場合、思ったほどの効果が出ない場合があります。例えば最新の美白クリームを買って使っても、紫外線をたくさん浴びてしまうと、効果が相殺されあまり肌は白くなりません。
禁煙と保湿(1日2回)、紫外線予防は全員の患者様にお勧めできることですが、とくに美容皮膚科の治療を受けたのに思ったほど効果が出なかったと思われる方には、もう一度確認していただきたいと思います。
トレチノインは小じわ、しみの治療薬として、当院でも最もよく使っていただいている外用剤の一つですが、学術的にはどのような効果が分かっているかを述べたいと思います。
まず、トレチノインは細胞内の核内受容体に作用し、表皮角化細胞の増殖を促し、表皮は厚くする作用があります。年齢とともに表皮が薄くなってきますので、表皮を厚くする作用はアンチエイジングに最適ということで、トレチノインが広く使われるようになりました。さらに表皮のターンオーバーを促進し、古くなった表皮角化細胞を新しく生まれ変わらせる作用もあります。角質をはがれやすくし、角質を薄くする作用もあります。その結果、透明感と張りのある肌を作ります。ただし、トレチノイン自体がメラニンの産生を抑制するというデータは乏しく、しみを強力に治療したい場合は、ハイドロキノンや、ルミキシルと組み合わせたほうが良いと思われます。また、トレチノインは、表皮におけるヒアルロン酸の合成を促し、真皮におけるコラーゲンの合成を促します。
以上は非常に有名な効果なのですが、よく調べてみると、そのほかにも様々な効果があることが分かります。以下羅列しておきます。
抗酸化作用(フリーラジカルという老化と関係している物質を捕まえる作用)
抗菌作用(表皮のブドウ球菌、ニキビ菌の増殖を押さえる作用)
紫外線吸収作用(ただし紫外線を吸収した場合に薬剤の安定性の問題もあり、当院では夜につけていただくようにお願いしております)
特に抗酸化作用はもう少し調べてみる価値があるように思います。
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