お尻が腫れてしまう疾患についてまとめてきましたが、今回はその最終回です。
今回は
5 肛門周囲膿瘍
6 痔瘻
についてですが、この辺りは皮膚科というよりも肛門科、消化器外科などで扱われる事が多いでしょう。
ただ、粉瘤やおできと思い皮膚科を受診される方も多いです.
肛門周囲膿瘍
肛門周囲膿瘍は肛門と直腸の間にある小さなくぼみに大腸菌などが感染する事から発症します.
肛門周囲の激しい痛み、発熱が起こります。肛門周囲の皮膚が赤くなり腫れているのが肉眼的にも分かるようになってきます.
治療法はメスで切開し膿を取り除きます。そして創部を清潔にし、抗生剤を内服します.
何度も繰り返していると、肛門と皮膚の間に瘻孔(トンネル)ができてしまいます.
それが6 痔瘻です.
痔瘻になるとしばしば、そこに細菌感染が起こり腫れて痛みが出るという事が繰り返されます.
痔瘻は自然閉鎖する事は無く、手術で瘻孔を切除する必要があります。
瘻孔の切除術は残念ながら当院では行っておらず、肛門科等に受診していただくようになります.
お尻が腫れてしまうと、すぐに粉瘤かな?と思ってしまう事が多いようですが、粉瘤以外にも様々な疾患があるという話の続きをしたいと思います.
本日は、
3 殿部膿皮症
4 毛巣洞
について述べさせて抱きたいと思います.
3 殿部膿皮症
お尻の決まったところが何度も晴れて、痛くなり、膿が出るということを繰り返す疾患です。何度も繰り返しているうちに炎症が持続し、肉芽腫と呼ばれる組織が作られたり、瘻孔と呼ばれる空洞が作られたりして内部に複雑が形成されます.
時に癌が発生する事もありますので注意が必要です.
体質的な要因も大きく、喫煙、メタボリックシンドロームとの関係も指摘されております。
禁煙や、節制等である程度改善が見込めます.
治療法は、抗生剤の内服、切開、病変の切除などですが、体質改善も平行して行わなければ再発を繰り返してしまう事もあります.
4 毛巣洞
お尻の割れ目(殿裂部)に好発します。お尻のむだ毛が圧迫され、皮膚の中に入り込み、瘻孔(細長いトンネル状の構造)が作られます.不思議な事に体内に潜り込んでしまった毛は、長くのびる事が多く、瘻孔も10cm〜20cmほど長くなる場合もあります.そこに細菌感染が起こると腫れ、痛みがでて、さらに瘻孔が複雑な形となります.
毛巣洞も癌の原因となり得ます.
治療法は手術しか無く、完全に瘻孔を取りきる必要があります.ただし瘻孔は複雑な形で広範囲に広がっている事が多く、再発率が高いのが特徴です.
毛深いや、毛を剃っている方に多いです。レーザー脱毛にて予防をする事も可能です.
前回、お尻が腫れて膿が貯まってしまう疾患には
1 炎症性粉瘤
2 せつ、よう
3 殿部膿皮症
4 毛巣洞
5 肛門周囲膿瘍
6 痔瘻
のようなものがあるとご説明させていただきました。
今回は1、2を簡単に説明させていただきたいと思います。
1 炎症性粉瘤
お尻に粉瘤という袋状の腫瘍ができ、場合によっては何度も腫れてしまう疾患です.
通常は、いったん切開を行い膿を抜き、炎症が治まった後に根治的切除を行う事が多いのですが、当院ではなるべく一期的切除(1回で手術を終わらせる方法)を行うようにしております.
詳細はこちら(https://mitakahifu.com/atheroma/)をご参照ください。
2 せつ、よう
せつとは、毛穴に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌、ときに大腸菌が感染し、膿がたまってしまう疾患です.おできとも呼ばれます。それが複数でき、深部で組織を壊死させ、交通してしまったものがようです。
重症化すると熱が出る事もあります.
糖尿病等が基礎疾患としてあると症状が重症化しやすいです.
抗生剤の内服、重症例はメスを使って切開排膿を行います.
お尻が何度も腫れてしまって膿がたまってしまう、という方は結構多いようです.
粉瘤かなあ、と思われる方が多いようですが、それ以外の病気の可能性もあり治療法も異なりますので注意が必要です.
お尻が何度も腫れてしまう病気は以下のようなものがあります.
1 炎症性粉瘤
2 せつ、よう
3 殿部膿皮症
4 毛巣洞
5 肛門周囲膿瘍
6 痔瘻
これらの疾患を数回に分けて解説していきたいと思います.
当院では6の痔瘻以外はすべて対応させていただいております.お困りの方がお気軽にご相談くださいませ。
三鷹院 | 新座院 | 国分寺院 | |
粉瘤 | 102 | 83 | 30 |
ほくろ | 47 | 18 | 13 |
石灰化上皮腫 | 6 | 0 | 2 |
脂肪腫 | 5 | 2 | 2 |
陥入爪 | 5 | 1 | 2 |
ケロイド | 2 | 3 | 1 |
皮膚線維種 | 4 | 3 | 1 |
膿皮症 | 8 | 1 | |
多発脂腺嚢腫 | 14 | 2 | 0 |
血管腫 | 4 | 2 | 2 |
BCC | 2 | 1 | 0 |
ボーエン | 3 | 0 | 0 |
日光角化症 | 3 | 0 | 0 |
その他 | 29 | 17 | 8 |
合計 | 237 | 133 | 61 |
合計、431件となりました。粉瘤、膿皮症は相変わらず多く、血管腫の方が増えてきているなあ、という印象です.大きな血管腫でも諦める必要はありません。是非当院に相談していただきたいと思います。
当院は国際的に高い評価を得ているクリニックです。お困りの方は気軽にお問い合わせくださいませ。
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