炎症性粉瘤はもともと粉瘤に細菌が感染した状態で、急にしこりが大きくなって痛くなってしまった!という場合は、だいたい炎症性粉瘤の事が多いのですが、その治療は少し手間がかかるの普通です。通常は、一旦、炎症性粉瘤を切開し、膿を取り出し、その後も通院を繰り返し、炎症が収まった段階で切除、という風に、少なく見積もっても5回は通院内なければならなかったかと思われます。
炎症性粉瘤の切開を行った際に、なるべく粉瘤の壁も取り除くように意識していますが、その際に粉瘤の壁も完全に取り除けてしまったということが多く、炎症性粉瘤も一回の手術で完全に取り除くことが可能ではないのか、という事を考えるようになりました。
臍抜き法と同じ要領で粉瘤の中心部を取り除き、さらに左右(もしくは縦)に数mmから1cmほど切開を加え、丁寧に洗浄、剥離することで、膿、粉瘤の壁をすべて取り除くことが大部分の症例で可能ということが分かりました。ただし、粉瘤が自壊し粉瘤の壁の原型をとどめていないような症例や巨大な粉瘤においてはこの治療は困難で、ある程度のサイズで、粉瘤の壁が残っている、という事が前提となります。
すなわち粉瘤が腫れ始めてすぐなら、一回の手術で粉瘤を完全に取り除く事が可能、という事になります。
便宜上、とりあず臍抜き切開法と命名したいと思います。この方法で少しでも患者様の負担を減らせる事ができれば非常にうれしく思います。
当院では月に100例を超える粉瘤の手術を行っておりますが、さらに傷を小さくする方法が可能となりましたので報告させていただきます。
これまで粉瘤の臍抜き法(くり抜き法)では3mm、4mm、5mmの皮膚パンチを使って手術を行っていたのですが、スタッフが2mmパンチを探してきてくれたので、2mmの臍抜き法が可能となりました。
2mmの臍抜き法を行った場合は、ニキビ痕か場合によってはそれよりも目立たない傷になるかと思われます。顔の比較的小型の粉瘤が適応となります。
3月の手術実績について報告させていただきたいと思います。
粉瘤150件
ほくろ(保険適応のみ)75件
皮膚線維種7件
切開化上皮腫3件
血管腫2件
ケロイド2件
フェノール法2件
ガター法2件
など
計271件でした。
ほくろの再発例が4件(保険適応のみ)ありました。その他は特に合併症は見られませんでした。
2月の手術実績について報告させていただきたいと思います。
粉瘤149例
ほくろ(保険適応のみ)36件
石灰化上皮腫4件
皮膚線維腫2件
脂肪腫1件
陥入爪4件
その他、副乳の切除術や植皮術なども担当させていただきました。
合計221例
合併症としましては以前に治療をさせていただいた症例で
粉瘤再発2件
ほくろ再発2件
が2月中にご来院いただきました。
傷を小さくすることにこだわりすぎた結果少し再発が増えてしまったのかも知れません。
今後さらにバランスよく治療できるように工夫させていただきたいと思いますので何卒よろしくお願いします。
2014年1月の手術実績を報告させていただきたいと存じます.
粉瘤140件
ホクロ(保険適応のみ)55件
神経線維種9件
脂肪腫6件
石灰化上皮腫4件
血管腫2件
皮膚線維腫2件
ガングリオン1件
基底細胞がん3件
日光角化症(棘融解を伴い癌に進展しやすいもの)1件
など計248件でした。
合併症は
縫合不全2例
術後出血1例
ホクロ再燃2件(保険適応のみ)でした。
皮膚がんが少し多かったかなという印象です。基底細胞がん、日光角化症(これは大部分はがんとは言えませんが)、ボーエン病などは専門的な施設でないと診断が付かないことも多いようです.
※掲載内容・料金は更新時点での情報の場合がございます。最新の内容、料金は各院へお問合せください。