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原因不明の皮膚疾患とウイルス感染症の関係

 原因不明の皮膚疾患の発症とウイルス感染症は密接な関係があるようです。
 今週の火曜日に塩原教授の講演会を拝聴し、面白い考え方を聞けたので紹介したいと思います。(もし当ブログに誤りがあったとすれば、すべて花房に責任があります。)
 今回の講演会はDIHSと蕁麻疹の話でした。DIHSというのは重症薬疹の一種で、HHV-6というウイルスの再活性化との関係が指摘されています。臨床像も初期は麻疹と非常によく似ており、ウイルス感染症との関連が常に話題になる疾患です。(中には、DIHSの経過中に免疫が低下するためにHHV-6が再活性化しているに過ぎないと考える医師もいます。)
 蕁麻疹は、7,8割は原因不明で、「ストレス、過労などが原因でないでしょうか?」と原因についてはあいまいに片づけられていることが多いと思いますが、教授によれば、何らかのウイルス感染症が発症の契機になっていることがかなり多いだろうとのことでした。
 その際、EBウイルスやCMVなどが発症の契機になっている場合は、蕁麻疹の経過中に肝障害がみられるとの話がありました。
 私は成人Still病とウイルス感染症の関係について質問しました。成人Still病というのは

  1. 発熱(39℃以上、1週間以上持続)
  2. 関節痛(2週間以上持続)
  3. 定型的皮疹
  4. 白血球増加(10000/μl以上、好中球80%以上)

 を大基準とし、フェリチン高値、肝機能障害などを特徴とする疾患です。成人Still病は感染症を除外しなければ、そう診断することはできない疾患なのですが、教授によれば、やはりウイルス感染症が発症に関係している可能性がかなり高いとのことでした。
 ではなぜ蕁麻疹や成人Still病ではウイルス感染症との関係をはっきりと示せていないかというと、それはウイルス感染症を血液検査でとらえ、証明することはかなり難しく、保険治療の範囲でその血液検査を行うことは不可能であることが関係しています。つまり再活性化したウイルスを、再活性化しているときに採血しなければならず、それがいつなのかわからなければ、何度も採血をしなければなりませんが、それは保険治療では認められていないのです。
 その他、ウイルス感染症が発症の契機になっている可能性のある疾患としては、今、ぱっと思いつくだけでも、多形紅斑、尋常性乾癬、アナフィラクトイド紫斑、膠原病の一部、扁平苔癬、ジベルばら色粃糠疹、など多数あげられます。
 さらにウイルスと免疫に関する研究が進めば、これらの疾患の発症機序がよりはっきりとわかるようになると思われます。そしていつの日か治療にいかせるようになることを期待したいと思います。

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