今日は大人のニキビについて少し述べたいと思います。
大人のニキビはストレス、ホルモンの乱れ、生活環境、化粧品の影響が複合的にまじりあって発症します。
どれも原因として大事だと思いますが、この中で最も大事なものは化粧品の影響ではないでしょうか?
その根拠は、大人になってから発症もしくは再発するニキビは、女性に圧倒的に多いからです。
おそらくストレス、生活環境には性差はないでしょう。
ホルモンは男性と女性は決定的に異なりますが、むしろ男性ホルモンのほうがニキビを増悪させる作用をします。
にも関わらず、大人になって発症するニキビが女性に多いことを考えると、化粧品による可能性が高いからだと推測できます。
多くの女性は
1.化粧水
2.美容液、乳液
3.保湿クリーム
4.化粧下地
5.ファンデーション
という順番で使っている方が多いようです.
乳液やクリームには油分が入っていますので塗り過ぎには注意したほうがいいと考えられます。
患者さまの中には、ニキビができてしまったら、ニキビを隠そうと、さらに入念に化粧下地やファンデーションを付ける方がいらっしゃいます。
化粧下地やファンデーションには、保湿剤を閉じこるためや、汗や皮脂で崩れないようにするために、高分子シリコーン、高分子ポリマーが入っていることがあります。これらの成分は皮脂にとけないため、きちんと洗い流さないと、皮脂腺の閉塞を引き起こす可能性があります。皮脂腺の閉塞はニキビの増悪につながります。
つまりニキビを隠そうと入念に化粧をすると、かえってにきびが増悪してしまうことがあるのです。
「きちんと洗い流せばいいではないか?」と思われる方もいるでしょうが、高分子シリコーンなどは普通の石鹸には溶けにくいので、それなりに強力なクレンジング剤できちんと洗い流すことが必要となります。クレンジング剤が強すぎたり、洗い過ぎたりすると、皮脂腺に炎症がおこり、かえってニキビが増悪することもあります。
そのような問題の複雑化を避けるために、当院ではニキビのある部位には、あまり化粧下地や、ファンデーションを使わずに、化粧水や乳液程度にとどめていただいています。
ニキビについてもっと知りたい方はこちらをご参照ください。
アトピー性皮膚炎の患者さまではスキンケアが非常に大事と以前書かせていただきましたが、今回は具体的にどのようにすればいいかを少し述べさせていただきます。
アトピー性皮膚炎の患者さまは、保湿剤(ヘパリン類似物質含有製剤、尿素製剤およびワセリンなど)の塗布により、湿疹の予防になり、再燃が抑えられることがさまざまなデータより示されています。そのため保湿剤の塗布はきっちりと行っていただくことが大事です。
そのほか、アトピー性皮膚炎のガイドラインでは以下のことが推奨され、三鷹はなふさ皮膚科でもほぼ同じ意見を持っております。
1.入浴,シャワーにより皮膚を清潔に保つ.
2.室内を清潔に保ち,適温・適湿の環境を作る.
3.規則正しい生活をおくり,暴飲・暴食は避ける.
4、刺激の少ない衣服を着用する.
5.爪は短く切り,掻破による皮膚障害を避ける.
特に夏場は、1.が大事になります。しかし、学校や職場は通常はシャワー室がなく、汗をかいた後に、そのままになっていることがほとんどです。
特に学校生活においては、体育の授業の後や、運動会の練習の後に、シャワーを浴びることができないのは普通のことです。私もそうでした。しかしそれは皮膚科医にとっては非常に憂慮すべき現状なのです。
シャワー浴を取り入れた学校ではアトピー性皮膚炎の患者さまの症状が軽快したとの報告がいくつかなされています。
ただ現状ではそのような学校、職場は少ないので、汗をかいたら、タオルやハンカチで汗をすぐに拭き取り、着替えのシャツを持って行って着替えるようにするのが良いのではないかと思います。そして家に帰ったらすぐにシャワーを浴びるようにしてください。
4.の刺激の少ない衣服についてですが、肌に直接接触する服は柔らかいコットンでできたものが良いとされています。洗剤のすすぎ残しにも注意が必要です。肌が非常にデリケートな方は、服を通常通り洗った後に、もう一度、洗剤なしで洗うようにしてみてください。
当院に来れられる女性の患者さまから、化粧水や乳液、クリームのことを聞かれることが多いので、その分析の方法を何回かに分けて述べたいと思います。
まず、分析方法に入る前に、保湿についての基礎知識を簡単にまとめておきます。
角質には過度な水分の蒸発を防ぐために、何重もの防御がなされています。
それは現在分かっているところ
の3つが挙げられます。
ボディーオイルや、保湿クリーム、乳液は主に1の補充を目的とし、化粧水は2の補充を目的とすることが多いようです。
3のセラミド入りの基礎化粧品も多くみられるようになってきました。
三鷹はなふさ皮膚科にはナローバンドUVBの照射機器が置いてあります。
UBVとは紫外線の一種で、ナローバンドUBV治療というのは、治療効果のある波長の紫外線を選択的に照射する治療のことです。
選択的に治療効果のある紫外線を照射することで、副作用が軽減され、かつ高い治療効果が得られます。詳しくは当院ホームページの光線治療の項目をご覧ください。
https://mitakahifu.com/ray/
尋常性乾癬は難治性の皮膚疾患で、長く付き合っていかなければならない疾患です。そのため、安定した効果が得られ、副作用が少ない治療を選択していかなければなりません。
乾癬の治療は、旭医科大学の飯塚先生のピラミット計画が有名で広く受け入れられています。
この治療アルゴリズムはビタミンD3外用薬、ステロイド外用薬から治療が始まり、それで効果不十分なら、上の治療に進んでいくということを意味しております。
もしビタミンD3外用薬、ステロイド外用薬による効果が不十分な場合、光線治療(近年であればナローバンドUVB)に進むのが一般的に受け入れられている考え方です。
上図からは、シクロスポリンの内服に進んでもいいことになっていますが、薬が高価で、腎機能障害などの副作用に注意しなければならないため、特別な事情がない限り、光線治療に進むのが良いと思われます。
三鷹はなふさ皮膚科では乳幼児期のアトピー性皮膚炎の患者さまに早期に治療を開始し、その後も診察のたびにスキンケアの重要性を強調させていただいておりますが、その根拠を少し述べたいと思います。
アトピー性皮膚炎の診断は、それほど簡単ではないのですが、それについては今回は割愛します。
アトピー性皮膚炎は、何らかの角質異常による皮膚のバリア機能の低下と、アレルギーになりやすい体質によって発症するとされていますが、近年バリア機能の低下によって、アレルギーが進行するのではないかとういう説が多く提唱されています。
つまり、まずバリア機能の低下があり、そこから経皮的に感作されて(皮膚からアレルギー物質が吸収されることにより、その物質に対するアレルギー反応がおこって)、食物アレルギーや、気管支喘息に進展するのではないかという説です。その説は非常に説得力のあるデータによって裏づけされています。
(言葉がやや厳密ではなくなりますが)ごく簡単にいいかえれば、皮膚のバリア機能が低下している状態を放置すれば、その後、アレルギーになりやすくなる可能性がある、といえます。
アトピー性皮膚炎の方の湿疹部位は極めてバリア機能が低下していますので、アレルギーの進展を防ぐために早期にステロイド外用を行い炎症を抑え、保湿剤にて皮膚を保護する必要があるのです。
三鷹はなふさ皮膚科で、湿疹の治療と、保湿剤の重要性を何度もお話しする理由はそこにあります。
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