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冬に多い病気②〜寒冷蕁麻疹

 冬に多い病気、というよりは冬(寒さ)に特徴的な病気、といえばいいのでしょうか?あまりにも有名な病気のため問い合わせが非常に多いのですが、それほど頻度は高くない病気です。
寒い日に外に出て風に吹き付けられた際、露出部に蕁麻疹が出てかゆくなる。
冬の寒い日にジョギングをして汗をかいて、そのままにしていたら蕁麻疹が出た。
冷たい水で手を洗ったり食器を洗ったりすると、手に蕁麻疹が出てかゆくなる。
アイスクリームなどの冷たいものを食べたら、唇が脹れてかゆくなる。
といった症状が典型的です。
 症状に気がつかないうちに冷たいプールで泳いでショック症状を起こすこともありますので注意が必要です。
 なるべく寒冷刺激を避けることが重要となります。通常の蕁麻疹同様、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服も効果があります。
 中高年の方の寒冷蕁麻疹には、クリオグロブリン血症や骨髄腫、リンパ腫、白血病などが隠れている場合がありますので、精密検査をお勧めする場合があります。
 とはいえ、それほど頻度の高い病気ではなく、検査をしてみると普通の蕁麻疹であったり手湿疹であったりすることがほとんどなのです。しかし本当に寒冷蕁麻疹であった場合、症状に気がつかないと、急激な寒冷刺激を全身に受けた場合、重篤な症状を引き起こすことがありますので、注意が必要な病気といえると思います。

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かゆみ治療のUP TO DATE2012の報告

 昨日、「かゆみ治療のUP TO DATE2012」という勉強会に参加してきました。
 京都府立医科大学の加藤教授の講演会が参考になりました。
 アトピー性皮膚炎の治療は痒みがよくなったからと言って、ステロイドやタクロリムス軟膏の使用を止めてはいけない、肌がつるつるになるまで続けなくてはいけないと、当院でもよくご説明させていただいていますが、その根拠を述べられておりました。
 まずアトピーの湿疹部というのは、皮膚に過剰に免疫反応が起こり、主にリンパ球が集まってきて炎症が起こっている状態ですが、ステロイド外用薬を付けると、リンパ球が冬眠状態になります。その時点で痒みがなくなるため患者様はステロイド外用薬をやめてしまうことが多いのですが、それではまた何かの契機にすぐにリンパ球が目覚めてしまい、湿疹が再燃してしまいます。そのため「ステロイドは効かない」という実感を持ってしまわれる方も多いと思われます。そこからステロイドをさらに一週間くらい続けると、リンパ球がアポトーシス(自滅)し、湿疹が再燃しにくくなりいます。そこまでステロイドの外用を続けなければならないというわけです。
 もちろんステロイドの外用を長期間続ければ皮膚が薄くなったり一時的に皮膚免疫が低下するといった副作用がありますが、保湿剤を併用し、湿疹が治った後も1ヶ月程度保湿剤にてスキンケアを続ければ、皮膚は回復します。

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虫刺されにご注意ください。

 虫刺されによる患者様が急増しております。
 虫刺されといってもたくさん種類があり、代表的なものだけでも
蚊、ブヨ、アブ、ノミ、ダニ、ハチ、アリ、毛虫などがあります。
 ブヨ等に刺されると、1年近く痒い場合があり、掻いているうちに難治性皮膚疾患である結節性痒疹という固まりなってしまう場合がありますので、早期にステロイド外用を開始したほうがいいと思われます。
 ノミはペットに寄生していることがあります。ペットを飼っていて、下腿などにいつの間にか虫刺されがたくさんできてきたという場合は、ノミを疑ってもいいかもしれません。
 ダニはアレルギーの原因としても非常に有名ですが、人を刺す種類のものもあります。ツメダニは人を刺すダニの一つですが、「皮膚科学体系」によると、東京都のご家庭では4.9%でツメダニがいたと報告されております。畳やござ、絨毯の上で寝て、それらと接触していた部位に虫刺された生じた場合はツメダニによる虫刺されを考えてもいいかもしれません。
 マダニによる虫刺されはそれほど多くないのですが、皮膚にかみついたら何日も離れないことが多く、患者様は発見すると驚いてご来院されます。手術的に切除するしかない場合が多くあります。ライム病の予防のために抗生物質の予防投与を行わなければなりません。
 人に寄生し、人の中で増えていくヒゼンダニというダニもあります。ヒゼンダニによる感染症は、疥癬とよばれご高齢者を中心に非常に増えています。家族中に広がってしまうことがあります。
 ドクガやチャドクガ等の幼虫(毛虫)による虫刺されも非常に増えています。これらの毛虫による虫刺されは、直接毛虫と接触しなくても、毛虫が吐いた糸や脱皮殻などに接触しても起こるという点に注意が必要です。
 まだまだ書きたいことはあるのですが、虫刺されといっても種類がたくさんあり、それぞれ対処法が異なるので、気になる方は一度皮膚科できちんとも見てもらったほうがいいかもしれません。

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皮膚の温度上昇と痒み

 最近、急に気温が高くなったため、気温上昇に発汗機能がついてこれない場合があります。
 寒い間はあまり汗をかかないので、急に気温が上昇した場合、発汗機能が対応できず、皮膚の温度が一時的に上がり過ぎてしまうことがあります。その場合、皮膚の温度が少々したことにより、ヒスタミンの分泌が亢進し痒みが増したり、末梢血管が拡張し、炎症が増悪したりすることがあります。
 特に汗をあまりかかない、という方に注意してほしい点であります。こまめに衣類で体温調整を行うほか、半身浴や有酸素運動などで発汗機能を高めることで気温の変化に対応することができるようになります。

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汗をかき始める時期になりました。

 気温が上昇し、少し汗ばむこともある季節となりました。
 この時期に紫外線の増加、花粉症皮膚炎とともに注意していただきたいのが、汗のかき始めによる痒み、湿疹です。
 適度に汗をかくと、角質に水分が供給され、乾燥肌の予防になりますし、皮膚の温度が上がり過ぎるのを防いでくれ、さらに汗に含まれる抗菌ペプチドと呼ばれる成分が、皮膚に細菌が増殖するのを防いでくれたりもします。汗をかくこと自体は皮膚にとっていいことの方が多いと思われますが、通常、アトピーの患者様などは、汗をかくと皮膚がかゆくなるため、汗をかかないようにされている方も多いと思われます。学校で体育の後にシャワー浴を導入すると、アトピーの患者様の症状がよくなったとのデータもあり、逆に汗が皮膚にとどまったままにしていると、皮膚炎が悪くなるという考えもあります。
 では、汗は皮膚にとっていいのか悪いのか、ややこしくなってきますが、私はシンプルに、健康な皮膚とっては汗は健康な状態の維持に役立つが、湿疹や乾燥のため角質が傷んでいる皮膚にとっては痒みの原因になると考えるのがいいと思います。
 つまり汗をかくこと自体は誰にとってもいいことなのですが、それは角質の状態をある程度整えてからのほうがいいということになります。
 長引いた冬の乾燥やそれにともなう痒み、擦過によって、角質が傷んでいる方はたくさんおられます。そのような方が急に汗をかき始めると痒みが増悪し、湿疹に至ってしまうかもしれません。汗のかき始めの季節ほど、きちんと保湿し、角質の状態を整えることをお勧めしたいと思います。

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