以前、ブログで書かせていいただいたように新しいレーザー(サイノシュア社エリート)を納入させていただきました。
複合機のためシミの治療にも使えるので、以前から使っているQスイッチアレックスレーザー(キャンデラ社)は必要ないのでは?と思われる方がおられるかもしれませんが、決してそんなことはありません。
やはりシミを完全にとりきって、再発させない為には、Qスイッチアレックスレーザー(以下Qスイッチと呼びます)が必要なのです。ではQスイッチだけでいいかというと、そうもいきません。Qスイッチは一瞬にかかるエネルギーが強すぎて時に炎症後色素沈着という別のシミができてしまうことがあるためです。炎症後色素沈着は3~6ヶ月程度で大部分消失しますが、やはりその間はがっかりされる患者様が多いのです。またQスイッチはレーザー照射後7日~10日間は照射部に紫外線を当てないように細心の注意しなければなりません。以上より、Qスイッチを顔面全体に充てるのは少しリスクが高く、生活スタイルによっては困難と感じる患者様もいらっしゃると思います。
逆にエリートによる治療では、シミを取りきる、という点ではQスイッチに及びませんが、炎症後色素沈着のリスクを下げダウンタイムが無いように治療を行うことができる点や、シミだけでなく毛穴や小じわ、赤ら顔等にも対応できるという点が優れています。
以上よりどちらのほうが優れているということは困難で、患者様の生活スタイルや、どのような結果を求めているかによって、使い分けていくのがベストということになります。
シミについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
美容皮膚科の治療はクリームでもレーザーでも保険がきかないため高額になりがちですが、あまりお金をかけなくて済む場合もあります。
ちょっとした皮膚のくすみ、ちりめんじわと呼ばれるような浅い小しわの場合は、禁煙と保湿(1日2回)、紫外線予防をきちんとするだけでかなりよくなることが多いのです。これだけのことか、と思われる方も多いと思われますが、欧米の美容皮膚科の教科書を読むとこれらのことが意外など強調されていることがあります。
逆に高価な美容皮膚科の治療メニューを受けても、こららのことがきちんとされていない場合、思ったほどの効果が出ない場合があります。例えば最新の美白クリームを買って使っても、紫外線をたくさん浴びてしまうと、効果が相殺されあまり肌は白くなりません。
禁煙と保湿(1日2回)、紫外線予防は全員の患者様にお勧めできることですが、とくに美容皮膚科の治療を受けたのに思ったほど効果が出なかったと思われる方には、もう一度確認していただきたいと思います。
トレチノインは小じわ、しみの治療薬として、当院でも最もよく使っていただいている外用剤の一つですが、学術的にはどのような効果が分かっているかを述べたいと思います。
まず、トレチノインは細胞内の核内受容体に作用し、表皮角化細胞の増殖を促し、表皮は厚くする作用があります。年齢とともに表皮が薄くなってきますので、表皮を厚くする作用はアンチエイジングに最適ということで、トレチノインが広く使われるようになりました。さらに表皮のターンオーバーを促進し、古くなった表皮角化細胞を新しく生まれ変わらせる作用もあります。角質をはがれやすくし、角質を薄くする作用もあります。その結果、透明感と張りのある肌を作ります。ただし、トレチノイン自体がメラニンの産生を抑制するというデータは乏しく、しみを強力に治療したい場合は、ハイドロキノンや、ルミキシルと組み合わせたほうが良いと思われます。また、トレチノインは、表皮におけるヒアルロン酸の合成を促し、真皮におけるコラーゲンの合成を促します。
以上は非常に有名な効果なのですが、よく調べてみると、そのほかにも様々な効果があることが分かります。以下羅列しておきます。
抗酸化作用(フリーラジカルという老化と関係している物質を捕まえる作用)
抗菌作用(表皮のブドウ球菌、ニキビ菌の増殖を押さえる作用)
紫外線吸収作用(ただし紫外線を吸収した場合に薬剤の安定性の問題もあり、当院では夜につけていただくようにお願いしております)
特に抗酸化作用はもう少し調べてみる価値があるように思います。
シミができると急いで治療をしなくては、と思われる方も多いのですが、中には治療せずに様子を見るのが一番いいシミもあります。
それが炎症後色素沈着で、やけどや湿疹の後に皮膚が少し黒ずんでしまう現象のことです。放っておけば3ヶ月~6か月で良くなりますので、特別な治療は必要ないことが多いです。
最近、他院にてレーザー治療を行ってシミが濃くなって困っているという方が、しばしばご来院されるようになりました。多くの場合、レーザー治療に伴う炎症後色素沈着で、特別な治療をしなくても半年もあれば消えてしまいますが、慌てていろいろなクリームを試したり、レーザー治療を繰り返した結果、さらに症状が悪化してしまうことがあります。
炎症後色素沈着は文字通り皮膚に炎症が起こった後に、メラノサイトが過活性化し起こるシミなのでなるべく刺激せずに、日焼けと摩擦を避けなるべく皮膚を安静にすることが重要となります。もしいろいろと強いクリームを使って、その刺激でかぶれてしまったら、かえって症状は悪くなってしまいます。
そのため、当院にご来院していただいた炎症後色素沈着の患者様にも、「少し様子をみましょう」と申し上げることがあり、何もしていないようで心苦しいのですが、それがベストの選択になる場合もあるのです。
シミについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
シミの治療方法がいろいろあり過ぎて困ってしまうというご意見をいただいたので、標準となる治療をご提示したいと思います。(もちろん治療方法には常に例外がありますし、コストを考えて別の治療を選択することも可能ですので、絶対にこうでないといけないというわけではありません)。
比較的濃い日光性黒子・・・Qスイッチアレックスレーザー(Qスイッチ以外はあまり効きません)
比較的薄い日光性黒子・・・ルミキシル、(かぶれなければ)ハイドロキノン、ケミカルピーリング、トレチノインなど
脂漏性角化症・・・炭酸ガスレーザー
太田母斑・・・Qスイッチアレックスレーザー(Qスイッチ以外はあまり効きません)
後天性真皮メラノサイトーシス・・・Qスイッチアレックスレーザー(Qスイッチ以外はあまり効きません)
肝斑・・・トラネキサム酸(トランサミン)内服、早く治したいときはルミキシル、ピーリング併用
炎症後色素沈着・・・経過観察(様子見)、早く治したいときはルミキシル、トレチノインなどの併用
雀卵斑・・・Qスイッチアレックスレーザー
こうしてみるとある程度治療は決まっていて、治療に幅があるのは比較的薄い日光性黒子くらいということになります。
ただし、多くの場合、1人の患者様にシミが1種類しかないとうことはあまりなく、上記のシミが複数合併している場合がほとんどですので、治療も少し幅が出てしまうことになります。
シミについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
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