ニキビの患者様の中には、標準治療ではなかなか治らない場合がありますが、その一つが大人になってから発症した女性のニキビです。25歳以上になって増悪し、脂性肌で、下顎を中心にニキビが出来、月経前に増悪するといった特徴があります。男性ホルモンを抑える抗アンドロゲン療法が著効しますが、日本では保険適応が通っていないため、少し治療に難渋することがあります。
今回、ご紹介する十味敗毒湯は我々皮膚科医がよく処方する漢方薬ですが、製造会社によって成分が若干異なり、クラシエ十味敗毒湯は桜皮を含む点が大きな特徴です。桜皮は文字通り山桜の樹皮より抽出される成分ですが、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌を促し、結果的に男性ホルモンの作用を抑えるということを知り、当院でも取り入れることとしました。
その結果、今まで標準治療で改善しなかった大人の女性の方でも高い効果が得られる場合が増えてきました。
いずれのタイプのニキビの方も、まずは標準治療をしっかり行うべきと考えておりますが、もしそれで十分な効果が得られなかった場合で、最初に述べた特徴のある患者様では、クラシエ十味敗毒湯を試す価値があると考えております。
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当院ではサリチル酸マクロゴールと、グリコール酸によるピーリングを行っていますが、その違いについて述べておきたいと思います。
サリチル酸マクロゴールは注目のピール剤で、グリコール酸と比べて、刺激が少なく、月1回のピーリングでいいというメリットがあります。ニキビ、小じわ、皮膚のくすみの治療に優れた効果を発揮します。
もともとサリチル酸のピーリングはあったものの、痛みがきわめて強く、なかなか実用に向かなかったものを、マクロゴールという基材に溶かし、刺激をほとんどなくしたものがサリチル酸マクロゴールです。
グリコール酸との比較
サリチル酸マクロゴール | グリコール酸 | |
通院 | 月1回 | 2週間に1度 |
副作用 | ほぼなし | 灼熱痛、紅斑、びらん、痂皮
落屑 |
術直後の化粧 | 可能 | 可能 |
ニキビ菌に対する効果 | はっきりしない | 殺菌作用 |
角質に対する作用 | 角質を均一に整える
(皮膚のざらつきに効果) |
角質の結合を弱める
(それゆえニキビに効果) |
費用 | 1回8000円 | 1回4000円 |
以上より、月1回しか通えない方、肌をすべすべにした方、副作用を絶対に起こしたくない方にはサリチル酸マクロゴールの方には向いていると考えております。一方、ニキビをとにかく早く良くしたい方はグリコール酸の方がいいと思います。
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当院でグリコール酸(GA)によるケミカルピーリングを受けられる方が非常に増えておりますが、その作用機序をごく簡単にまとめておきたいと思います。
しわに対する作用・・・
GAが(直接的に、もしくは間接的に)線維芽細胞を刺激しコラーゲン産生を促進します。
シミに対する作用・・・
GAがチロシンキナーゼ活性を抑制し、その結果メラニンの産生を抑制します。
ニキビに対する作用・・・
角栓を溶かすことで毛穴のつまりを解除し、ニキビを治します。また近年アクネ菌(ニキビ菌)に対する静菌作用も報告されています。
GAによるケミカルピーリング自体は古くからある非常に簡単な治療ですが、ただ単に角質や表皮をはがして新陳代謝を促している、というわけではなく、背後に複雑な作用機序があります。
シミについて詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。
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ニキビ跡でお悩みの方は多いと思いますが、治療メニューがたくさんあり、どうすればいいかわからない、とのご意見をいただきましたので、まとめておきたいと存じます。
ニキビ跡は、黒ずみ(炎症後色素沈着)、赤み、肥厚性瘢痕(固くなってしまった状態、ケロイド)、陥凹性瘢痕(いわゆるクレーター)などに分類さるかと思いますが、それぞれ、治療法が異なります。ご参考までに治療法を羅列しておきたいと思います。
黒ずみ(炎症後色素沈着)・・・無治療でも半年ほどで軽快します。早く良くしたい方は、ビタミンC内服、トレチノイン、ハイドロキノンの外用療法を行います。
赤み・・・黒ずみと同様に無治療でも半年ほどで軽快します。早く良くしたい方は、Nd YAGレーザーの照射を行います。ケミカルピーリングが効くとの報告もあります。
肥厚性瘢痕、ケロイド・・・ステロイドの局所注射、リザベンの内服などを行います。特にステロイドの局所注射が非常によく効きます。
陥凹性瘢痕・・・ケミカルピーリング、トレチノイン外用、炭酸ガスレーザーによる修正術、Nd YAGレーザー照射を行っています。陥凹が数個しかない場合は炭酸ガスレーザー、広範囲にたくさんある場合は、Nd YAGレーザー照射をお勧めしたいと思います。
それでは明日よりまたよろしくお願いいたします。
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現在、ほとんどのニキビは保険適応内の標準治療(抗生剤外用、内服、アダパレン外用、漢方薬など)で、十分な効果が得られるということを書かせていただきました。当院でもおそらく9割以上の患者様は標準治療で十分な効果が得られていると考えております。
しかし、まれに標準治療だけでは十分な効果が得られない患者様もおられます。
一つは若い男性に多い、集簇性ざ瘡と呼ばれる重症型のニキビで、顔面、胸などに比較的大きな膿疱が固まってでき、一部ケロイド化することもあります。ニキビというよりも慢性膿皮症の一種と考えたほうが良いのではないかという意見もあります。集簇性ざ瘡の患者様は標準治療だけでは反応せず、標準治療に加え、ステロイド内服、DDS(もともとハンセン病の治療薬として開発されるも、その高い抗炎症作用のため難治性皮膚疾患に応用されている)などを処方させていただきます。ケロイド化を伴うニキビ跡になることが多く、その治療はステロイド局注などを行います。米国ではイソトレチノイン(経口レチノイド)内服とステロイド内服を組み合わせて行います。
もう一つは、大人の女性のニキビで、アンドロゲンというホルモンの影響が強いとされるニキビです。25歳以上になって増悪し、脂性肌で、下顎を中心にニキビが出来、月経前に増悪するといった特徴があります。日本ではホルモン治療の保険適応が通っていないため、少し治療に難渋することがあります。仕事によるストレスが原因となっていることが多く、ストレスをマネジメントすることが治療の一環となります。月経不順や、多毛、卵巣嚢腫がある場合は、婦人科の医師と相談しながら治療を進めさせていただくとこもあります。
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