HOME > ブログ > 診療 > ヒアルロン酸注入の適応
pagetop

ヒアルロン酸注入の適応

 ヒアルロン酸注入の適応について少し述べたいと思います。
 ヒアルロン酸注入は、眉間のしわ、ほうれい線、marionette lineと呼ばれる口角外側の深いしわを目立たなくするのに良く用いられることはご存知の方が多いと思います。
 そもそも、なぜしわが深くなるかというと、年齢とともに頬骨上の皮下脂肪からボリュームの低下が起こり、皮膚が余ってしまいます。その結果、顔が全体的に垂れ下がり、目の下のクマや、ほうれい線などが目立つようになります。そのため、まず頬骨上のボリュームを上げるために、ヒアルロン酸を注入するのは非常に合理的と思われます。
頬骨上に注入されたヒアルロン酸は時間とともに少し広がり、カラスの足跡や、目の周囲の小じわの改善にもつながり、顔全体の印象を若くしてくれます。

理事長ブログ | 診療 | comments(0) | trackbaks(0)

乾燥肌にご注意ください。

 冬型の気候になり、乾燥に伴う皮膚症状によりご来院される方が急増しております。
 乾燥肌は放置してはいけないと考えておりますが、その理由を改めて解説させていただきたく存じます。
 まず乾燥肌を放置していると、皮膚のバリア機能の低下により外的な刺激を受けやすくなり、湿疹に至ってしまうことがあります。さらに放置していると、貨幣状湿疹などのやや治りにくい湿疹になってしまいます。貨幣上湿疹にまで至ってしまうと、治癒しても炎症後色素沈着というシミが残ってしまいます。炎症後色素沈着は6か月程度である程度薄くなりますが、完全に治らないこともあります。
 しかし本当に注意しなければならないのは、その他の点にあると考えております。
 乾燥肌を長年放置していると、角化細胞が外的な刺激にさらされ、損傷を受けることになります。その状態が長く続くと角化細胞からNGFをいうサイトカインが放出され、神経線維が伸びて表皮内への侵入してくるようになります。そうなると少しの刺激でかゆみを感じるようになり、いわゆる「敏感肌」になってしまいます。いったんこういった状態になるとなかなか神経は元に戻りません。私はこのことの重要性をことあるたびに述べてきたつもりでしたが、あまり興味を持っていただけないのが現状です。
 もう一点述べておきます。特に乳幼児の患者様に注意が必要なのですが、乾燥肌により皮膚のバリア機能が低下すると、外部からアレルギーの原因となる物質の通過を許してしまいます。何度もそのような物質の通貨を許していると徐々に体の中に抗体が作られ、その物質に対してアレルギーを持つようになります(経皮的感作)。一度ある物質についてアレルギーを持つようになると、そのほかの物質に対しても、アレルギーを持ちやすくなります(これは所謂Th2 spreadなどの機序から説明できますが、専門的にならないように今回は割愛いたします)。つまりアレルギー体質になってしまう可能性があるのです。
 まとめますと、乾燥肌を放置することで、敏感肌、(特に乳幼児の患者様は)アレルギー体質になりやすくなるといえるので、きちんとスキンケアをしていただけばと存じます。

理事長ブログ | 診療 | comments(0) | trackbaks(0)

掌蹠膿疱症の位置づけと病因について

 掌蹠膿疱症は、手のひらと足の裏に無菌性の膿疱がたくさんできる病気です。
 現時点では明確な病因は分かっていませんが、細菌性の口蓋扁桃炎や歯周病などの病巣が原因ではないかと考えられていることがあります。また掌蹠膿疱症の患者様の多くが喫煙者であることが知られています。口腔内の金属アレルギーが原因で発症することもあるとされています。
 欧米では乾癬の一亜型として扱われていますが、本邦では乾癬とは別の疾患として扱われていることが多いようです。
 私は以前から掌蹠膿疱症に強い関心を抱いております。というのも、病巣感染や金属アレルギーが原因のことがあるのに、なぜ手のひらと足の裏にしか皮膚病変が出ないのか?という点です。病巣感染(たとえば溶連菌)に伴って、リンパ球が刺激され、交差反応によって皮膚を攻撃するとしても、全身に病変が出ずに、掌蹠にのみ病変が出るのは理解できません。掌蹠の皮膚としての特殊性について検討する必要があるように思いますが、あまりそれについての検討はなされてないようです。(私の推測では、掌蹠膿疱症で角質下膿疱を形成するにはある一定の時間が必要であり、それ以外の部位では角質下膿疱を形成する前に、角質が脱落してしまうのだろうと思います。逆に言えば膿疱を形成されるまでに比較的長い時間が必要な経路が関与しているのだろうという推論が成り立ちます。)
 そのほか喫煙がどのような機序で同疾患の発症に関与しているのか、なぜビオチンが効く方、効かない方がいらっしゃらるのか、なぜ日本と世界とは取り扱いが異なるのかなど、そのほかにも疑問点はたくさんあります。
 いずれそれらの疑問点についての私の推論を述べたいと思います。

理事長ブログ | 診療 | comments(0) | trackbaks(0)

稗粒腫の治療

 稗粒腫は非常に一般的な皮膚疾患でお困りの方も多いと思います。
 目の周りによくできる、小さなくりっとした白い皮膚腫瘍です。
 稗粒腫(=milia)で検索しするとたくさんの画像が出てきますので、参考にしていただければと存じます。
http://www.google.co.jp/search?q=milia&rls=com.microsoft:ja:IE-SearchBox&oe=UTF-8&rlz=1I7ADFA_ja&redir_esc=&um=1&ie=UTF-8&hl=ja&tbm=isch&source=og&sa=N&tab=wi&ei=PBDWTs6aDMLtmAXVwfVR&biw=1024&bih=496&sei=QxDWTqnQFuLumAWfupz7Dg
 自然に発生することもありますが、欧米の教科書には目の周りを習慣的に擦ることが原因で発症することもあると記載されていますので注意されたほうがいいかもしれません。
 治療法ですが、注射針の先で刺して内容物を取り出す治療が一般的ですが、それだけだとすぐに再発しまいますので、当院では内容物を取り出した後に炭酸ガスレーザーで照射を加える方法をとっています。
 非常に簡単な治療ですので、もしお困りの方がいらっしゃればご相談いただければと存じます。

理事長ブログ | 診療 | comments(0) | trackbaks(0)

尋常性白斑について

 尋常性白斑はシミとは逆に、皮膚の色が白く抜けてしまう後天性の疾患で、皮膚科外来ではしばしば見かける疾患です。皮膚の色が白く抜けている部位を白斑と呼びます。
 整容的な問題により、患者様にとってしばしば精神的なストレスとなります。
 徐々に白斑が広がることもあります。手のひら、足の裏をのぞき、全身どこにでも発症しえます。
 なぜ尋常性白斑が発症するのか、についてはこれでもかというほどたくさんの説が提唱されています。
 ①自己免疫説・・・抗体、もしくはT細胞が色素細胞を攻撃してしまうという説。
 ②色素細胞自己破壊説・・・色素を産生するときに作られる中間代謝物に毒性があり、それをうまく処理できなくなったために色素細胞が破壊されてしまうという説。
 ③神経説・・・尋常性白斑が神経節に沿って発現することがあるため、神経線維が発症になんらかの関与をしているのではないか?との説。
 ④活性酸素説・・・皮膚における代謝障害により活性酵素が増加し、色素細胞を傷つけることにより発症しているのではないか、という説。
 どれが正解なのかはなかなか難しく、これ以上の考察は今回は割愛したいと思います。
  難治性皮膚疾患の代表とされ、「治らない」と思っていらっしゃる方も多いと思います。
 現状ではステロイド外用のみで経過を見られていることが多いのですが、確かにそれだけだと治療成績は高いとは言えません。やはり光線治療も併用するほうが良く、それを併用した場合、かなりの確率で良好な色素再生が見られるという実感を持っております。
 論文的にも半数以上の方で良好な色素再生が見られたとの報告が多数あり、決してあきらめてしまう疾患ではないと思っております。

理事長ブログ | 診療 尋常性白斑 | comments(0) | trackbaks(0)
  • おおしま皮膚科
  • 小島内科クリニック

※掲載内容・料金は更新時点での情報の場合がございます。最新の内容、料金は各院へお問合せください。