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乾燥肌にご注意ください。

 冬型の気候になり、乾燥に伴う皮膚症状によりご来院される方が急増しております。
 乾燥肌は放置してはいけないと考えておりますが、その理由を改めて解説させていただきたく存じます。
 まず乾燥肌を放置していると、皮膚のバリア機能の低下により外的な刺激を受けやすくなり、湿疹に至ってしまうことがあります。さらに放置していると、貨幣状湿疹などのやや治りにくい湿疹になってしまいます。貨幣上湿疹にまで至ってしまうと、治癒しても炎症後色素沈着というシミが残ってしまいます。炎症後色素沈着は6か月程度である程度薄くなりますが、完全に治らないこともあります。
 しかし本当に注意しなければならないのは、その他の点にあると考えております。
 乾燥肌を長年放置していると、角化細胞が外的な刺激にさらされ、損傷を受けることになります。その状態が長く続くと角化細胞からNGFをいうサイトカインが放出され、神経線維が伸びて表皮内への侵入してくるようになります。そうなると少しの刺激でかゆみを感じるようになり、いわゆる「敏感肌」になってしまいます。いったんこういった状態になるとなかなか神経は元に戻りません。私はこのことの重要性をことあるたびに述べてきたつもりでしたが、あまり興味を持っていただけないのが現状です。
 もう一点述べておきます。特に乳幼児の患者様に注意が必要なのですが、乾燥肌により皮膚のバリア機能が低下すると、外部からアレルギーの原因となる物質の通過を許してしまいます。何度もそのような物質の通貨を許していると徐々に体の中に抗体が作られ、その物質に対してアレルギーを持つようになります(経皮的感作)。一度ある物質についてアレルギーを持つようになると、そのほかの物質に対しても、アレルギーを持ちやすくなります(これは所謂Th2 spreadなどの機序から説明できますが、専門的にならないように今回は割愛いたします)。つまりアレルギー体質になってしまう可能性があるのです。
 まとめますと、乾燥肌を放置することで、敏感肌、(特に乳幼児の患者様は)アレルギー体質になりやすくなるといえるので、きちんとスキンケアをしていただけばと存じます。

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