本日は体の洗い方について少し述べたいと思います。
今更、体の洗い方といわれてもピンと来ない方も多いと思いますが、皮膚科的に正しい体の洗い方を知っていても損がないように感じますので、ご紹介させていただきたいと思います。
まず、石鹸をよく泡立ててから、手で体を優しく洗います。
タオルでごしごし洗う必要はありません。
湿疹のある部位も同様に洗ってください。「湿疹がある部位はカサカサしているので、石鹸では洗わない」とおっしゃる方がおられますが、そうすれば湿疹部位には汚れが残ったままとなり、かゆみや炎症がひどくなってしまいます。
夏場は一日一回、体を石鹸で洗うのがいいと思われます。
ご年配の方で、皮膚の乾燥が強い方であれば、冬場は2,3日に1回、石鹸で体を洗っていただく方法でもいいかもしれません。
しかしやはり夏場は毎日、石鹸で洗ったほうがいいと思います。乾燥が気になるようなら、保湿剤を塗布していただければと思います。角質の水分は入浴後、30分以内に大部分が蒸発してしまうため、入浴後すぐに保湿剤を使えば効果的です。
以上が、皮膚科的には標準的な体の洗い方になりますが、もし、ご自身の方法があり、全く皮膚にトラブルのない方は、今のままでいいと思います。
今日は少し傷の手当の仕方について述べたいと思います。
傷の手当の仕方については一冊の本ができるほどの内容なのですが、役に立つことをごく簡単にまとめますと
1.傷を清潔に保つ。
2.湿潤環境を保つ。
3.基本的には消毒はしない。
ということになろうかと思います。
以下に少し解説を述べさせていただきます。
1.傷は石鹸で洗い、清潔に保ったほうが治りがいいのです。(ただし洗いすぎは、傷を治す栄養分まで流してしまうのでよくないとされています。)少し膿んでいるような傷は1日2回程度、普通の傷は1日1回程度、浅く非常にきれいな傷は2、3日に1回洗浄する程度が目安と考えております。迷った場合は多めに洗ってもらってもいいと思います。
2.傷は乾かして治したほうがいいと思われている方もいらっしゃいますが、湿潤環境のほうが早く治ることがわかっています。こまめに軟膏をつける、浅く非常にきれいな場合は閉鎖療法を行うなどの方法があります。
3.消毒は普通の傷には必要ありません。消毒薬には細胞毒があり、傷を治そうとしている組織をいじめ、傷の治りを悪くしてしまうことがあるからです。明らかに感染を起こしているときは、消毒することがありますが、すぐに消毒薬を洗い流すようにしています。
いぼは、尋常性疣贅、脂漏性角化症に分類されますが、本日は尋常性疣贅(=HPVというウイルスの感染症)について述べたいと思います。
比較的、お子さんに多い病気で、足の裏や、手掌によくできます。
「足の裏にたこができた」と言って来院される方が多いです。しかし、表面がカリフラワーのようにざらざらになり、点状出血を伴っていれば、尋常性疣贅との診断に至ります。
治療に関しては、液体窒素で焼くことが最も一般的です。簡便で設備が必要ないため、おそらくどこのクリニック、病院でも治療の第一選択は液体窒素での冷凍凝固だと思います。
ただ、だからと言って、それが絶対的に優れた治療かといいますと、私はそうではないと考えています。
その理由は
1.液体窒素で焼くことで、周囲の組織を傷つけ、いぼウイルスの感染を広げてしまう可能性があること。(これは多くの研究者が指摘していることです。)
2.何度も液体窒素で焼くことで、角質が反応性に肥厚し、徐々に効きにくくなる場合があること。
3.患者さまに強い苦痛を与えること。
があげられます。
三鷹はなふさ皮膚科でも、液体窒素による冷凍凝固術を標準治療の一つとしていますが、その限界やディメリットを考え、治療がうまくいかない方には早めに他の治療に切り替えていく方針としています。
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