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接触皮膚炎(かぶれ)について

 日本皮膚科学会誌が送られてきましたが、年末の臨時増刊号で今年の総会のまとめとなっているので、患者様にとって有益と思われるところを掻い摘んで紹介していきたいと思います。
 接触皮膚炎(かぶれ)は皮膚科医が診療する頻度の高い疾患で、原因がはっきりとわかる場合(ぎんなんを拾ってから手がかゆくなった、ネックレスをするようになってから首に発疹ができた、ベルトのバックルがあたるところに重度の皮膚炎がある、毛染めをしてから逃避に湿疹ができた、など)は容易に原因物質を同定することができますが、そうでない場合も多々あります。
 原因がはっきりわからない場合は、「湿疹」と診断され、漫然とステロイド外用薬が使われていることがあり注意が必要です。
 高山かおる先生による「接触皮膚炎ガイドラインの内容と使い方」では、経過長期の場合は、短期的な場合と比べて原因を特定することが困難なことがある記載されております。
 シャンプー、リンスの洗髪剤、職業性のもの、ニッケルなどの金属、目の周囲の場合はビューラーに含まれるニッケル、化粧品、点眼薬、そのほか傷に対する消毒薬、抗生物質含有軟膏などが原因となることがあるとされています。シャンプー、リンスの接触皮膚炎は、頭皮よりも頸部、前頭部などの生え際、前胸部などの洗髪剤が濃く流れ落ちる部位に湿疹病変を呈します。
 以下、私の意見ですが、この中で、特に診断が難しいのは、シャンプー、リンスの洗髪剤による接触皮膚炎です。
 一般的に接触皮膚炎の確定診断は、パッチテストで行います。パッチテストというのは、原因として疑われる物質を、絆創膏のようなものに塗布し、上腕に48時間貼り付けておき、そこにアレルギー反応が出るかどうか調べる検査です。しかし皮膚炎が起こっているからといって簡単にその物質によるアレルギーと診断することはできません。例えば、シャンプーやリンスはそのままパッチテストをしても、多くの方で刺激反応が出て皮膚炎を引き起こしてしまうでしょう。シャンプーやリンスは洗い流して使うもので、48時間も皮膚に残っていることが想定されていないからです。それは刺激性接触皮膚炎で、アレルギー性接触皮膚炎とは厳密に区別しなければなりません(そのあたりのことを詳しく知りたい方は、以前のブログをご参照くださいhttps://mitakahifu.com/contact-dermatitis1/ )。シャンプーやリンスなどの場合は10倍、100倍に希釈してからパッチテストを行わなければなりません。さらに陽性と出た場合でも慎重に経過観察し、刺激性接触皮膚炎ではないか見極めなくてはなりません。
 化粧品によるかぶれについては(化粧品皮膚炎、関東裕美先生著)でまとめられております。
 そこでは化粧品皮膚炎というのは化粧品による刺激性、アレルギー性接触皮膚炎の両方をさしているようです。その論文の中では、ある化粧品によるアレルギー性接触皮膚炎と患者様が思い込んでいる場合でも、実際は化粧品では反応せず、洗浄剤による刺激反応のみがみられることが多い、と記載されています。
 まさにこれは当院でもよく経験することで、「顔に湿疹ができたから、化粧品のせいではないか?」とおっしゃる患者様にパッチテストを施行したところ、全く化粧品では反応しないということは頻繁にあります。その場合は、洗浄剤による刺激反応や、洗いすぎによる皮膚のバリア機能の低下を考えなければなりません。

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