ステロイド外用薬を小さな子どもに使うのは心配、という親御さんのご意見を時々いただくのでお答えしたいと思います。
通常、一時的や湿疹やかぶれ、虫さされの場合は、ステロイド外用薬の使用は1〜2週間でとどまりますので、強さを極端に間違えない限り、副作用は出ようが無く、小さなお子様に使っていただいても全く問題ないと思います。
実際のところ、ステロイド外用薬の副作用で問題になるのは、長期に使わなければ行けない場合、つまりアトピー性皮膚炎の場合、ということになります。
強力なステロイド外用薬を小さなお子様に長期(数ヶ月から数年)で使った場合、皮膚が薄くなったり、ニキビが出来たり、色素が薄くなったり、むだ毛が濃くなったり、皮膚カンジダ症にかかったり、といった副作用が出る可能性があります。
逆に全く使わなかった場合は、アトピー性皮膚炎がひどくなり、湿疹を搔き壊しているうちにとびひになったり、アトピーマーチが進行し、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などを併発しやすくなります。目の周りをかきむしっているうちに白内障になることもあります。さらに、痒くて眠れず発育障害、学習障害を招くことさえあります。
では、ステロイドを含まない抗炎症外用薬(NSAIDS外用薬)はどうかというと、長期で使った場合、かえってかぶれの原因となることがあり、アトピー性皮膚炎の患者様に使うことはあまりお勧めできません。
タクロリムス外用薬という、ステロイドを含まない外用薬もありますが、傷のあるところには使えませんので、搔き壊しの傷のある患者様には使えません。また2歳以上でないと使えないという制限もあります。
では、どうすれば良いかといいますと、やはりステロイド外用薬を使用しなければいけないと考えております。副作用を避けるためには、適切な強さのステロイド外用薬を短期間使い、湿疹をしっかり押さえ込むことが大事です。当院では、最初の2週間にしっかりとステロイド外用薬で湿疹、痒みをしっかり押さえ込み、その間に生活環境を整えていただいたり、しっかり保湿する習慣を付けていただくことで、アトピー性皮膚炎を再燃しにくいようにご指導させていただいております。その後は症状が再燃したときのみ少量のステロイド外用薬(2歳以上のお子様の場合、タクロリムス外用薬)を使用する、という方針にしております。それで今のところ目立った副作用も無く、良好な治療成績を得られていると考えています。
本日午後は予約の患者様の手術日とさせていただいていますが、たくさんの手術とレーザー治療をさせていただく機会に恵まれました。
5名の患者様の手術(計10カ所)と、6名の患者様のレーザー治療を担当させていただきました。当たり前のことですが、患者様に取っては一生の傷と思い、1針、1針、丁寧に縫わせていただきました。
手術で多いのは、粉瘤の切除、脂肪腫の切除、ホクロの切除、巻き爪手術などです。レーザー治療で多いのは、シミの治療、レーザーフェイシャル、ニキビの陥凹性瘢痕(クレーター)のレーザー治療です。とくにニキビの陥凹性瘢痕(クレーター)はあまり有効な治療法が無いと思われていますが、レーザー治療にてかなりいい結果が得られていると自負しておりますので、もしお困りの方がいらっしゃればご相談いただきたいと思います。
本日もたくさんの患者様にご来院いただきましたが、冬の皮膚トラブルが急増しているようです。
冬の皮膚トラブルは皮膚の乾燥が原因のことが多いので、是非しっかり保湿していただき、予防していただければと存じます。
さてストーブや湯たんぽなどを使う機会が増えるからだと思いますが、やけども冬に増えます。
やけどの治療で閉鎖療法に伴うトラブルが増えているようなので、少し述べておきたいと思います。閉鎖療法というのは、やけどに被覆剤(傷に貼るシートなど)をつけて、やけどが治るまでそのままにしておく治療のことです。閉鎖療法はある特定の条件では優れた治療効果を発揮しますが、そうでない場合は、やけどを悪化させてしまいます。その特定の条件とは、やけどの症状が安定しており(受傷後少なくとも4.5日は経っている方が良いと思います)、浸出液(つゆ)が少なく、感染がなく、壊死組織がほとんどない場合、ということになります。つまり、受傷してすぐのやけどには閉鎖療法は向かないということになります。
適切でない閉鎖療法は、感染や浸軟(ふやけ)を招き、やけどを悪化させたり、治りを悪くする可能性もありますので、少し注意していただければと思います。
ボーエン病は表皮内の皮膚癌ですが、湿疹や尋常性乾癬とよく似ているのが特徴です。
当院でも数ヶ月に一人はボーエン病の方を診断させていただいておりますが、やはり長い間、湿疹としてフォローされていた患者様が多いのが特徴です。
ボーエン病もあまりに長い時間放置された場合は、浸潤性の癌となりうるので注意が必要です。表皮内にとどまっている限りは、手術で病巣を確実に切除することで完治します。
なかなかボーエン病を患者様自身で診断するのは難しいと思いますが、以下のような特徴があれば、少しボーエン病を疑った方が良いかもしれません。
①湿疹に似た、赤くてガサガサした丸っこい病変がずっと前からあるが、特に増えもしないし消えもしない。
②湿疹といわれたのに痒くない。
③ステロイド外用薬を長くつけているが、いっこうに良くならない。
もし上記の3つとも満たす方がおられれば、一度皮膚科に受診されると良いと思います。
冬に多い病気、というよりは冬(寒さ)に特徴的な病気、といえばいいのでしょうか?あまりにも有名な病気のため問い合わせが非常に多いのですが、それほど頻度は高くない病気です。
寒い日に外に出て風に吹き付けられた際、露出部に蕁麻疹が出てかゆくなる。
冬の寒い日にジョギングをして汗をかいて、そのままにしていたら蕁麻疹が出た。
冷たい水で手を洗ったり食器を洗ったりすると、手に蕁麻疹が出てかゆくなる。
アイスクリームなどの冷たいものを食べたら、唇が脹れてかゆくなる。
といった症状が典型的です。
症状に気がつかないうちに冷たいプールで泳いでショック症状を起こすこともありますので注意が必要です。
なるべく寒冷刺激を避けることが重要となります。通常の蕁麻疹同様、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服も効果があります。
中高年の方の寒冷蕁麻疹には、クリオグロブリン血症や骨髄腫、リンパ腫、白血病などが隠れている場合がありますので、精密検査をお勧めする場合があります。
とはいえ、それほど頻度の高い病気ではなく、検査をしてみると普通の蕁麻疹であったり手湿疹であったりすることがほとんどなのです。しかし本当に寒冷蕁麻疹であった場合、症状に気がつかないと、急激な寒冷刺激を全身に受けた場合、重篤な症状を引き起こすことがありますので、注意が必要な病気といえると思います。
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