ヒアルロン酸注入の安全性に対するお問い合わせが増えておりますので、少しコメントしておきます。
ヒアルロン酸はもともとヒトの体に広く分布する物質で、アレルギー反応が起こる確率は極めて低いことがわかっております。
いただいたご質問にお答えする形で、ブログを書いていきたいと思います。
Q.ヒアルロン酸の効果が、突然切れて、しわが急速に目立つようになっるのでんはないか?
A.ヒアルロン酸は徐々に吸収されていきますので、急に効果が切れるということはありません。
Q.ヒアルロン酸の効果が切れた後、もとよりしわが深くなるのではないか?
A.そのようなことはありません。ヒアルロン酸は繊維芽細胞に作用し、その働きを活性させ、皮膚のコラーゲンの量を増やす働きがあることがわかってきております。そのため、ヒアルロン酸を注入した場合、そうでなかった場合よりご自身のコラーゲンの量はむしろ増えていることの方が多いのです。
論より証拠というわけではないですが、少し私も自分自身に注入してみました。
鼻の横の窪みに注入していますが、お分かりになりますでしょうか?(自己注入は非常に危険なので絶対に真似しないようにお願い申し上げます)。
当院では、患者様の利便性を考え、なるべく当院で対応できることは当院で対応する方針としておりますが、時にすぐに大病院に転院していただく必要がある場合もあります。
当院で実際に診察し、転院していただいた疾患について簡単に述べておきます。
スティーブンスジョンソン症候群・・・薬疹などで、皮膚の紅斑だけでなく、発熱を伴い目や口腔内の粘膜もただれてくる疾患です。死亡率が10%程度で、視力障害(時に失明)を招くことがあるため、すぐに大病院に転院していただきます。
糖尿病性壊疽・・・糖尿病に伴う血管障害、易感染性、創傷治癒遅延のため、足の指などが壊死してくる疾患です。感染のコントロールとともに、早期の血流再建が必要となることがあります。下肢の切断が必要となることもあります。感染が伴っている場合は、入院が必要となるため、すぐに大病院に転送させていただきます。
尋常性天疱瘡・・・突然、皮膚に水疱ができ、粘膜にもびらんができる疾患です。上記2疾患と比べると、緊急性はやや乏しいですが、早期に大量のステロイドの全身投与が必要で、その治療には入院管理が必要となるため、大病院に転送していただきます。
そのほか、SLE、皮膚筋膜炎、アナフィラキシーショック、悪性黒色腫などの患者様は、大病院での治療が絶対的に必要なため、転院をお願いしております。なにとぞご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
2012年1月の診療実績です。
2012年1月より木曜日午後のみ予約優先日とさせていただき、手術、レーザー治療などを集中的に行ってきましたが、やはり手術の件数が増えてきているようです。
2012年1月の手術、およびレーザー治療、ヒアルロン酸注入の診療実績です。
手術:粉瘤切除術8件、ホクロ切除術16件、脂肪腫切除術2例、そのほか皮膚腫瘍術14例、皮膚切開術7例、デブリドマン3例、フェノール法2例、縫合を伴うベンチ切除1例、アレックスレーザー治療21例、ヒアルロン酸注入8例です。フェノール法がずいぶん少なかったような印象があります。
また2月のカルテ整理が終われば報告させていただきたいと思います。
かなり気が早い話で恐縮なのですが、紫外線による皮膚障害について少し述べていたと思います。
紫外線が急速に増えてくるのが3月下旬からで、7月、8月にピークとなるのですが、紫外線による皮膚障害は春にも意外に多い印象を持っております。紫外線の増量に皮膚が対応できていないためだ、とよく言われていますが、あまり皮膚が紫外線に慣れていない状況で、少し強い紫外線を浴びるとサンバーン(紫外線により皮膚が赤くなり、むくむ現象)が生じてしまうのは経験的にも納得のいく現象であります。
では、比較的弱い紫外線でサンバーンが生じた場合と、強い紫外線で同程度のサンバーンが生じた場合のどちらが皮膚にダメージが大きいのかという疑問が生じます。そもそも、なぜ紫外線の何が皮膚に良くないかというと、紫外線が直接的、間接的にDNAを傷つけ、時にその修復が不十分となるからです。感覚的には当然強い紫外線を浴びた場合のほうがDNAの損傷が大きくなると考えたくなりますが、実は同程度にダメージが大きいようです。
その根拠として
①DNA損傷部位を修復する機能が遺伝的に低下しているXPの患者様は少量の紫外線で強いサンバーンが生じる。
②同じ紫外線を浴びて色白で赤くなりやすい方は、そうでない方と比べて多くのDNAの損傷が生じる。
③DNAの損傷を効率よく処理するとサンバーンが生じにくい。
ということが分かっているからです。つまりサンバーンの程度が、DNAの損傷の程度と相関するようなのです。
春先の紫外線は、量は少なくとも、皮膚が慣れていないためサンバーンを起こすことがあります。ぜひ気を付けていただきたいと思います。
歯科疾患と皮膚疾患に密接な関係があることがあります。
難治性皮膚疾患が、実は歯科疾患が原因であったということはしばしば経験することです。
例えば、掌蹠膿疱症は、歯髄まで及ぶような深い虫歯(歯性病巣感染)や、歯科金属アレルギーが原因のことがあり、虫歯や歯科金属の除去ですっかり治ってしまうことも良く経験します。
歯性病巣感染が発症の原因、増悪因子となりうる皮膚疾患に、掌蹠膿疱症、多形滲出性紅斑、結節性紅斑、慢性痒疹、ベーチェット病、環状紅斑、アナフィラクトイド紫斑などがあります。
歯科金属アレルギーが発症の原因、増悪因子となりうる皮膚疾患に、掌蹠膿疱症、扁平苔癬、異汗性湿疹、貨幣状湿疹などがあげられます。
私も、上記疾患を拝診した場合は、口腔内を必ずチェックするようにしております。深い虫歯があれば当然、治療をお勧めしますが、少し慎重にならなければ、歯科金属アレルギーのほうです。例えば、貨幣状湿疹の患者様も、頻度的には皮脂欠乏性湿疹を書き壊して発症していることが多く、歯に金属が入っているからといって、すなわち金属アレルギーによる貨幣状湿疹と診断することは到底できないからです。
やはり歯に入っている金属の種類を調べたうえで、皮膚科できちんと金属パッチテストを行い(当院でももちろん金属パッチテストは試行しております)、その結果に基づき、さらに歯科で金属がどれだけ溶け出しているかを確認してから、金属の除去を行うべきです。安易な金属除去は金銭的負担になるだけということもあります。
ただし、歯科金属アレルギー、歯性病巣感染が、難治性皮膚疾患の原因となっていることがあるのは事実であり、また見落とされがちなので、必ずそのことを頭の片隅のおいて診察させていただきたいと思います。
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