前回、https://mitakahifu.com/プロトピック軟膏の勉強会に行ってきました!/のブログでプロトピック軟膏の特徴について書かせていただきました。
その他、プロトピック軟膏は、皮膚のバリア機能の回復を助ける事、黄色ブドウ球菌による刺激による免疫の過剰反応を抑えてくれる可能性がある事、神経がのびて皮膚の表面が過敏になる減少を抑えてくれる事、肥満細胞からのヒスタミン(かゆみの主な原因物質)の放出を押さえる事等、ステロイドと比べてもいろいろないい点があります。
またアトピー性皮膚炎の為にできてしまったお首の色素沈着で悩んでいる方が多いのではないかと思いますが、プロトピック軟膏を長期間使用する事で改善が見込まれるようです.
是非、お困りの方は試していただきたいと思います.
今回でプロトピック軟膏のシリーズは終了したいと思います.
プロトピック軟膏についての続きです.
プロトピック軟膏は前回のブログでお書きした通り、アトピー性皮膚炎に対する非常に優れた薬剤なのですが、問題点としては使用を始めた当初のぴりぴりとした刺激感、灼熱感があげられます.
これらの刺激感、灼熱感は一時的なもので数日〜一週間ほどで治まるのが普通です.
どうしてプロトピック軟膏は当初、そのような反応が起こるのか?についてですが、プロトピック軟膏をつけると神経末端よりサブスタンスPというかゆみ物質が放出されるのが主な原因のようです.
プロトピック軟膏をつけていると、それらのサブスタンスPが使い果たされ、枯渇し、その後かゆみが治まってくるようなのです。
つまり、最初の刺激感、灼熱感は、薬が効いている証拠、といっても良いみたいですね。その後、良くなるための我慢の時期とも言えます.
それらの不快な症状を抑えるためにはプロトピック軟膏をつける1時間ほど前にアスピリン(薬局で売っている)を内服すると良いようです.抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤も効果があるようです.
本日はプロトピック軟膏の勉強会に行ってきました!
プロトピック軟膏(タクロリムス軟膏)はステロイドを含まないアトピー性皮膚炎の治療薬です。
タクロリムスという免疫抑制剤を含む軟膏です.
これはアトピー性皮膚炎に対してこれまで漫然とステロイド外用薬を使われる事が多く、その副作用が問題になっていました。
ステロイド外用薬は長期で使うと
・ 皮膚萎縮(皮膚が薄くなる事)
・ 経皮水分蒸散量の増加(皮膚から水分が逃げ、乾燥しやすくなる事)
・ 酒さ用皮膚炎(主に顔に赤み、血管拡張、ニキビのようなぶつぶつが沢山できる副作用)
と行った副作用が現れ、時にアトピー性皮膚炎を再発させやすくする原因になっていました。
それらの副作用が無いのがプロトピックです。
そのため比較的長期間使う事が可能であり、ある程度アトピー性皮膚炎が落ち着いた状況で維持するには便利な薬剤です.
アトピー性皮膚炎が良くなった後も週2回ほど使う事で、良い時期を長く維持できることが分かっています.
特にヨーロッパの方ではそのような使い方が既に一般的なようです。
次回はプロトピック軟膏の刺激感などについて述べたいと思います.
最近、急に寒くなってきましたが、大気の乾燥に伴う湿疹(いわゆる皮脂欠乏性湿疹)の方が急増しています。
下のような症状の方が増えています。
左のような症状から始まり、右のような症状に進行していきます。
予防としましては部屋の加湿とともに保湿剤の塗布が重要な事は言うまでもないのですが、保湿剤の付け方にコツがあります。
保湿剤はかなりたっぷり、肌にのせるように優しく塗布しなければ行けません。
少し量を擦り込むように使ってしまう方が多いのですが、それでは肌に刺激を与えてしまうだけでかえって症状を悪化させてしまいます。
余談ですが、どうして保湿剤を肌に擦り込む方が多いのか疑問に思っていたのですが、以前、依頼された原稿を書いている際に20〜30年ほど前の古い論文を調べていると、「保湿剤は肌に擦り込む」という事が書かれていました。つまり以前は我々皮膚科医も、保湿剤を擦り込むというように指導していたのですね。
「傷を消毒する」と「保湿剤を肌に擦り込む」というのはかえって症状を悪化させてしまう悪しき習慣なのですが、以前は我々皮膚科医が指導していた事でもあります。適切なスキンケアが浸透していくように努力していきたいと思います。
手に水疱ができ、すごく痒くなってしまったという事で受診される方が増えています。
手に水疱ができる病気は沢山あるのですが、この時期、比較的多いのが汗疱(=異汗性湿疹)と呼ばれる疾患です。汗疱というのは、指の側面や手のひらに小水疱ができ、猛烈に痒くなり、徐々に黄色っぽくなり吸収されていくのですが、また新たに水疱ができ、再発を繰り返し慢性化する事が多い疾患です。足の裏に症状が出る事もあります。
原因は汗の管に問題があるのではないか?と考えていた時期があり、それで汗疱と命名されたようですが、現在ではその考え方は否定されています。何か食べたものや金属に対するアレルギー反応が原因の一つとして考えられており、体の中に入ったアレルギー物質が汗に解けて出てくる事で手の指や手のひら、足の裏といった汗の管が多いところにかぶれを引き起こしてるのではないか、と考えられております。
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