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花粉症皮膚炎について

 花粉症皮膚炎という病気があります。なんとなく聞いたことがあるような名前ですが、その疾患概念が確立したのは比較的最近のことです。
 通常、花粉症といいますと、目や鼻などの粘膜に花粉が付着し、IgEを介して肥満細胞からヒスタミンが分泌されるいわゆる即時型アレルギーのことを言います。
 一方、花粉症皮膚炎とは、まさに花粉が皮膚につくことによってかゆみや湿疹が起こり、特にアトピー性皮膚炎の方は症状が増悪します。IgEが関与するいわゆる接触性蕁麻疹の場合(即時型アレルギー)と、感作されたT細胞が関与するアレルギー性接触皮膚炎の場合(遅延型アレルギー)の場合があります。
 花粉の季節に皮膚のかゆみが出る方、アトピー性皮膚炎が増悪する方は、花粉症皮膚炎の可能性があります。なるべく皮膚を露出しない、家に帰ればすぐにシャワーを浴びるといった対策が有効です。
 少し飛んでいる花粉についてまとめておきます(関東の場合)
スギ:1月下旬~5月上旬
ハンノキ:1月中旬~6月上旬
ケヤキ:3月中旬~6月上旬
ヒノキ:3月下旬~5月中旬
コナラ:3月下旬~6月中旬
クリ:3月下旬~6月中旬
ミズナラ:3月下旬~6月中旬
イチョウ:4月
ポプラ:4月
ヤナギ:4月
マツ:4月上旬~6月下旬
シラカンバ:4月中旬~5月下旬
ギシギシ;4月中旬~6月中旬
クマシデ:4月下旬~6月中旬
カモガヤ:5月上旬~6月下旬
イラクサ:8月上旬~10月上旬
ブタクサ:8月下旬~9月下旬
オオヨモギ:8月下旬~10月中旬
ヨモギ:9月上旬~10月下旬
カナムグラ:9月~10月中旬
そろそろ花粉が気になる季節になりました。
花粉症の方は、早めに治療をしたほうが軽症で済みますので、気になる方はご相談いただければと存じます。

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手湿疹はもう少し詳しく分類したほうがいいかもしれない。

 手湿疹はこの季節、最も多く診察する機会の多い疾患の一つですが、本邦の医学書ではあまり詳しく書かれていない傾向にあり、「ステロイドを塗布しましょう、保湿剤を頻回に使いましょう、手を洗いすぎないようにしましょう」といったことしか書かれていないことが多いようですが、もう少し詳しくみたほうがいいのではないか、と感じることがあるので少しコメントしておきたいと思います。
 米国の医学書を見ると手湿疹は
Irritant contact dermatitis(刺激性接触皮膚炎による手湿疹、いわゆる主婦湿疹もここに含まれます)
Atopic hand dermatitis(大人のアトピー性皮膚炎の一症状としての手湿疹)
Allergic contact dermatitis(アレルギー性接触皮膚炎)
Recurrent focal palmar peeling( 剥脱性皮膚炎)
Lichen simplex chronicus(慢性的に掻くことにより発症している)
Hyperkeratotic eczme(角化の強いタイプ)
Fingertip eczema(湿疹病変が指先に限局しているタイプ。アレルギーが強く疑われる)
Pompholyx(汗疱。日本では手湿疹とは別の疾患概念として扱われることが多い)
Id reaction(日本でいう感作性皮膚炎や白癬疹に伴う症状)
 に分類されています。
 それぞれ臨床症状、管理方法、臨床経過、鑑別疾患が微妙に異なりますので、簡単に「手湿疹」で済ませずに、詳しくみるように心がけたいと思います。

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乾燥肌とそれに伴う痒みの予防

せっかくテレビに取り上げられたので、少しブログにコメントしたらどうか、というご意見をいただきましたので、せっかくなので予防のポイントを簡単にまとめておきたいと思います。
水仕事をするときは、手袋をしてください。(ゴムによってかぶれる方は、ゴムの手袋を避けるようにしてください)
肌に直接触れるものは、柔らかいコットンのものを選ぶようにしてください。
衣類の洗剤のすすぎ残しに注意してください。
お風呂の温度は43度以下にしてください。
硫黄を含む入浴剤は避けたほうがいいかもしれません。
お風呂では肌をタオルでごしごしこすらないようにしてください。(石鹸を泡立てて、やさしく手で洗うだけで十分です)。
ボディソープのすすぎ残しにご注意ください。

ご高齢の方であれば、石鹸で皮膚を洗うのは二日に一回くらいでもいいかもしれません。
入浴後は、すぐに保湿剤を付けるようにしてください。
保湿剤は擦り込む必要はありません。やさしく肌の上に載せるだけで十分です。
部屋は乾燥しすぎないようにしてください。(湿度は最低でも40%以上、乾燥肌の方は60%~65%程度を目標としてください)。
皮膚がかゆくなった場合はなるべく掻かずに、保湿剤を付けてしばらく待ちましょう。少し冷やすのも手だと思います。
湿疹に至った場合はすぐに皮膚科に行くようにしましょう。
適度に運動し、皮脂腺を鍛えましょう。半身浴なども有効です。
過度のストレス、過労は避けるようにしてください。

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乾燥肌を放置してはいけない理由

 秋が深まり、乾燥肌の方が増えてきています。
 乾燥肌は放置している方も多いと思われますが、放置しないほうがいい理由を簡単に述べたいと思います。
 乾燥肌が続くと、皮膚バリア機構が破たんし、外からの多様な物理的、化学的、アレルギー的刺激を受けやすくなります。
物理的な刺激に関して、皮膚バリア機構が破たんすると、少しの摩擦で表皮細胞傷害が起こります。そうなれば表皮細胞から様々なサイトカインが放出され、皮膚に炎症が起こったり、痒みが起こったりします。表皮細胞傷害が続けば、神経が表皮にまで入り込むようになります。そうなれば物理的な刺激が直接神経を刺激し、かゆみを引き起こすことになります。
 化学的な刺激に関しては、皮膚バリア機能が破たんすれば、それほど強くない酸、アルカリ、アンモニア、界面活性剤により、直接的に神経が刺激され痒みが起こったり、マスト細胞に作用し、ヒスタミンなどを介して痒みを引き起こします。日常生活における、お酢、ボディーソープなどでも痒みを感じてしまうことになります。
 アレルギー的刺激に関しては花粉や、ダニの死骸、ハウスダストなどが皮膚に侵入することにより、徐々に体の中で抗体が作られ、再度そのような物質が体内に侵入したときに、アレルギー反応が起こり、湿疹に至ってしまいます。またIgEと呼ばれる抗体を介してマスト細胞に作用し、ヒスタミン、トルプターゼの放出を促し、痒みの原因になります。
 以上のように乾燥肌を放置すると様々な刺激に対して、敏感になってしまいますので、早めの対処を行ったほうがいいと思われます。

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抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬が効かない痒み

 痒みについてご質問を受けたのでお答えしたと思います。
 痒みにおけるもっとも重要な物質は、ヒスタミンで、ヒスタミンが神経(C線維)のH1レセプターに結合し、神経を刺激することで痒みを認識します。このことは知っている方が多いようですが、それがすべてではありません。もし病院に行って抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬をもらっても良くならないという方がいらしたら、そのほかのメカニズムによる痒みを考えてもいいかもしれません。
 例えば、C線維の末端は本来、表皮・真皮境界部にあるのですが、それがより表面に近い表皮にまで伸びてきている方がおられます。そうなれば少しの機械的刺激(摩擦、擦過など)でC線維が興奮し、痒みを自覚やすくなります。
 ではなぜC線維が表皮にまで伸びてくるかといいますと、各種刺激により表皮細胞が刺激されると、表皮細胞から神経成長因子が分泌されます。その神経成長因子がC線維の表皮への延長を促し、結果的にはC線維が表皮にまで伸びてくることになります。
 そういう状態になれば、神経の直接的な刺激により痒みが発症しているわけですから、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬を飲んでも痒みは良くならないことが多いです。むしろ皮膚を刺激から避けるために、保湿剤を塗布し、静電気や、乾燥、擦過を避けることが痒みの改善につながります。
 それ以外にもTh2が関与する痒み、中枢性の痒みなどさまざまな痒みのメカニズムがあります。
 いずれご紹介したいと思います。
 

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