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基材による刺激性の違いに付いて

化粧品や医薬品の外用薬には様々な種類がありますが、ベースになっている基材に注目して分類すると油分をどれだけ含むかで
軟膏、コールドクリーム(w/o)、バニシングクリーム(o/w)、乳液、ソリューション(水溶液)などに分類されます。これらのいずれにも分類されない高分子ポリマーによるゲル基材のものなどもあります。

油分を多く含むほどベタベタして装用感が悪くなり、洗い落としにくく、時に伸びが悪いように感じることもあるかもしれません。しかし、油分が多いほど皮膚に対する刺激は少なく、皮膚が荒れているときにも安全に使用することが出来ます。
逆に、水分が多いほど、装用感は良くなり、容易に洗い流せるようになりますが、皮膚に対する刺激が強くなり、皮膚が荒れているときには注意が必要ということになります。

化粧水などは非常に安全な印象がありますが、ソリューション(水溶液)であることが多く、皮膚が荒れているときには注意が必要ということになります。

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外用薬基剤による皮膚刺激性の違い

普段のスキンケアで使う基礎化粧品や、皮膚科でお出しする外用薬は、
①軟膏(ワセリンなど)
②コールドクリーム基剤
③バニシングクリーム基剤
④乳液タイプのローション基剤
⑤透明な液状を呈するソリューション基剤
などに分かれますが、それぞれ皮膚に対する刺激性が異なります。
一般的に刺激の少ない順に①、②、③、④、⑤となっております。
化粧水や美容液などは⑤に分類されることが多いと思われますが、それなりに刺激が強いということは知っておいたほうがいいように感じます。
皮膚にトラブルがない場合は、それらのものを使っても全く問題ないのですが、皮膚があれている場合、湿疹がある場合は、それらのものを塗るとヒリヒリと痛みを感じてしまうかもしれません。
特に化粧水は非常に安全性の高いもの、という印象が強いようで皮膚にトラブルを抱えている場合もとりあえず化粧水を付ける、という方が多いのですが、実はそれほど得策ではなく、むしろワセリンなどの軟膏の方が安全に使える場合が多いのです。

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プラセボ効果について

 基礎化粧品の分析の仕方を教えてほしいというご希望が非常に多いので、それについて徐々に述べていくつもりですが、今回はプラセボ効果(偽薬効果)について少し述べたいと思います。
 これまでにプラセボ効果という言葉を聞いたことがおありでしょうか?
 プラセボ効果というのは、ある薬を、非常に効果のある薬を思い込んで使用していると、たとえその薬が偽薬(有効成分の入っていない薬)であったとしてもある程度効果を示す現象のことです。暗示効果の一つと言い換えられると思います。
 この効果は非常に強力で、かゆみ止めの付け薬はもちろんのこと、血圧を下げる薬、コレステロールを下げる薬でも起こります。
 例えば素晴らしい血圧を下げる薬と思い込んで飲んでいると、たとえ有効成分が入っていない薬でもある程度、血圧が下がってくるという現象がおこります。
 そのため、薬の効き目を調べる試験では必ずダブルブラインド(二重盲検)試験といわれる試験が行われます。例えばAという降圧薬の効果を調べるとします。100人の患者さまを集め、50人にA、50人に偽薬(形はそっくりですが、有効成分の入っていない薬)が渡されて、本当にAが効果のある薬なのかが調べられます。
 その際は医者も、自分の処方している薬がAなのか偽薬なの分からないようになっています。なぜそうするのかというと、医者が自分の処方している薬がAだと分かれば、医者は自身満々に、「この薬は新薬で素晴らしい効果がある。」と思い処方するでしょう。患者さまにもその自信が伝わります。逆に、医者が偽薬を処方していると分かっていれば、「効かない薬を処方して申し訳ない」、という気持ちになり、患者さまにもその気持ちが伝わってしまいます。
 このような状況になれば、すでに勝負ありで、Aは圧倒的に優位に立つことになるのです。
 それを避けるためにダブルブラインド(つまり、医者も患者さまもAか偽薬のどちらを飲んでいるか分からない)試験が行われるわけです。その試験には膨大な費用と手間がかかりますがそうしなければいかないほど、プラセボ効果は強力なのです。
 これは基礎化粧品にも当てはまります。例えば、高価で、容器、香りも高級感があり、しかも自分の信頼しているブランドのものであれば、実は安価なものとあまり成分が変わらなくても、優れた効果を発揮するでしょう。自分の肌はきれいになると信じて、またそのイメージを持ちながらスキンケアすることで、プラセボ効果を引き出すことが出来るのです。しかし、逆に考えると、ある基礎化粧品を10人の方に試し、優れた効果があったからと言って、その化粧品が優れているとは必ずしも言えません。プラセボ効果を引き出しただけかもしれないからです。

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化粧品の分析 その前に

 化粧品の分析をする前に少し述べておきたいところがあります。
以下の質問のうち何個が正解だとおもいますか?
1.石油から作られた油分(鉱物性)は肌に負担をかける。
2.植物から作られている成分は安心である。
3.合成界面活性剤は皮膚に悪い。
4.防腐剤は入っていないものの方が安全だ。
私の見解ではいずれも正しいとは言えません。
1.  石油から精製される精度の高い白色ワセリンなどは皮膚の保護材、保湿剤として昔から安全に使われてきました。
2.  植物でかぶれてしまう人はたくさんいます。(漆、マンゴー、サクラ草、キク、ユリ等)
3.  合成界面活性剤もなるべく皮膚に刺激が少なく、皮膚に残らないものが開発されつつあります。
4.  防腐剤の入っていないものはむしろ、衛生面の問題があります。防腐剤の中にはかぶれの原因になりやすいものがあるのは事実ですが、理想的にはかぶれない防腐剤が使われていることと考えます。
 もちろん、正解は人それぞれの肌質によって異なってくると思います。敏感肌の方は、防腐剤には十分に、注意を払った方が良いでしょう。(特定の防腐剤にかぶれることが分かっていれば、それを避ける必要があります。)
 ただ、なんとなくのイメージのまま鉱物油はダメ、合成界面活性剤はダメ、防腐剤はダメ、自然から作られているものは安全、と考えるのはかなり大雑把な考え方で、もう少し詳しく見ていく必要がありますので、あえてこのように述べさせていただきました。

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保湿についての基礎知識

 当院に来れられる女性の患者さまから、化粧水や乳液、クリームのことを聞かれることが多いので、その分析の方法を何回かに分けて述べたいと思います。
 まず、分析方法に入る前に、保湿についての基礎知識を簡単にまとめておきます。

 角質には過度な水分の蒸発を防ぐために、何重もの防御がなされています。

 それは現在分かっているところ

  1. 皮脂膜
  2. 天然保湿因子
  3. セラミド

 の3つが挙げられます。

  1. 皮脂は、皮脂腺で作られ毛穴から分泌されます。その皮脂が汗と混ざって皮脂膜を形成します。70%ほどは油分でできていて、肌を乾燥から防ぎ、また肌を刺激から守る作用があります。小児は皮脂腺が未発達なため、ご高齢の方は皮脂腺の働きが低下するため、皮脂膜が十分に形成されず、乾燥しやすくなります。
  2. 天然保湿因子は、角質細胞内に含まれるアミノ酸、ミネラル、乳酸、尿素などが含まれます。いずれも、水分との親和性が良く、水分を保持する役割があります。皮脂膜が洗い過ぎなどで破たんすると、天然保湿因子が流れ出し、角質がカサカサになってしまう可能性があります。
  3. セラミドは角質細胞同士をつなぐ橋のような役割をする物質で、細胞間の水分を保持したり、刺激から守るバリアの役割をしたりします。セラミドは皮膚のバリア機能、水分維持にきわめて重要な役割を果たしています。アトピー性皮膚炎の患者さまの湿疹部では角質のセラミドの含有量が低下していると報告があります。

 

 ボディーオイルや、保湿クリーム、乳液は主に1の補充を目的とし、化粧水は2の補充を目的とすることが多いようです。
 3のセラミド入りの基礎化粧品も多くみられるようになってきました。

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