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尋常性魚鱗癬

 尋常性魚鱗癬(じんじょうせいぎょりんせん)という皮膚がカサカサする疾患があります。有病率は250人に1人とそれほど珍しい疾患ではないのですが、ご存知の方が非常に少ない疾患のようですのでご紹介しておきます。
 尋常性魚鱗癬は常染色体優性遺伝形式をとり、ご両親のうち、どちらかがこの疾患をお持ちなら、男女問わず50%の確率でお子様に遺伝します。
 1~4歳ころから四肢や背側の皮膚がカサカサしだし、少し厚くなった鱗屑(ふけ)が魚のうろこのように見えなくもないため、魚鱗癬という病名がついています。ただの乾燥肌とどう違うのか?と思われる方もおられると思いますが、確かに区別が難しく、見落とされていることが多いと思われます。例えば1日100人の患者様が来られる皮膚科クリニックでは単純計算でも3日にお1人は尋常性魚鱗癬の患者様が来られるはずであります。さらに皮膚科に来られる集団は、そうでない方の集団よりも尋常性魚鱗癬の患者様が多く含まれているはずであり、2日に1人、もしくは1日に1人、尋常性魚鱗癬の方を診察してもおかしくないはずです。
 しかし現実的には尋常性魚鱗癬と診断される方がかなり少ないのは、やはり診断の難しさにあるのではないかと考えております。
 診断のポイントは遺伝形式と、膝窩や肘窩などの関節屈側部には病変がみられない点です。そういうと非常に診断が簡単そうに見えますが、現実にはそれほど簡単ではなく、尋常性魚鱗癬の患者様が乾燥性の湿疹やアトピー性皮膚炎を合併した場合は、関節屈側部にも病変がみられるようになり、そうなれば通常の小児乾燥性湿疹や、アトピー性皮膚炎との鑑別は困難を極めるようになります。
 尋常性魚鱗癬の患者様のうち約半数の方はアトピー性皮膚を合併すると報告されていますが、逆にアトピー性皮膚炎の患者様のうち尋常性魚鱗癬の合併率は3~30%と報告されているようです。3~30%というのは非常に幅のある数字であり、すこし言葉が悪いのですが、まともな数値とは言い難いように感じます。
 このことが間接的にどれほど尋常性魚鱗癬の診断が難しいかを物語っています。つまりアトピー性皮膚炎の患者様を拝診した場合、皮膚がカサカサしていることが多いのですが、それが魚鱗癬によるものなのか、皮脂腺が未熟なためなのか、軽度の湿疹に伴って二次的に乾燥が目立つのか、区別することは容易ではないということを示しています。
 しかし鑑別のポイントはいくつかあり、例えば、軽度の湿疹に伴って二次的に乾燥が目立つ方の場合は、湿疹を治せば、乾燥もなくなるという点などがあげられます。

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コメント

はじめまして。
当方、恐らく先天性魚鱗癬のようなのですが、魚鱗癬によって肌が頻繁に化膿することはあるのでしょうか?
特に傷などがなくても唐突に化膿します。

近隣ではあまり魚鱗癬のような病気を詳しく御存知の先生に出会えていないため、近いうちに診察をお願いするかもしれませんが、その時はどうぞよろしくお願い致します。


大澤 | 2012年03月06日 11:51

大澤様
コメント誠にありがとうございます。
魚鱗癬の患者様のうち、比較的重度の魚鱗癬の患者様では、皮膚のバリア機能の低下に伴い、再発性の皮膚感染症に悩まされることがあります。しかし、圧倒的に頻度が高く、軽症である尋常性魚鱗癬、伴性遺伝性魚鱗癬の患者様では特に化膿しやすいという記述は、米国、日本の皮膚科学書の中では見つけることはできませんでした。魚鱗癬の患者様は皮膚に痒みが出ることが多いですので、擦過することにより、毛穴が傷み、毛包炎に至ってしまっているのかもしれません。

いつでもご来院をお待ちしております。
なにとぞよろしくお願いいたします。


花房火月 | 2012年03月10日 17:45

初めてまして、こちらの記事を読み驚きと共に安堵しています。
手の綺麗な女性がイイという男性がいるようですが、男女とも手には注目が行くようで、ところが私の手は子供の頃からシワが多く、関節の当たりなどおばあちゃんのようです。どうしたって綺麗にはなれないと、手にはコンプレックスがあります。足も常にキメの荒いウロコ状態です。
記事の内容がまさに、自分の状態だったので驚くとともに、病名がわかり妙に安心しました。
ところで、これは完治することがあるのでしょうか?
遺伝性のものだとしたら、もうどうしようもないですか?
それとも、改善が見込めるとしたら、どの程度なのでしょう?


M | 2012年11月02日 15:41

Mさま
コメント誠にありがとうございます。
症状からすると確かに尋常性魚鱗癬なのかもしれませんね。
お父様かお母様も同様の所見はないでしょうか?

もしそうであった場合、尿素入りの保湿剤もしくはサリチル酸ワセリン入りの保湿剤をすすめいただくことが多いです。
それらの保湿剤をこまめに塗ることでかなり症状は改善しますよ。
尿素入りの保湿剤は市販でも売られていますので、一度試してみてはいかがでしょうか?

尿素入りの保湿剤に、ワセリンを重ね塗りしてもいいと思います。


花房 火月 | 2012年11月04日 16:27

はじめまして
師走のお忙しい中、コメントさせていただきたく思います。

主人の手のシワが表裏深く、冬になり乾燥しだすと部屋中が身体から落ちる粉だらけになります。
お腹や背中、すねなどの部分に魚鱗癬画像と同じようにみえるので尋常性魚鱗癬を疑っているのですが
魚鱗癬はどの様な症状で魚鱗癬の診断が医師から出るのでしょうか?
先月、今月と同じ病院で2度ほど国保の総合病院で診てもらいましたがアトピーとしか言われませんでした。
また、血液検査をおこなってるらしいのですが・・主人の返答にはいささか疑問が残っています。

というのも現在、私が妊娠5カ月に入り遺伝する尋常性魚鱗癬であるなら、個人クリニックではなく総合病院で産んだほうがよいのではないか?と思っているからです。
主人の両親にも聞いてみましたが、家系的に肌が弱いみたいですが、主人みたいに粉が出たりは妹にはないようです。
また義母や義妹の手はしシワが深いです。

恐れ入りますが、ハッキリ分かる診断方法などありましたらお知らせくださいませ。


CK2 | 2012年12月26日 17:50

CK2さま

コメント誠にありがとうございます。
返信遅くなり申し訳ございません。

さてご質問の件ですが、尋常性魚鱗癬の診断に関してですが、
まずは問診により、常染色体優性遺伝の形式を満たしていること、四肢の伸側に特徴的な発疹(うろこ状)が見られること、屈側関節部には症状が軽微であること、手のひらに特徴的なシワがあること(特に母指球に深いシワが見られます)などから総合的に判断します。
病理検査(皮膚を一部切り取って、染色を行い顕微鏡で検査をします)は、診断の助けになります。
確定診断は遺伝子検査ですが、私の知る限り、尋常性魚鱗癬の遺伝子検査を積極的に行っているのは、浜松医大皮膚科です。
尋常性魚鱗癬自体は、common disease(ありふれた疾患)なので、皮膚科学的には極端に心配する必要もないように感じますが、いかがでしょうか?


花房 火月 | 2013年01月02日 12:08

はじめまして。息子が尋常性魚鱗癬です。生まれた時からお腹の皮膚が割れて血がでていました。沐浴時も傷だらけで可哀想な感じでした。全身ひどくて色々な皮膚科に行きましたが、一生こうなんだからしょうがないよ というヒドイ言葉しかもらえず、落胆の毎日でした。
私の兄が同じ病気で、当時は羊水が少なかったから という診断だったそうです。現在息子は小6になり、毎日クリームを塗る癖をつけさせているので、そんなにかさついていることはありませんが、首、四肢上部については皮膚自体が本当に鱗のようで、これから思春期を迎えるにあたり、このままいかなければならないのか、なんとかすれば治るものなのか、ご教示いただきたくコメントさせていただきました。よろしくお願いいたします。


LUNA | 2017年05月11日 13:45
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