当院に来れられる女性の患者さまから、化粧水や乳液、クリームのことを聞かれることが多いので、その分析の方法を何回かに分けて述べたいと思います。
まず、分析方法に入る前に、保湿についての基礎知識を簡単にまとめておきます。
角質には過度な水分の蒸発を防ぐために、何重もの防御がなされています。
それは現在分かっているところ
- 皮脂膜
- 天然保湿因子
- セラミド
の3つが挙げられます。
- 皮脂は、皮脂腺で作られ毛穴から分泌されます。その皮脂が汗と混ざって皮脂膜を形成します。70%ほどは油分でできていて、肌を乾燥から防ぎ、また肌を刺激から守る作用があります。小児は皮脂腺が未発達なため、ご高齢の方は皮脂腺の働きが低下するため、皮脂膜が十分に形成されず、乾燥しやすくなります。
- 天然保湿因子は、角質細胞内に含まれるアミノ酸、ミネラル、乳酸、尿素などが含まれます。いずれも、水分との親和性が良く、水分を保持する役割があります。皮脂膜が洗い過ぎなどで破たんすると、天然保湿因子が流れ出し、角質がカサカサになってしまう可能性があります。
- セラミドは角質細胞同士をつなぐ橋のような役割をする物質で、細胞間の水分を保持したり、刺激から守るバリアの役割をしたりします。セラミドは皮膚のバリア機能、水分維持にきわめて重要な役割を果たしています。アトピー性皮膚炎の患者さまの湿疹部では角質のセラミドの含有量が低下していると報告があります。
ボディーオイルや、保湿クリーム、乳液は主に1の補充を目的とし、化粧水は2の補充を目的とすることが多いようです。
3のセラミド入りの基礎化粧品も多くみられるようになってきました。